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勘定科目に名称とコードは必要か?【クラウド連結会計こだわり仕様シリーズ】

こんにちは!「マネーフォワード クラウド連結会計(以降“クラウド連結会計”)」のプロダクトマネージャーをしている、HORI です。

こだわり仕様シリーズ始めます

クラウド連結会計を作り上げていく途中で、様々なことを背景から深く検討して仕様に落とし込んでいきましたが、プロダクトの営業資料やヘルプページの仕様説明には書ききれない背景がたくさんあったりします。

(かなり充実したヘルプページがありますが、それはあくまでもユーザー様が操作に迷わないためなので、仕様の背景までは書いてありません)

なので

  • 「なんでこういう仕様になっているんだろう?」

  • 「プロダクト制作側の考え方を知りたい」

と思うようなコアなユーザー様や連結会計の世界に興味がある方に向けて、「クラウド連結会計、こだわり仕様シリーズ」を書き始めようと思います。(全何回とか週イチ更新とかは難しいので、不定期で追加していきます。体系とかナンバリングは増えてきてから整理します)


勘定科目にはコードを持つべきか

まずはシリーズ第一回。「勘定科目にコードを持つべきか」に対して、クラウド連結会計がどのように考え、仕様を決めていったのかを説明していきます。

勘定科目にコードと名称を持つは常識ではない

初回なので前フリが長くなってしまいましたが、冒頭の質問、「勘定科目にコードを持つべきか」に対して、「勘定科目」という言葉を聞きなれている経理経験が豊富な方に聞くと「勘定科目はコードと名称を持っているモノ。むしろ持っていないと困る」という人が多いです。(私も会計士なので、モロにそっちの人間でした)

ですが、実は「勘定科目って何?」という経理業界未経験者な方からすると、「勘定科目というモノにはコードと名称が必要なのはなぜ?」となります。そして人数的には圧倒的にこちらのほうが多いのです。

そして、これは実は結構身近なところで確認できます。経理業界で働いているヒトも、自分の家計簿ではコードをつけていないことが多いと思います。(自分の給与収入とか、預金口座残高にコードを付けて管理しているようなヒトは少数かと思います)

収入や残高を表現しているのは同様なはずなのに、会社の経理業務ではコードを使い、自分の家計簿ではコードを使っていないのです。

勘定科目コードが必要になっていく背景

改めて、勘定科目コードとは何か?を詳細に説明するのは大変なので、そこは下記の記事に譲ります。

とはいえ、ざっくり「勘定科目コードとは」を説明すると

  • 各桁数で意味を持たせる

    • 資産/負債/資本/収益/費用 の大分類

    • 流動資産/固定資産などの中分類

    • 有形固定資産、無形固定資産などの小分類

  • 類似の内容は近い番号を割り振る

  • 特徴的な内容を持つ場合は特別な番号を割り振る

  • 通常、桁数は統一して短めの番号で表現

といった工夫をした番号のことを指します。

勘定科目名称よりも勘定科目コードを使ったほうが、作業ミスを防げたり、視認性が高くなる という効果を狙って利用するものになります。

特に名称が長い勘定科目や、似ているのだが分類が異なる科目などはコードで入力/登録をしたほうがよっぽど早いし正確ということが結構多いです。

そして会社の経理業務は、一人でやる仕事ではなく、複数の人が同じ作業をしなければならないことを考えると、名称で作業を指示したり、引継ぎをしたりするのはミスの温床になりやすく、企業規模が大きくなればなるほど、勘定科目コードが必要となってきます。

経理作業の分担」、「担当者の交代」、「他のシステムとの連携」といったキーワードが出てくると、勘定科目コードは必須な世界に入ってきます。

さらに、グループ経営規模になり全世界で事業を進めていくとなると、日本語の科目名を海外の方が読むのは困難ですし、英語の名称にすると、英語は非常に文字数が多く、横長で見づらい というような課題もあり、海外の子会社と共通言語で会話していくためには、勘定科目コードをベースに話すことのほうが圧倒的に正確&効率的になります。

全世界の勘定科目コード事情

このテーマを書き始めるとキリがないエンドレスの世界なので、さらっと書くに留めますが、実はこれ全世界でバラバラです。

各国の税務申告目的で、3桁~4桁の勘定科目コードが定められていることも多いですが、欧州や米国は「各企業に任せる」の国が多い印象です。

ちなみにきれいに現預金から始まり、段階損益をきちんと出すことで統一していく日本は相当真面目なスタイルに属します。海外では固定資産から始まったり、段階損益なしのシングルステップという利益表示が混ざってたりしてかなりカオスです。

そして、ここがポイントなのですが、全世界の新興企業向けの会計システムは勘定科目コードを持っていないことが多いのです。
そして、その背景が冒頭から説明を続けている「勘定科目にコードが必要となるまで」になります。(なので、ほぼ全世界共通の傾向

中堅以上の規模向けの会計システムや、歴史の古い会計システムなどは勘定科目コードを持っているのですが、成長企業が採用するような新しい会計システムが「勘定科目コードを持っていない」ことが多くなるのは、実は必然の傾向なのです。

クラウド連結会計ユーザー像

マネーフォワード クラウド連結会計は、一定規模までの成長を遂げた企業様がさらなる成長のために「グループ経営」を高度化するためのプロダクトとして作っている関係上、「グループの統一勘定科目にはコードがあるほうが望ましい」、「グループ子会社は勘定科目コードを持っていないことがある」ということになります。

また、一気に成長を遂げてきたグループ親会社様の場合「統一勘定科目コードを持っていないが、これから持ちたい」というケースも多くなってきます。

クラウド連結会計の仕様

これらの背景を踏まえて、クラウド連結会計では以下のような仕様としています

  • グループ各社の科目(勘定科目)グループを統一する科目(連結科目)別の概念とする

  • グループ各社の勘定科目は勘定科目コードを持っていないことを許容する(名称=コードの前提で運用可能にする)

  • ただし、勘定科目コードを持っている場合は勘定科目コードを優先的に使う

  • 連結科目は必ずコードと名称を持つ

  • コードの採番をゼロから行うのは大変なので、汎用的な勘定科目体系に沿ってコードを採番してあるデフォルト連結科目マスタを提供する

  • グループ各社のデータを登録する際に、勘定科目から連結科目への変換が自動的に行われるようにする

これらの仕様により、全世界のグループ各社の事情に配慮しつつ、グループ経営を行う上で必要なデータの統合はクラウド連結会計上で無理なく実現できるようになっています。

なお、上記仕様の中の「科目変換」、「デフォルト連結科目のコード体系」の部分はそれだけで記事を書ける内容なので、後日、こだわり仕様シリーズに追加しようと思います。

最後に

いかがでしたでしょうか?
私たちはこだわりを持ってプロダクトを作り、連結会計の世界を変えていくつもりで日々の開発に取り組んでいます。志を叶えるにはまだまだ遠い道のりですが、このこだわりに共感し、一緒に未来を作っていくメンバーを募集しています。共感された方、気になった方は、ぜひエントリーをお願いいたします。







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