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麻生財相は国債の格付けについて何と言っているか

麻生太郎財務大臣が外国格付け会社による日本国債の格付けについて述べた記者会見記録をまとめました。順不同です。(2002年(平成14年)外国格付け会社宛意見書についての麻生財務相の見解が分かるようなものをできるだけ前にもってきています。)
https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm


(平成27年4月28日(火)10時48分~11時05分)
https://www.fsa.go.jp/common/conference/minister/2015a/20150428-1.html
問)
昨日の晩、海外の格付け会社のフィッチ・レーティングスという会社が日本国債の格付けを1段階引き下げました。理由は消費税10%引き上げを先送りした分の財政改革が今年度予算に盛り込まれていないという点で引き下げの理由としています。

大臣は一格付け会社の格付けについてコメントはされない御立場かもしれませんけれども、かつて財務省は財務官が格付け会社に対する意見書を提出したこともあります。

今回も、去年ムーディーズと今回はフィッチまだ2社ではありますけれども、3社そろったときに何らかの意見表明をするような御指示をされるお考えはありますか。

答)
それは仮定の質問ですね。仮定の質問ですからあれですけれども、きちんとした形で私共として今それに反論を用意しようというつもりはありません。

それから格付け会社がボツワナより低いとか書く程度の話というのは、あの時代からそんなに人の動きは大きく変わったということもありませんからあのままなのだと思いますので、あの時は日本から反論を書いた、あの反論を書いたのは誰だか覚えていますか。

問)
黒田元財務官です。

答)
黒田さんが書いたのですよね。その人とこの間も話しましたけれども、この種の話というのは付いて回る話なので、一々それに対してコメントするつもりもありませんし、今すぐ全部そろってなんて思いもしませんから、特にありません。

(※途中略)

問)
先程のフィッチの格付けのことについて、一格付け会社の判断では確かにあると思うのですが、日本として一番今何をしなければいけないのかというふうにお考えでしょうか。

日本がこういうような判断を受けて、確かに一格付け会社が言っていることではあるのですけれども、日本としてきちんとした対外的な信用を今後も維持していくという中で今一番大臣が思われるところというのは。

答)
日本の場合は、そういう人達の話は日本の現状を知って書いているという人はいないというのは、フィッチに限らず、スタンダード&プアーズでもみんな言いますから、同じことだと思いますので、彼らは日本に行って、どれくらい日本に居たことがあるのと聞いても、まず知っている人はいませんね。

だからそういうところなので、外に出た数字で追うわけですよね。

それでいくと日本の場合はバランスシートやら何やら見ると、日本の国債の比率が高いとか、GDP比にどれくらいとかというところだけ追われますので、そういうやり方になる、

わからないことはないのですけれども、世界の中で日本の場合は自国通貨で海外の人が買っている比率も10%を今切ったぐらいだろうと思いますけれども、それでも外国の人が買うのもドルではなくて円でやっていますから、国債発行して海外で売って自国通貨だけでやっている国というのは何カ国かしかないと思いますけれども、そういった国であるということも知らない人が多いし、

そういったことをきちんとやって、我々は財政再建としてきちんと手順を追って、デフレで20年かかりましたので、我々もそんな1年やそこらで簡単にこれは解消するほど経済というのは簡単なものではありませんから、

ただ、きちんとした方向としてはこの方向でやっていきます、少なくとも5年前に2015年度のPB半減目標を立てて、そのとおり達成をほぼ終わるであろうと思っています。

2020年度のPB黒字化目標を次に目指すことになるのですが、この夏までには計画を出したいと思っています。そういったものを確実にやっていきますというきちんとした日本の姿勢、財政に対する姿勢というものをきちんとやっていく、言った以上、そのとおり実行していくというのが一番じゃないのですかね。何か言葉の説明が好きですけれども、実質が伴わなければ意味がないですよ。


(平成27年9月18日(金)9時57分~10時11分)
https://www.fsa.go.jp/common/conference/minister/2015b/20150918-1.html
問)
アメリカの格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズが16日に日本国債の格付けをAA-からA+に1段階引き下げました。大臣の受け止めをお聞かせください。

答)
確か民間格付け会社がボツワナの国債より日本の国債の方が低いと出した、あれは何年だったかな。

問)
2002年です。

答)
あの年、今の日銀総裁の黒田氏が意見書を出しました。すごく良い英語だと思ったけれども、今度、スタンダード・アンド・プアーズがAA-からA+にしたという話で、日本の国債の金利はどれくらい上がりましたか。

問)
むしろ下がりました。

答)
ということは、あまり話題にするほど意味がないということだと思いますけれども。それだけ影響力がなくなったのですね。普通だったら上がるでしょう。下げられたら上がるものなのではないですか。何の意味があるのでしょうね。格付け会社の反応に市場が反応しないということなのではないですかね。そういうことに一々コメントすることはありません。


(平成28年6月14日(火)9時38分~9時57分)
https://www.fsa.go.jp/common/conference/minister/2016a/20160614-1.html
問)
昨日、アメリカの大手格付け会社フィッチレーティングスが日本国債の格付けについて、格付けは維持した上で見通しを、アウトルックを安定的からネガティブに弱含みということで下げました。その理由として消費増税を延期したものの、2020年度までに基礎的財政収支を黒字化するという財政健全化目標を達成するための埋め合わせをする具体的な策が公表されていないということを要因に挙げています。海外から日本の財政に厳しい目が向けられていることについてどのように受け止めていらっしゃるのかを教えてください。

答)
民間の格付け会社、フィッチとかスタンダード&プアーズ、いろいろな会社がありますけれども、そういった格付け会社の分析とか評価の内容について一々コメントするということはありません。

格付けが下がったら、金利は上がらなくてはおかしいのですけれども、金利が下がるのはどうしてですか。そんなに信用されていないのか、この話はよくわからないです。

昔、ボツワナより低いとされたときがあったけれども、結果としては御存じのとおりなので。国債の信認というのは、我々としては基本的には財政健全化の旗をきちんとして、2020年度までのプライマリーバランス、基礎的財政収支の黒字化をしっかり堅持していきたいということだけははっきりさせておかなければいけないところだと思っています。


(平成29年6月30日(金)10時11分~10時16分)
https://www.fsa.go.jp/common/conference/minister/2017a/20170630-1.html
問)
昨日AIIBがムーディーズから最高格付けを取得しました。その理由の1つがガバナンスの枠組みがしっかりしているという評価だったのですけれども、一民間企業の判断ではありますが、これまでの大臣の見解と異なる見方が示されたことについて率直にどのようにお考えでしょうか。

答)
アフリカのボツワナより日本の国債が低いと出したのが確かムーディーズじゃなかったか。その程度ということです。ほかに興味はありません。

(令和2年6月23日(火)11時52分~12時04分)
https://www.fsa.go.jp/common/conference/minister/2020a/20200623-1.html
問)
第2次補正予算を受けて多額の財政赤字が膨らむということで、S&Pが格付けの見通しをポジティブからニュートラルに引き下げたということがあったと思います。

格付け自体はA+で変わらないものの、S&Pが格付けの見通しを、格付け自体ではなくて格付けの見通しを引き下げたというのが第2次補正予算に合わせて行われています。それに対する受け止めがもしありましたらお願いします。

答)
格付けというのは昔、ボツワナと同格付けになる可能性があったというのを出したときの日本の国際局長か財務官今の日銀の黒田総裁だったと記憶しますけれども、何となくあれ以来その程度のものなんだと思っていますので、私自身は。

ただし、今言われたものでそういったものは一人歩きしますので注意をしておかなければいけないということだとは思いますけれども、

今回はドイツですら財政出動をやるというようなところまでなってきているということなんだと思いますけれども、日本もそういったことを覚悟して経済を活性化させ、再生しない限りは財政再建もできないというのをはっきり私共、最初からそう申し上げてきましたので、今回はそちらの方を優先というのでやらせていただいて、

結果としてマーケットではどんな反応になったかといえば、これだけ出せば円安に振れるとか金利が上がるとかということになるのが普通。私が習った学校の経済学ではそういうことになることになっているんだけれども、今回は全くならない。

金利は変わらず、対ドル交換レートも107円前後でほぼ一定ということになっていますから、そういった意味ではマーケットの信頼というものはそれなりのものを我々の過去の実績がそれを補って、少なくとも今回は大きな変動がなくてこれまで来ているということなんだと思いますので、これを我々は今からよくしていく方向で動き始めますから、補正予算等が経済に与えていく影響がいい面に出てくればそれはそれなりのものとして格付けが下がるなんていうこともなく、そのままいくということになるんじゃないでしょうか。


(平成27年3月20日(金)8時37分~8時45分)
https://www.fsa.go.jp/common/conference/minister/2015a/20150320-1.html
問)
日銀の黒田総裁が就任から2年に今日でなります。日銀が掲げた2%の物価安定目標に対して足元は原油安の影響で消費者物価の上昇率が当面0%程度で推移する可能性もあると。一方で今年の春闘では昨年を上回る賃上げが相次ぐなどデフレ脱却に向けた歩みは進んでいるという印象があります。これまでの黒田総裁の政策運営の評価と今後の手腕にどのようなことを期待するか、お考えを聞かせてください。

答)
黒田さんの評価、2%の目標というのは白川総裁の時に政府との間の共同声明でできたと記憶するのですが、白川総裁の後を受けてかれこれ2年になりますけれども、2年の間、やはりアジア開発銀行の総裁をやっておられた経験8年間、また国債の格付けがボツワナ並みと書かれた時格付け会社に対する抗議文等を見ても、英語がきちんとしていることは確かですし、顔も広いし、この2年間、国際金融の場では大いにやっていただいたということに関して、私共として評価は高いですね。

それから金融の緩和についても、その思い切った決断等、デフレからの脱却というのが安倍内閣、正確にはデフレ不況からの脱却、もっと正確に言えば資産デフレ不況からの脱却ということに関して明確にこれからの脱却が優先順位の一番ということをはっきり据えられた上での対応がぶれないところは私としては評価は高いですね。


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