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「腐るお金」を日本ではじめる方法

西野亮廣さんがnoteで書かれている「腐るお金」の地域通貨。ブロックチェーンを使った形で技術的にはできるようになりました。次は、誰がはじめるかという段階に来ています。鍵を握っているのは、全国の市町村長や都道府県知事。そして、彼らに意見を言える地方議会の議員です。

具体的な方法を以下に記します。

自治体が発行するデジタル地域通貨

<結論>
自治体が発行するデジタル地域通貨は、
発行の時点で裏付けとなる現預金がなくても、
翌年の徴税権を裏付けにして発行することができる。
→一種の自主財源になる。

<モデル>
ギリシャのヤニス・バルファキス元財相が考案した、
「並行決済制度」
(ヤニス・バルファキス「黒い匣」(はこ)p.116~119)

※EU諸国の政府とECB・ECとの関係は、日本の地方自治体と日銀・中央政府との関係と同じ関係になっていると言えます。

<しくみ>
円貨と一対一の価値に固定するしくみが必要。(信用を確保するため)

民間が発行する電子マネー(前払式支払手段)の場合には、供託を手段に使っている。(日本国の現行法「資金決済法」

しかし、徴税権を持つ主体であれば、その主体が発行する「納税に使える権利」は、円貨と一対一の価値を持つものとして発行できる。

※その時「納税に使える権利」は、発行主体から見れば、会計上は負債と位置づけられるだろうが、引き受ける先があるわけではないので、地方債とは言えない

※自治体は一般会計で管理するのではなく特別会計を作り別個に管理すべき。

<枠組みの設計>
以下のようなモデルを一例に説明します。デジタル地域通貨の性質は具体的なしくみを通じて考える方が分かりやすいからです。この例にとらわれずに設計することも可能です。

・デジタル地域通貨と円貨との交換は、時期と規模を制限する
→例えば、地方自治体の納税に使うときのみ円貨と等価で使えるようにする。

事業者のウォレット利用者のウォレットは別の種類のものにする。
・両者の機能を変える。
利用者のウォレット内のデジタル地域通貨は円貨との交換はできないようにする
(その代わり、他者にデジタル地域通貨を売ることはできるようにする)
利用者のウォレット内のデジタル地域通貨にはマイナス金利を付ける。
→例えば月末を迎えるとマイナス1%の金利が付き、減価する=「腐るお金」になる。
早く使わないと損をするので域内での決済が盛んになる。

事業者(加盟店)のウォレット内のデジタル地域通貨は減価しないしくみにする。
→事業者が円貨との交換をしなくてもいいと考えるように誘導する。
発行主体に通貨発行益が生じる。

・事業者のウォレットのデジタル地域通貨は年に1回、
例えば2月15日~3月末は手数料3%程度を支払って円貨に換えることができる。
→下記の決済手数料の設定次第では円貨の交換の手数料は3%程度にこだわらずにもっと下げてもいい。

・利用者が決済に使うときに事業者が負担する決済手数料は、
競争相手のクレジットカードなどを参考にして低廉にする。
例えば、1%にする。
(更に、例えば、半分を発行主体に回し、半分を運営主体に回す。)

・円貨や他のデジタル地域通貨との交換は民間事業者が自由に行えるようにする。
その際、民間事業者が手数料をとって交換することを発行主体は許す。

※円の方が流動性が高いので、
デジタル地域通貨が円建てで発行されていたとしても、
どうしてもデジタル地域通貨の方が価値が低くなってしまう。
(バルファキスp.549★6参照)

・一定程度流通させたところで、
デジタル地域通貨の価値が下がりすぎるような状況が起きれば、デジタル地域通貨の価値を上げるため「定期預金」のしくみも導入を検討する。
→一定の期間、決済に使えないこととの引き換えに利息を付ける。その利息は円建てではなく、デジタル地域通貨建てにする。このしくみにより、市場からデジタル地域通貨を回収する手段が生まれる。
(※この手法が採れるかどうかは、総務省及び金融庁に確認が必要)

・デジタル地域通貨を発行したりウォレットを発行したりする手続きには、地方自治体は地方銀行を活用する。日本国政府の出納業務を日本銀行に委託しているように、地方自治体のデジタル地域通貨の出納業務を地方銀行に委託することで地域金融が促進する。

以上のようなしくみを作ることによって、
以下のことができるようになります。

・地方自治体は円建てのデジタル地域通貨を自治体の領域に限って流通させることができる。
自立分散型社会システムを作ることができる。

・デジタル地域通貨を多く発行しても円貨との交換は、時期は納税期、額は納税額に制限される。
→円建てで行われている地方自治体の財政本体への影響を制限できる。

・給付と組み合わせることで全住民にウォレットを持ってもらえる
加盟店(事業者)発掘が必要なくなる
→ウォレットを複数のデジタル地域通貨を扱える設計にしておければ交換もしやすくなる

以上が、デジタル地域通貨の性質についての説明です。
発行されたデジタル地域通貨が円貨に換金されないまま、転々と流通していくしくみにしたいところですね。通貨発行の地方分権になります。

ブロックチェーンを使ったデジタル地域通貨は福島県の磐梯町が初めて発行しました。今後の動きに注目です。
https://www.town.bandai.fukushima.jp/site/dx/digital_currency.html

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