世界は複雑だがシンプルに考える

こんばんは!毎日投稿80日目になりました。今日も頑張っていきましょう!

世界はシンプル?複雑?

 この世界の物事は、往々にして人々に過度にシンプルに考えられてしまいます。
 
   何でも決めつけたがる人。結果を見てから適当に理由付けをして評論家目線で意見する人。そんな人は皆さんの周りにもきっといるのではないでしょうか。もしかしたら、皆さん自身がそうなのかもしれませんし、僕が毎日こうして書いているのもそう聞こえるかもしれません。それは認めます。
 
   他人から見たら下手な意見を自分が下しているということは、本人からすれば分からないものです。ましてや、他人からの正直なフィードバックがなければなおさらです。だからこそ、僕は他人からの意見には寛容でいるように可能な限りの努力はしているつもりです。

 話が少し逸れましたが、確かに、自分で決めつけをして結論を出し、誰かに話すというのは気持ちが良いことです。また、他人から「この人はきちんと自分の意見を持って、様々な知見がある人だ」という評価を得られるような高揚感を得られます。
 
   それに、過去の自分の経験から、「今回もどうせ○○だろう」「お金持ちは決まって性格が悪い」といったように決めつけてしまった方が、思考をショートカットでき、脳のエネルギーを節約できるので人は本能的に好みます。
 
   お恥ずかしい話、僕の父が、(特にここ数年)典型的な決めつけが多いタイプの人なので、つくづくそう感じてしまいます。それも、お酒が入るとそれは加速します笑。(もちろん、父は尊敬していますし、ここまで育ててくれたことに感謝しています。) 
 
   しかし、世界はもっと複雑で、数え切れないほどの変数が存在します。普通なら思いもよらないような因果関係があったりするのです。実験的に正しいと下された事実が歴史上何度も覆されてきたのは、大抵シンプルに考えすぎたせいです。

殺人件数が減った本当の要因

 アメリカの経済学者スティーヴン・D・レヴィットとNYジャーナリストのスティーヴン・J・ダブナーのベストセラー「ヤバい経済学」にはこんな話が書かれています。
 
   1995年、アメリカの犯罪学者ジェイムズ・アラン・フォックスはアメリカ司法長官に詳しい報告書を提出し、ティーンエイジャーによる殺人事件の数について楽観的予測と悲観的予測の2つを立てました。楽観的予測では今後10年で15%増加する、悲観的予測では100%増加すると予想しました。この予測に、当時異論を立てた人は専門家も含め、ほとんどいませんでした。
 
   しかし、蓋を開けてみれば、殺人件数は右肩下がりに転じ、それからしばらく減り続けました。予想が外れた専門家たちは、口々に「経済状況の改善のためだ」「銃規制が広まったためだ」「警察が取り入れた画期的な取り締まりが効いたためだ」などと、言い訳とも取れる”筋の通った”説明をしました。
 
   しかし、事後的に行われた様々な検証の結果、専門家たちの”言い訳”は事実に対する説明としては説明不足だと結論せざるを得ませんでした。
 
   最終的に、殺人件数の減少に最も寄与したと結論づけられた要因は、1973年に起きたとある裁判の判決でした。その裁判とは、妊娠中絶の合法化を巡って1人の一般女性が起こした裁判でした。
 
   その当時まで、アメリカのほとんどの州では中絶は禁止されていました。結果的に、訴訟は連邦最高裁判所までもつれ込みましたが、最高裁は女性の訴えを支持し、全国的に中絶は合法とされました。その結果、望まれない出産、更には劣悪な家庭環境下の子供が減り、殺人件数が減ったのです。殺人件数減少後、これをきれいに言い当てたのは、マスコミのニュースはおろか、専門家の意見を見ても、誰一人いませんでした。

最もあるべき姿勢とは?

 では、どのような姿勢がもっとも合理的でしょうか。僕の意見は、「複雑だと理解した上でシンプルに考える」ことです。
 
   シンプルに考えすぎて決めつけの意見を下してしまう人は、まずは複雑であるということを理解し、その上でシンプルに戻るという2段階を踏む必要があります。
 
   例えるなら、複雑さを知らない人は視界が悪く、自分の周囲のことしか見えていない状態、複雑さを知りながらシンプルに考えられない人はレンズを通して視界は明瞭だけど目に入るもの全てに意識を向けようとしてしまい焦点が合わない状態、複雑さを知ってシンプルに考えられる人はレンズを通して視界は明瞭でしかも重要なものに焦点が合っている状態です。
 
   物事が複雑であることを知らない、または無視した状態で過度にシンプルに考えてしまう人は、先ほどの専門家と同じです。シンプルに考えすぎている人を見分ける方法は、自分の意見にそぐわない意見をことごとくはね返すかどうかを見ることです。
 
   複雑だと知った上でシンプルに考えられる人は謙虚さを持ち、様々な意見に対して寛容になれます。自分の意見が必ずしも完璧ではないということを知っているからです。
 
   もう一方の、物事を複雑に考えすぎて塞ぎ込んでしまう人は、シンプルに考えすぎる人よりは先に進んでいます。そういった人は”繊細さん”なんて呼ばれますが、数多く存在する因果関係を順序づけせずに捉えているからだと思います。重要なことに注意を向け、取るに足らないことは(存在を認識した上で)受け流すことが出来れば、複雑さを知った上でシンプルに考えることが出来るのではないかと思います。

 人は複雑さを知ってはじめて前に進むことが出来る、というのが僕の意見です。皆さんはどう考えるでしょうか?

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