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今って、FY23?FY24? 会計年度と連結決算単位【クラウド連結会計こだわり仕様シリーズ】

こんにちは!「マネーフォワード クラウド連結会計(以降“クラウド連結会計”)」のプロダクトマネージャーをしている、HORI  です。

こだわり仕様シリーズ第4回

クラウド連結会計のこだわりシリーズの第4回です。第1回~第3回は主に「勘定科目」にフォーカスした解説をしていました。(まだ記載したいことはいっぱいあるのですが、このままいくと半年くらい勘定科目の話を続けてしてしまいそうなので、いったん離れてみます)
今回はクラウド連結会計において使っている「連結決算単位」という概念について解説します。

連結決算単位って?

クラウド連結会計では、「会計年度」で作成する一般的な単体会計システムとは異なり、「連結決算単位」という単位で連結決算データを区分しています。一般的な会計用語ではなく、クラウド連結会計で必要と判断して導入した概念です。

会計年度とは

まず先に、単体会計システムが期間の区切り方として利用する会計年度について説明しておきます。
一般的な会計システムでは一般的に1会計期間を対象として年度を設定します。FiscalYearを略してFYとかを頭につけて表現することが多く、カレンダー上の1月~12月とは異なり「会計数値を取りまとめる単位」となります。

なお、FYに関しての豆知識として、日本では 2023年4月~2024年3月期のことをFY23と呼ぶことが多いですが、海外だと同じ期間のことをFY24と表現することのほうが多いです。
何年に始まるか を基準にFYを表記しているか、
何年に終わるか を基準にFYを表記しているか
の違いなのか、日本では帰属する月が多いほう(9ヵ月月が2023年、3ヵ月が2024年)で判断しての慣習になっているかは不明ですが、とりあえず、国内と海外で認識がズレることがよくあります。(そして国内でも意識してないと予算シーズンなどはこのFY表記関連で混乱が生じることはしばしばあります)
なお、12月決算ならこの問題は発生しません。そして、海外は12月決算が多いので、FYの概念そのものを説明することが難しい時もあります。

単体経理業務と連結経理業務の違い

ちょっと話がそれましたが、単体会計システムでは重視される「会計年度」の考え方をクラウド連結会計では、なぜ、そのまま使わなかったのかの説明のために、単体決算業務と連結決算業務のプロセスを簡単に対比してみます。

単体決算業務の3ステップ

  1. 日々の取引を仕訳に記帳する

  2. 会計期間内のすべての仕訳を集計する

  3. 必要な整理・整形を行い財務諸表を作成

単体決算業務と連結業務の対比

  1. 日々の取引の記帳→なし

  2. 仕訳の集計ではなく、グループ会社の財務諸表を集計

  3. 必要な連結修正仕訳を追加し連結財務諸表を作成

一番大きな違いは「連結経理は毎日の処理があるわけではなく、財務諸表の集計から始まっている」という点になります。

単体決算と連結決算の対比イメージ

連結決算業務では、毎回の業務のスタートは「財務諸表を集める」ところからであるため、「必要な期間の仕訳を集計する」という業務はないことがわかるかと思います。
また、連結仕訳も実は同じ会計年度内であっても第1四半期、半期、第3四半期、年次の各連結決算でそれぞれ起票することになります。
このように、連結決算は複式簿記の考え方を活用してグループ全体の状況を表す会計手法でありながら、日々の取引を記帳して集計する単体会計とは異なり、「一時点のデータを集めて分析する業務」に近い性質を持っています。

同期間での連結決算のパターン

連結決算が仕訳の集計ではなく、対象の期間の財務諸表を集計して作成するものというところまで解説しましたが、それだけであれば、「一定の期間ごとに連結決算データを持てる」だけで良いということになるかと思います。
ですが、連結決算データを作りたい というニーズは実は過去の実績だけではない、という側面があります。例えばFY2023年次決算(2023年4月1日~2024年3月31日)という一つの期間に限定しても以下のような連結データを作成したい というニーズが考えられます。

  • 予算(ベース、強気、弱気の3パターンとかの分岐もあり得ます)

  • 見通し

  • 連結範囲変更シミュレーション

クラウド連結会計ではこれらを「業務分類」という用語で定義し、各連結決算単位がどの業務なのかを分類できるようにしています。これによりユーザーは自分がやりたい業務に応じた連結決算を作成することができるようになります。

連結決算単位の定義と仕様

これらの背景を踏まえ、クラウド連結会計における連結決算単位は、連結決算の業務(業務分類)と連結対象期間(開始日、終了日)の組み合わせで定義し、それぞれの連結決算単位に名称を持てるようにしています。(同じ日付でもFYXXXXは違うことがあるので、自動では名前が付けられません。企業によっては独自の会計期として第XX期とすることもあります)

そして、同じ業務に属する連結決算単位はまとめて表示したいので、ログイン後のTOP画面から業務分類ごとに連結決算単位を並べています。(新しい連結決算単位から順に並びます)

結果的にはフォルダ管理で連結データを整理格納している時の状態に似たような画面になり、Excelで連結していたユーザーにとってはなじみ深い感じになっています。さらに対象の業務にすぐに飛んでいけるリンクもついているので、違和感なくスピーディーに連結業務を開始できるようになっています。

連結決算単位での確定

連結決算単位絡みで、少しおまけの機能説明をしておきます。(実はこれが書きたかった:笑)
連結決算完了後、データをロックしておきたいというニーズに応えるため、連結決算単位での確定機能を付けています。(Excelとかだとアーカイブファイルを保存するイメージの業務)
そして、この確定の操作をした際、「連結決算お疲れ様でした!」のメッセージと紙吹雪が出るようにしています
この機能を見ると、その昔、1月1日に車に乗り込んだ時に「あけましておめでとうございます」とナビが言ってくれて、「おぉ!最初のあけおめはナビかぁ!」と思ったことを思い出します。
ちょっとした遊び心ではありますが、孤独な作業に没頭しがちな連結決算担当者の伴走者のような存在になれれば、と思っています。(なお、確定解除もできます。ただし、確定/確定解除の履歴が残ります)

連結決算単位で確定を行うとお祝いされます(笑)

最後に

いかがでしたでしょうか?
私たちはこだわりを持ってプロダクトを作り、連結会計の世界を変えていくつもりで日々の開発に取り組んでいます。志を叶えるにはまだまだ遠い道のりですが、このこだわりに共感し、一緒に未来を作っていくメンバーを募集しています。共感された方、気になった方は、ぜひエントリーをお願いいたします。


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