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「微分積分、sin、cosいつ使う?」の問に答える

おはようございます。毎日投稿63日目になりました。今日も頑張っていきましょう!

数学って必要?

   数学というのは、これまで「なんで学ぶ必要があるの?」「sin、cosなんていつ使うの?」という疑問の矢面に立ってきました。今日は、僕が数学科で数学を学ぶ一員としてその問いに答えます。

数学は下請けである

   結論から言うと、数学に無駄なんていうものはなく、必ず“高次的に”役に立っています。“高次的に”という意味は、数学が数多くの分野の下請けのような仕事をしているということです。工学や理学(物理、化学など)、そして経済学までもが数学に支えられています。
 
   僕は大学1年のときに力学と量子化学の講義を受けましたが、そこには数学が必要不可欠な世界が広がっていました。力学では、座標の表示に極座標(原点からの距離と角度で位置を特定する座標)を用いるので、三角関数は必須ですし、それを用いて扱うのは運動方程式、つまり、一種の微分方程式です。それらを使って解を求めると、運動のゆくえ(物体がどのような振る舞いをするか)が分かるので外力がない場所で(干渉が無いものに関して)は未来予測とも呼べることが可能になります。
   化学でも、シュレーディンガー方程式という微分方程式を学びました。つまり、これらの分野は数学の恩恵を受けながら発展してきたことになります。

数学を支えているのもまた数学

   しかし、そんな他分野で使われるような数学ははっきり言って数学の産物のごくごく一部です。では、理学や工学などの他分野に使わないような数学の領域は必要ないのでしょうか。実はその考えは全くの筋違いです。
 
   先程、数学は“高次的に”役に立っていると言いました。その1つの意味は他分野を支えることによって役に立っているということでしたが、もう1つ意味があります。それは、数学そのものを支えているのもまた数学だからです。
 
   これを海に例えてみましょう。表面の海水、つまり、地上から見えている部分というのは、まさに理学や工学などの実用的な他分野です。しかし、それを地上から見える部分たらしめているのはその下にも水があるからです。その役目を担っているのが数学です。しかし、更にその下にも海水があり、それは海底まで層をなして続きます。
 
   数学もそんなイメージです。微分積分やsin、cosなどの三角関数などの基礎をもとにして発展してその上の層ができ、更にその上の層ができ、、、といったサイクルが歴史的に行われてきました。その産物が理学や工学など他分野という訳です。(数学科2年生としてはベクトル空間や位相空間論などの、知る限りもっと抽象的な分野を海底としたいところですが、、笑) もう、数学は無駄とは言わせません。

「数学は必要か?」に対する答え

   日常生活に使える数学がないということは全くありませんが、それを得るためだけに数学を学ぶというのは正直コスパが悪いでしょう。しかし、だからといって数学を学ばなくてもいいと考えるのは断じて違うと思います。
 
   「数学なんて必要ない」と主張するのは、例えるなら「ノコギリは必要ない」と言っているようなものです。ノコギリも一般人なら(特に都会は)使うことはほとんどないでしょう。でも、だからといって「ノコギリはいらない」とはならないでしょう。大工になるとしたらその使い方は知っておいて当然だからです。
 
   数学でも同じです。研究者はもちろん、その他にも数学を用いる仕事は数多く存在します。ただ出来ないからという理由だけで毛嫌いしているだけなのに、日常で使わないからといって数学を忌み嫌うのはやめにしませんか??

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