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経済学者が気づいていない経常収支のしくみ

経済学者の奇妙な御主張 経済学者の野口悠紀雄さんが奇妙な御主張をされていた。 「将来は、日本国債を円滑に発行するために、海外からの投資に頼らざるをえない事態になるかもしれない。つまり、日本国債の市場を国際化しなければならない。貿易赤字拡大のニュースは、そうした可能性を示唆しているのだ。」 野口先生の記事では、あたかも現在の日本国債の市場が国際化していないかのような記述をされている。 しかし実際は日本国債は海外の誰でもが買える。国際化は既になされている。日本国債を外国居住者

    • 2022年12月10日(土) 鈴木哲夫さん講演会(大阪)

      いま永田町では何が起こっているのか!? 岸田政権の正体は? 対抗する野党は? 政治ジャーナリストの鈴木哲夫さんが語ります! 12月10日(土)大阪14時~政治講演会 私が運営委員を務める「生活フォーラム関西」の主催です。 講師は政治ジャーナリストの鈴木哲夫さん。 https://www.speakers.jp/speaker/suzuki-tetsuo/ テーマは「永田町裏話 岸田政権の正体と野党の現状」 「最後の小沢一郎」という著書も書かれている鈴木哲夫さんに今の政

      • ドル売り・円買い介入で何が起こるのか

        石塚良次先生が「ドル売り・円買い介入」に対する野口悠紀雄先生の論説について疑問を呈されていました。 https://twitter.com/R__Ishizuka/status/1592348967656099841?s=20&t=0GSV7ulVcpAmZNED26Ysqw そこで私も石塚先生が引用されていた野口先生の元記事を拝見しました。 https://www.sbbit.jp/article/fj/96202 私の理解では野口先生の元記事は論理的に間違っているの

        • 世界一お金持ちの国の貧しい現実

          日本の対外純資産は31年連続世界一です。 だから世界の誰に聞いても「日本は世界一のお金持ちの国」と答えます。 しかし「世界一のお金持ちの国」と言われても私たち日本人の生活実感からはかけ離れています。現実は貧しさを感じる。どうしてなのでしょうか。 先月9月に岸田首相がニューヨークに行って「日本へ投資を」と呼びかけました。これに対して私が以下のようなTweetをしました。 これに対してjpassさんから質問がありました。 Twitterでは長すぎる回答になるのでnoteで

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        • 「お金のしくみ」
          17本

        記事

          読書会を「お金のしくみ」塾で始めました

          参議院選挙が終わりました。 これから3年は国政選挙がないと言われています。残念ながら今回の選挙でも国民にとって必要な経済政策は争点になりませんでした。 国民の生活を第一に考えれば、やるべき政策は多方面にあります。 でも「お金がない」という嘘の理由で放置されてしまう。 日本国の場合には財政的な制約はありません。 でも、「お金がない」という誤解が日本国中を蔓延しています。 だから、必要な政策は実行されません。 とても悔しい。 でもだんだんと本当のことを知る人も増えてきた。

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          国際基軸通貨になるための条件 貿易赤字

          国際基軸通貨になるための条件はMMT(現代貨幣理論)を学ぶと理解しやすい。 これから私が書く内容は、ランダルレイの本でもケルトンの本でも書かれているところを未だ私は見つけられていないので誰か教えて欲しい。ただ、「スペンディングファースト」の構造は、国内通貨の駆動力でも、国際基軸通貨の駆動力でも共通している。だから、MMTの文献でもどこかででているはずである。 国内通貨の駆動力は、租税貨幣論に見られるように、課税で与えられる。 税金を払わなければ捕まってしまう。 だから、

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          ロシアのウクライナ侵攻

          2月24日ロシアがウクライナに侵攻しました。 まずこの暴挙に対しては明確に抗議を申し上げます。 ただ一方で、今回の件はロシア側から見た事情があまり報道されていないように感じます。ロシアにしてみても侵攻する以上、自分たちも無傷で終わるわけではない。でもなぜ侵攻したのか。そこが気になります。 現代の国家にとって「領土」は物理的な土地ではなくて「通貨圏」になっています。その意味でEU圏の拡大(裏側から支える軍事同盟であるNATOの拡大)というのは、ロシアにとって脅威になっている

          ロシアのウクライナ侵攻

          なぜ私たち「リベラル保守」積極財政派は負けたのか

          ~衆議院総選挙で負けた私たちの課題~ 2021年(令和3年)10月31日(日)は衆議院総選挙の投票日でした。 私たち積極財政派は流れを作ることができませんでした。 完全に「負け」です。 (なお、私たちの立場を私は「リベラル保守」積極財政派と呼び、「右翼的積極財政派」とは区別しています。後に詳述します。) 今回の総選挙で私があらためて理解したことがあります。 それは「自分たちが正しいと思っていることを主張するときほど、主張する主張の仕方に気をつけなければならない」というこ

          なぜ私たち「リベラル保守」積極財政派は負けたのか

          「腐るお金」を日本ではじめる方法

          西野亮廣さんがnoteで書かれている「腐るお金」の地域通貨。ブロックチェーンを使った形で技術的にはできるようになりました。次は、誰がはじめるかという段階に来ています。鍵を握っているのは、全国の市町村長や都道府県知事。そして、彼らに意見を言える地方議会の議員です。 具体的な方法を以下に記します。 自治体が発行するデジタル地域通貨 <結論> 自治体が発行するデジタル地域通貨は、 発行の時点で裏付けとなる現預金がなくても、 翌年の徴税権を裏付けにして発行することができる。 →

          「腐るお金」を日本ではじめる方法

          「お金のしくみ」オンライン勉強会第20回

          コロナ禍で今まで信じられてきた常識が変わりつつあります。「お金のしくみ」もその一つ。経済について基礎的なことから皆さんと一緒に考えていきます。 「お金のしくみ」オンライン勉強会第20回 2021年2月23日 (火曜日)21:00~22:00(延長の場合は~22:30) Zoomミーティング https://us02web.zoom.us/j/85277257500?pwd=YXhEYU9hdFhCbW4xajdqN1N3Tml2UT09 ミーティングID: 852 7725

          「お金のしくみ」オンライン勉強会第20回

          新規国債43兆円のひみつ

          令和3年度一般会計の新規国債発行額は43兆円と政府は発表しています。「公債依存度は40.9%」と報道されていて「支出に対して収入が6割しかないのか!日本はヤバいな!」と国民が思うようにマスコミも誘導しています。しかし、これらは作られた数字なのでまったく心配する必要はありません。結論から言えば予算に計上するべき額は20兆円です。半分以下ですね。以下、その説明をいたします。 国債43兆円の内訳を見てみましょう。 新規国債発行額 43兆5970億万円 https://www.mo

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          コロナ給付金に副作用はあるのか

          私は「お金のしくみ」オンライン勉強会の参加者を対象にして、ツイッターで「お金のしくみ」質問箱というグループDMを開いています。そこでいただいたご質問と回答を転載いたします。 【ご質問】 初歩的な質問なのですが・・・ たとえば、コロナでGDP500兆の3割、150兆が毀損されると考えます。150兆は、政府に税金などで実物を吸い上げられたわけではなく、「金が回らない」という形で減ったわけです。 そこに給付金や補助金などで150兆入れるとします。入れる方は実物のお金を投入す

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          海外とのお金の流れ

          昨日のオンラインサロン「お金のしくみ」塾第1回で御質問があったので紹介します。「海外とのお金の流れについて、最初に読んだらいいと思う本を紹介して欲しい」という御質問でした。 マネー敗戦 (文春新書) (日本語) 新書 – 1998/10/22 吉川 元忠 https://amzn.to/3a5WkqE 対米黒字が日本経済を殺す 黒字亡国 (文春新書) (日本語) 新書 – 2005/12/16 三國 陽夫 (著) https://amzn.to/36aF0ja ド

          海外とのお金の流れ

          オンライン塾「お金のしくみ」

          昨年のコロナ禍が始まった頃に、経済について「お金のしくみ」の基礎的なことから皆さんと一緒に考える無料の「お金のしくみ」オンライン勉強会を始めました。そして、2020年中に17回を数えるに至りました。 ただ、そのオンライン勉強会では皆さんからの質問が、だんだん専門的になってきました。経済について誰でもが参加できて話ができる勉強会だけでは足りない。別に、経済について学びを進める人どうしの「場」も必要なのだと気づきました。そこで、そのような「場」としてオンライン塾を開設することに

          オンライン塾「お金のしくみ」

          麻生財相は国債の格付けについて何と言っているか

          麻生太郎財務大臣が外国格付け会社による日本国債の格付けについて述べた記者会見記録をまとめました。順不同です。(2002年(平成14年)外国格付け会社宛意見書についての麻生財務相の見解が分かるようなものをできるだけ前にもってきています。) https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm (平成27年4月28日(火)10時48分~11時05分) https://www.fsa.go.jp/common

          麻生財相は国債の格付けについて何と言っているか

          国債を発行しても円安にならないのはなぜか

          ツイッターDM「お金のしくみ」質問箱で、国債の発行と為替との関係について質問が出たので回答をまとめておきます。 ----- Q1.「国債発行ガンガンやったら円安にならないか」と友人から聞かれました。皆さんならば、どのように答えられますか? A1-1.(Iさん) 国債発行すると円安になると良く言われますが、計量シミュレーションによれば、ほとんど為替レートの変化は見られませんでした。100兆円発行しても、1円円安になるかのレベルです。 これは結局、国債発行による内需拡大に

          国債を発行しても円安にならないのはなぜか