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連結会計 用語集 その1

こんにちは!「マネーフォワード クラウド連結会計(以降“クラウド連結会計”)」のプロダクトマネージャーをしている、HORI です。

これ何

連結会計業界では普段の経理業務では使わないような独特な用語が数多く登場します。
予備知識なしで連結業務を担当することになると、「ん?この単語の意味は?」となりやすいと思いますので、連結業界の独特な用語をピックアップして簡単に解説する資料です。
プロダクトを作っていく上でも色々な業界用語を説明しなければいけなかったことを思い出しながら、「連結業界独特の用語だったな」と思う用語を少しづつ解説していきます。一回では説明しきれない部分もあると思いますので、随時追加していこうかと思っています(ニーズ次第で調整します)
なお、プロダクト内での用語ではなく、一般的?な連結会計用語になります。


連結会計用語集

連結パッケージ(レンケツパッケージ、レンパケ、パッケージ)

グループ会社(あえて子会社とは書いてません。親会社も必要だから)から連結決財務諸表作成や連結CF計算書、有価証券報告書の注記事項を作成するために必要な情報を一括で集めるためのエクセルファイルないしスプレッドシート。大体10シートから20シートくらいの表と関数の塊。
毎期、改良を加えて使いまわしていくことが多く、過去の連結決算担当者の汗と涙の結晶であることが多い。ただ、あまりに過去の担当者の汗と涙が積み上がりすぎると怨念のようにファイルが重くなり(40シートとかになると動作が遅くなる)、過去の担当者が作った入力エリアやチェック関数が本当に必要なものかどうかを後続の担当者が把握できなくなり、使い勝手が悪くなる傾向がある。 自社の決算に便利なものとして作ったはずが、だんだん使い勝手が悪くなり「どっかにいい連結パッケージないかなぁ」と探し求めている担当者が多いです。(とはいえ、汗と涙の結晶は簡単には捨てられない)

在外子会社(ザイガイコガイシャ)

海外にある子会社のこと。日本円でない通貨で財務諸表を作成しているため、日本円での連結財務諸表を作成する場合には換算が必要となります

CR(シーアール)

海外の子会社の外貨建て財務諸表を親会社通貨(日本なら円)に換算するためのレートの一種。
Current Rate の略でCR。決算日レート。

AR(エーアール)

海外の子会社の外貨建て財務諸表を親会社通貨(日本なら円)に換算するためのレートの一種。
Average Rageの略でAR。期中平均レート。

HR(エイチアール)

海外の子会社の外貨建て財務諸表を親会社通貨(日本なら円)に換算するためのレートの例外。
Historical Rageの略でHR。発生日レート。

為替換算調整勘定(カワセカンザンチョウセイカンジョウ)

海外の子会社を親会社通貨に換算した時の換算差額
なお、英語では Translation Adjustment(TA)であり、外資の経理の方などは ティーエー と呼称することも多い(カワセカンザンチョウセイカンジョウが長いっていうのもあり)
なお、カンサンかカンザンかは諸説ありまして、どちらでも間違いではないです。

TA(ティーエー)

為替換算調整勘定の略語

利益剰余金期首残高(リエキジョウヨキンキシュザンダカ)

期首利益剰余金、繰越利益剰余金(期首)、とか呼び方はいろいろ。厳密にはBSの科目でもPLの科目でもなく、BSの利益剰余金 の 期首の金額を剰余金計算書上で表現する科目

AJE(エージェイイー)

Adjust Journal Entry 修正仕訳。単体の個別諸表の修正に分類される連結仕訳。非支配持分利益の案分計算を行うかどうか 等で 後続のEJEとは分けて考えることが多い

EJE/ELE(イージェイイー/イーエルイー)

Eliminate Journal Entry 消去仕訳 資本連結や内部取引消去のように、単体決算で計上されてきた金額を連結上で消去する連結仕訳

インターカンパニー (インタコ)

内部取引照合のこと Inter Company Transaction → Inter Co、→インタコ
グループ会社間の内部取引について、各グループ会社の報告数値をすり合わせる作業。差額が発生してしまった場合、どちらかの経理処理が間違っているか、集計が間違っているか、認識のずれなのか等の原因を究明します。原因が確認出来たら、内部取引照合が正しく行えるように必要な補整を行います(仕訳切ったり、明細を修正したり)。 この一覧の業務を インターカンパニー とかインタコ と呼称することがあります。

内部取引(ナイブトリヒキ、ナイトリ)

インターカンパニーと意味は同じ

固定資産未実現(コテイシサンミジツゲン、コテミ)

グループ会社間の固定資産売買で付与した未実現利益のこと。固定資産売買時の利益消去とその後の償却に合わせた利益調整が必要

棚卸資産未実現(タナオロシシサンミジツゲン、タナミ)

グループ会社間の商品売買でつけた利益のうち、期末在庫に残っている利益のこと。期末在庫に含まれている利益相当を棚卸資産から控除する必要がある。なお、前期末の未実現利益相当額は当期に該当資産が売却済みになっていれば実現させる必要がある

非支配持分(ヒシハイモチブン、ヒシモチ)

子会社に親会社以外の株主がいる場合の当該株主に帰属する持分。菱餅ではありません。

少数株主持分(ショウスウカブヌシモチブン、ショウモチ)

非支配持分は昔この名前でした。切り替えられてない人多数(自分もたまに間違えます)

マネジメントアプローチ

2010年くらいに、セグメント情報の開示の方法を「投資家にわかりやすいようにすべし」との通達が出る。それまでは金融庁指定の業種分類(インダストリーアプローチ)での開示が主流であったが、経営者が認識しているビジネスの構造に沿ったセグメントを行い、有価証券報告書のセグメントも経営判断と同じ切り方にして開示すべし となった。趣旨としては明確なものの、「マネジメントがどう判断しているか」が判断基準になるので、どこまで厳密にやるべきなのかのさじ加減が難しい

包括利益(ホウカツリエキ)

金融商品の時価評価の含み損益なども経営成績を表しているとの考え方のものと、損益計算書を拡張して、その他有価証券評価差額金(その他包括利益流刑額)等の純資産の部の項目の評価変動額などを追加したものを「包括利益」と呼びます。正直、時価評価にうるさい欧米の概念を直輸入しただけの状態で日本の会計慣行ではあまり活用されていません。マニアックな論点なので深入りは避けますが、日本と欧米の会計・経営に関する考えが根本から食い違っている領域です。

1計算書方式、2計算書方式

包括利益計算書 をどのように開示するのか のスタイルの違いになります。包括利益を当期純利益の下に続けて記載するのが1計算書方式、損益計算書は当期純利益で終わりにして、包括利益計算書を別の書類として記載するのが2計算書方式となります。

注記(チュウキ)

有価証券報告書や四半期報告書作成する際に連結財務諸表とは別に作成/開示しなければいけないもの。セグメント情報のように連結財務諸表の延長線上のようなものもあれば、オフバランス情報の担保資産/偶発債務や、人員数などの数値(金額じゃない)やストックオプションの状況や役員と会社の取引内容といった込み入ったモノもあり、その内容は多岐にわたる。この注記情報を連結財務諸表と一緒に開示しないといけないため、連結パッケージでは注記に必要なデータ収集をカバーすることが多いが、・制度改正などにより必要な収集内容が変わる、・子会社によっては全く関係ない内容が含まれてしまう ということもあり、連結パッケージでのカバー範囲はまちまちとなっているのが実情

串刺し集計(クシザシシュウケイ)

物騒な言葉(⚔)ですが、連結業界では串刺しは必須の技です。狭い範囲の意味としてはExcelの関数テクニックですが、広い意味では「いろいろな会社の数値を同じ軸で集計する」という意味で使っています(スプレッドシートでは使えない関数表現の模様。Excelとしてダウンロードして #NAME?になっているセルをアクティブ化&リターンでExcel関数として復活します)

有価証券報告書(ユウカショウケンホウコクショ、ユウホウ)

自分で書くより、詳しい記事が自社HPにありました

EDINET(エディネット)

金融庁の有価証券報告書閲覧サイト → 上場企業の各種書類をここから閲覧可能なDB。なお、各社の経理担当者から見ると書類の提出先でもあります。

今回はこの辺で力尽きることにします。追加用語のリクエスト等あれば気軽にコメントお願いします。

最後に

いかがでしたでしょうか?
この記事では連結会計に特有な用語に絞って用語解説を行いました。
私たちの提供しているマネーフォワード クラウド連結会計では「グループ経営で未来を創る、やさしい連結会計」というビジョンのもと、連結決算を手軽に実施できるサービスを提供しております。
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