見出し画像

【NYAUWとMAPIのクロスミッション】②「AIは完璧ではないが役に立つ」という理解を(導入編)

クリニックでの診療以外にMAPI(医療AI推進機構)の想いに賛同し活動に参加させていただいております。
(この記事も井手個人の見解として記述をしております)


先日は

NYAUWとMAPIのクロスミッションについて書かせていただきました


BestとPerfect


以前に読んだ本で印象に残っている言葉があります。
「ベストという言葉は。他と比較してその中では最も良いといった意味で、言わば相対的な価値観である。したがって、レベルの低い所でベストは存在する。(中略)パーフェクトはベストと違って絶対的なものだ。他との比較ではなく、完全な価値を有したもので、、、」
と稲盛さんはPerfectを目指すというスタンスで書かれておりました。

合成の誤謬

しかし、AIにおいてはBestは存在してもPerfectは存在しないかと個人的には思うのです。というのはAIというのはドンドン進化して動的なものなので、完全個別化のものではないので。

AI導入判断基準がPerfectからの減点方式を採用されると、導入は見送られてしまうことになります。「間違いが在るから」「完璧では無いから」

医療AIを採用しないという決定をすると、医療AIによる問題は起こり得ないです。その決定を行った方は「医療AIでXXという問題が起こった」というNEWSを見るたびに、「やっぱり医療AI使わなくて良かったー」ということになるのです。

しかし、上記のようなミクロのメリットと引き換えに、AIによる仕事の効率化、見落としの軽減、人材リクルートや医療AIに触れることで得られる経験値や知見の蓄積という長期的・マクロ視点での機会損失もあり得るのです。

こういった合成の誤謬問題も在るので、トータルで見たときには医療AI導入は今でなくても、一般のAIについて触れる機会を今から持ち続けることは大切だと思います。

Best Practiceを重ねるしか無いのでは?


臨床現場で患者さんのケアを行っている先生方はPerfectな診断機器や治療方法を用いているでしょうか?

Perfectという絶対的に完全な価値を有するものであるならば
・学会での議論は必要ない
・研究開発は必要ない
・ガイドラインの改定も必要ない

ということになるのです。

しかし、実際は世界中で学会や研究が行われており、ガイドラインの改定が続いているのです。つまり、医療においてはPERFECTではない方法で患者さんのケアを行っているのです。
現時点のBestPracticeで患者さんに貢献するというスタンスで皆さん対応しているのです。

待てない患者さんや有限なリソース問題


純粋科学と言われる数学と比べると医学や生物学はばらつきの多い科学領域と言われています。


http://www.pupukids.com/jp/gas/03/066.html  より引用


どれだけ追求しても個別のバリエーションが多すぎるが故、どんなにパラメーターを増やして全体としての正答率を上げれたとしても100%になることは無いものだと思うのです。

Perfectを待つ間にどれだけの人命やQOLが損なわれるか?と考えるとその時点のBest Practiceで行わざるを得ない現実があるのです。

医療以外で良いのでAIに触れておきたい

PERFECT(完璧)なAIは理想的ではありますが、現実には存在しないので、不完全では有るがその時代のBestなAIに触れ続けることが大切です。

医療AIに関してはまだまだ個人のクリニックで導入できる段階ではありませんし、大きな病院では導入されていても限られた診療科の限られた専門性でのみ利用されている段階で、導入決定に関わる先生方は多くはないと思うのです。そうすると触れる機会が無いじゃないか!!!と言われそうですが、医療以外の患者さんのケアに影響しない領域で無料ででもAIは試せるんです。そこから始めてみませんか?


AIの時代だからこそ先生の専門性がより大切になるのです。


いわゆるWEBで無料または適価に試せる一般のAIを試すと、AIもまだまだなことがわかると思うのです。訳解んない答えを出してきますし、同じ指示(プロンプト)を出しても 時間によって答えが変わることもあれば もっともらしい答えでも実際に調べてみると存在しなかったり、メリットともにデメリットもまだまだ有ることがわかるのです。

しかし、それはWeb検索でも同じです。普段皆さんGOOGLEでWEB検索した際に、自分の領域外の検索だとトップページの上位に来る検索結果を信じてサービス購入やお店検索をしてしまうかと思います。

ところが自分の専門分野の検索となると、これは古い知識だ、これはSEO対策にお金かけてるな‐、この先生はこの分野の専門じゃないのにな‐ということがおわかりになると思うのです。

WEB情報を星空に例えた記事を書かせていただきましたが
「「星空」は、平面に光が分散しているようにしか見えません。しかし現実には、個々の恒星から光が届くまでの時間は、観察する人からの距離によって異なり、タイムマシンのように振る舞っています。」

AIはそういった珠玉混合の情報を食べている状況(違っていたらすみません)ですので、先生の領域ではGOOGLE検索やAIに勝てるのです。つまりAI時代だからこそ、専門性の価値が生きるのです。



とにかく試してみよう!

ChatGPTやCopilotやGeminiでは無料で試せるものがありますのでまずは触れてみてください。どのように触れるかはまた実例を後日書かせていただきます。

目的は一般のAIを使うことでメリットやデメリットや使い分けの理解がでてきて、医療AIでも結局そういったケアをしながら使うことでメリットが大きくなるので 悪くないんじゃないという先生方や医療機関が増えることが大切だと思うのです。

AIと間接民主主義

これはMAPIのメンバーの言葉で感動したものです・

「データを提供していなければ、AIはその施設の特性を無視して判断するように、基準が作られていきます。学習データを提供することで、間接的に、自分たちの医療判断や患者層を基準に取り入れさせるという意味では、間接民主主義みたいだなと思いました。」

そういった意味でデータを提供してくださいということも大切ですが、AIを使ってダメさ加減にため息を感じていただくことでデータ提供が更に進むと思います


今日はここまで


(再掲)このシリーズの目的は?

こういった③のステージの先生が増えることが医療AIのデータ流通や医療機関へのAI導入が増え、患者さんケアの向上、医療従事者への負担減少、社会保障の負担軽減、医療レベルの上昇などにつながるというマクロは視点でのミッションと考えます


NYAUWの活動リンク



KINDLE出版


よろしければサポートお願いします。 NYAUWの活動は現在マネタイズを考えずに意義のみを追求するフェーズです。 ニッチな分野のやせ我慢プロジェクトですので お気持ちだけでも嬉しいです。