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<最終回>㉖(時間外労働時間年960時間)医師の働き方改革時代に紹介先クリニックのシェアが大切になる㉖<最終回>【妄想シリーズ:時間的マクロ】

大病院はクリニックの紹介先なんて知る必要ない?

前回の㉕の記事では 【マクロ視点のうち空間的マクロ視点】ということを書かせていただきました


色々な妄想シリーズ(⑦~)

⑦話目からは医師の働き方改革(時間外労働時間年960時間)とNYAUWの紹介先登録プロジェクトを強引につなげる妄想シリーズを始めたいと思います。頭の中にXYZ先生を登場させます。これまでNYAUWで出てくるいろんな先生は実在の先生・実際の先生とのやり取りを元に会話形式でおこなってきましたがこのXYZ先生は完全に妄想ですのでお許し下さい

「クリニックの紹介先数は増えました」


井手「前回は時間的ミクロ視点つまり単回の受診における空間的マクロ視点で話をしました。今回は時間的マクロ&空間的マクロ視点という最終章 この26回までかかった 病院がクリニックの紹介先を知っておいたほうがよいという、一つの仮説の話の締めくくりをして終わろうと思います」

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XYZ先生「井手先生はもともと 病院も視野に入れていたんですか?」
井手「正直、病院は視野に入れていなかったです。」
XYZ先生「そうなんですね。なぜ病院が紹介先クリニックを知るべきと思うようになったのですか?」
井手「2024年の医師の働き方改革を視野にいれて、基幹病院には患者さんがかかりにくくなるという想定は最初からしていました。そこで病院に負担をかけないようにローカルのクリニックの専門性情報の可視化をということにトライしようと、クリニックとクリニックの連携 つまり診診連携を目的としていました。
XYZ先生「そうですよね。私も先生の話を聞いていてそのイメージが強かったです。なのになぜ?」
井手「これは開業して良かった点ですが、自分で仮説を立てて検証できるということが有ります。 2021年の8月からこの紹介先プロジェクトを初めて 自分が知らなかった専門性を持つ先生の情報(2022年8月31日時点で262施設)をすべて見ることができ、患者さんを実際に紹介した施設がその中に10程度ありました。そして患者さんも満足されているのを見て このGOOGLEではわからない ドライ情報(専門性)とウェット情報(人間性)のミックスである【いつもの紹介先情報】と言うのは意味があるなと再認識しました。」

「しかし、だからといって大病院への紹介数が激減したわけではありません」


XYZ先生「へー、そうなんですね。それは面白いですね。」
井手「でもそれはこれまでの紹介先から より良い紹介先にスイッチしたということで、患者さんには良いと思いますが、もともとの想いの一つである 病院の負担を減らすということにはなってはいなかったんです。」
XYZ先生「なるほどですね。でも、診診連携のクオリティが上がったのはすごいですね。」
井手「これは 本当に数が集まれば地域の患者さんの為には非常に良いと思いましたので 地道に集めていきたいと思います。でも、大病院の【ため息】または全体最適つまりマクロ視点では改善したほうが良いものが無いかを 大病院に勤務している先生に雑談しながら探ってみました 食事会のときなどに。ヒアリング数は多くは無いですが」
XYZ先生「なるほど、なるほど」
井手「そうすると 多くは紹介元、そしてもともとの紹介元に戻りたくないという患者さんの場合には患者さんの近隣の他のクリニックに紹介することが多いということでした。 正直専門性というより地理的条件のほうが強いイメージでした。あとはなんとなく紹介がたくさん来るような施設に紹介するとのことです。勤務医だと2-3年で異動するので 一度もそのクリニックの先生と会ったことが無いまま転勤してしまうことが多いとのことでした。   ドライ情報(専門性))もウェット情報(人げ性)も曖昧なまま患者さんをクリニックに紹介していることも多いとのことです
XYZ先生「私も同じような感じですよ。とりあえず外来がパンクしているので 地元に返せる症例はとりあえず返すと。特に紹介元がある方は殆どは紹介元に返します。」
井手「ここで大切なことは 患者さんは地元のクリニックに帰って先生方や病院の評判や対応を話されます。ですので 外来がパンクしているからと言って 何も考えずに地域の医療機関に紹介するというのは非常に課題が残ると考えます。」
XYZ先生「良くないとは思っても情報が無いですし、交流が無いのでわからないのです」
井手「であれば病院に働きかけて このサービスを導入してもらうのです。もしくは先生自身が参加してもいいのです。しかし、病院の多くの先生にとっては紹介は我が事化していないので 個人で入っていくモチベーションが低いと思います。先生はマクロに見れるので何故 紹介先情報が大切かわかると思いますが」
XYZ先生「紹介した先が満足のいかないものだったら その病院の評判が下がるんですよね?」
井手「多くの勤務医の先生にとってはいつも忙しくて外来はパンクしているので、実は患者数が減少圧力にあることをご存知ありません。以前、患者さんが基本は減っていっていると、そしてパンクしているのは病院の入口戦略がうまくいっているのでどんどん来ているように見えるだけだと話をしましたよね」

XYZ先生「そうでしたね。そしてその入口が減ってくると病院は破綻すると。昔のようにパターナリズムが強い時代と違い 患者さんも病院や医師を評価する時代。患者さんも病院や先生方の評判をクリニックの先生に伝えますよね」
井手「そのとおりです。今回の働き方改革の一番の課題は条件を満たすために 病院は残業を減らしたり 業務を減らしたりするために患者さんの受け入れが厳しくなる。そして、人材の取り合いになる時代が目の前に来ている。そしてクリニック側も自分の苦手な分野をカバーしてもらうために  病院からバイトの先生に来てもらったり または病院に紹介していたのが、バイトの先生がクリニックに来れなくなったり、 苦手で紹介したはずの患者さんが逆紹介ですぐ戻ってくる可能性があります。でも紹介するのはそもそもなんでですか?
XYZ先生「苦手な専門分野だから?
井手「そのとおりです。分野的に苦手だったり(ソフト面)、検査機器などがなかったり(ハード面)するという理由からです。逆に病院がいつもの患者さんをずっとKEEPせずに紹介する理由は?」
XYZ先生「これは病院の役割分担で 落ち着いた患者さんをKEEPできない制度になっているのですよね?」
井手「そうです。特に飛び込み受診の患者さんに関しては自費で負担をしないと受診できないのと 落ち着いて地元の医療機関での受診を断った患者さんにも自費での負担が発生します。これまでもあったのですが 負担金が2022年10月1日から増額されます。そして逆紹介率をある比率以上にKEEPしないと 点数加算が下げられますので より出口からの流出が増えることになるのです。この資料を参考にして下さい) そうするとしっかり入口の紹介ルートをキープしておく必要があるのです。」

https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000920428.pdf

お互いの【じゃない】を理解した紹介が肝


XYZ「そんな厳しいルールがあるので 逆紹介!!逆紹介!!と言われていたんですね。入口から入ってくる外来がいっぱいだから返せ患者さんを!出口を広げろということかと思っていました
井手「違うんです、逆です!出口を拡げないと病院の収入減らされるから 入口戦略を考えなくてはならないんです。その際に2024年の働き方改革で 入口はどんな患者さんでも良いというわけではないんです。患者さん数を減らしてでも収入は維持しなくてはならないという綱渡りが暫く続くんです。限られた病院リソースの綱渡り状況の時に自分の病院の強み【じゃない】疾患を紹介されると 対応ができずに 患者さんの評価が下がりその評判がクリニックに伝わり病院への紹介が減るという悪循環が起こる可能性があるのです。

Uターン Jターン Iターン

クリニックに逆紹介するときにも 適当に紹介元に返すのであれば楽ですが そもそも紹介は元のクリニックが苦手なので病院に紹介してもらったので 返す際にクリニックのが苦手なもの(つまり【じゃない】)が何かを判断して戻さなくてはならないのです。

 
例えば手術施設がなくて 手術目的で紹介されたなら 手術が終われば経過観察だけで問題ない場合には(Uターン紹介)が喜ばれます

しかし、元のクリニックが専門性として苦手だから病院に紹介した場合、 検査機器などが無いため落ち着いても経過を見れない場合にはUターン紹介は逆に嫌われます。その際には患者さんの利便性も考慮しながらその疾患の経過を診れる別の専門家に紹介しなくてはなりません(Jターン紹介)。

そして、もともと飛び込みで病院に来た患者さんも落ち着いて病院から出ていってもらわなくてはならないときには はじめの紹介元がないため 病院は地域と専門性を考慮して紹介しなくてはなりません(Iターン紹介)


https://www.city.toyonaka.osaka.jp/hp/partnership/index_medical/team_medical.files/vol_01.pdf

(このPDFにU,J,Iターン紹介について書かれています)

スライド7

この図からわかるように 紹介元クリニックは そもそも病院に気を使って紹介しています。自分の専門であればどの病院がその分野に強いか知っていることが多いので、しかし 課題は病院側なんです。 病院はスタッフの入れ替わりも激しく 経営指標をあまり気にせず 病院のGOOGLE 評価☆一つ評価がついても どうせ自分はいつかいなくなるし、みたいな感じで 我が事化しないため 逆紹介していなくなる患者さんに関してあまり重視することはありません。

それに これまでUターン紹介が主だったこともあり地域のクリニックの情報をあまり認知していないことが多いです。

しかし、時代は変わろうとしています。マクロな受診体験の満足度を求め 不満があると患者さんが評価する力を持ち、患者さんの減少圧力の時代には病院も積極的に紹介先情報の獲得または参考にする必要があると思うのです。」
XYZ先生「そんな難しいことこれから始まるんですね」
井手「ですから、これからは医師は厳しいんです。
XYZ先生「えっ これから売り手市場じゃないんですか?
井手「一時的には 取り敢えずの働き方改革の条件を満たすために医師の求人条件はよくなります。 しかし、それをずっと続けることは無いと思います。タスクシフトやAI診断、オンライン診療など 希少性が高く人件費が高い医師の仕事を減らす圧力が必ず来ると思います。 このシリーズの最後にかならず毎回入れている文章があるの気付きました?」
XYZ先生「ゴールドマン・サックスとかの話ですか?」
井手「そうです。」

960時間時代に起こることは 「じゃない」

・タスクシフト(これまで医師がしていた仕事を医者「じゃない」 看護師さんや薬剤師さん)
・IT化(これまでのアナログ「じゃない」)
・AI診断(これまでの経験「じゃない」)
・オンライン診療(これまでの対面診療「じゃない」)

【ヨーロッパ文明における軍事革命の背景軍隊を維持するための【人件費が重かった】ので武器が発達した】

【ゴールドマンサックスでは2000年には600人のトレーダーが2017年には2人にまで。この背景にあるのは人工知能技術。この技術を呼び込んだのはトレーダーの【人件費が高かった】ことだ】

【イノベーションの多くは人件費の問題のないところをターゲットにしないのである。【医師の人件費は?】リフィル・認定看護師などは【医師の人件費】をターゲットにしていないですか?】

井手「つまり医師がいなくても良い部分は出来るだけ減らそうとする未来が見えませんか?」
XYZ先生「以前も 怖っ!といった記憶があります

診診連携でも病診連携でも【じゃない】症例を相手に送らないように気遣いをしなくてはならないんです。そして クリニックの院長のように経営や評判が我が事化している先生方は紹介先の重要さをご理解いただけると思います。そして紹介先情報というのがGOOGLEではわからないと。ですので【いつもの紹介先をシェアしましょう】を十分にご理解いただけると思います

しかし、問題は病院の方です 個々の先生方は残念ながら経営や評判が我が事化していないので 病院の管理側の方々が率先して行く必要があるのです。それが①-㉖回までずっと最初に入れている 

大病院はクリニックの紹介先なんて知る必要ない?

です。必要あると信じます。


「クリニックの紹介先必要だというストーリーわかった!」という病院の働き方改革担当の方 ご連絡下さい

これまでは医師個人の参加というのを前提に設計しておりましたのでまだ病院の方の参加の仕方などは考えている最中ですが 実験的に参加したいという病院関係者の方是非連絡いただけると幸いです

メッセンジャーかメール tokyoeyeasagaya@hotmail.comで)


「じゃない」数珠つなぎでDr探し

最初のドクターAは「私Dr.Aの専門性じゃない」ということでDr.Aが知る【より確度の高い】Dr.Bにつなぎます。そしてDr.Bが「私Dr.Bの専門性じゃない」ということでDr.Bが知る【より確度の高い】Dr.Cにつなぐという形で藁しべ長者のようにより適切な医師に出会う確率が上がるのです。

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2022年02月17日07時25分22秒


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