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LeicaMとRの比較

LeicaM3とLeicaR8が手元にあるという狂気の状態にいるわけでして、ちょっと比較してみようと思います。

といっても、レンジファインダーと一眼レフなので、比較するまでもなく全く別の代物。

なので超主観的な感想と作例をあげてみます。


LeicaM3

なぜ半世紀以上も前のカメラに大枚を叩いたかというと、単純に物欲に屈しました。

今思うと、積年の憧れもありましたけれど、情報過多インターネット社会に対するアンチテーゼ衝動であったかもしれません。

NikonD750という申し分のないカメラを持っているわけですが、要するにつまらないわけです。

D750が悪いわけではなく、デジタルカメラ自体に膨大な情報量の海の中で、本来の撮影行為の楽しさだったり創造性みたいなものが雲散霧消した感覚がありました。

ちょっと調べれば使い方のレクチャーやレビュー、SNSを覗けばレタッチされたすんごい写真とか、絶景での半端ない写真、モデルさんを使った巧みなポートレート、youtubeを開けばさらなる高濃度情報が・・・


その件についてはこちらに書きましたが、LeicaM3とはそんな現代の写真趣味に対するアンチテーゼとしての赤ちゃん返りとしてうってつけな天の邪鬼カメラだったのです。

フィルムカメラ、しかも完全マニュアルで露出計すら無い。高い高いフィルムの限られた枚数で常時負けられない戦いの渦中にあり、しかも現像に出すまで結果すらわからない。

この不便さの先には、多大なコストとタイムラグのある試行錯誤が待ち受けています。

もう現代社会が全否定している存在でしか無いですよね。


でも撮影結果の写真一枚一枚に載った情報量は桁違いです。今や5000万画素で激重なデータサイズの写真が撮れますが、現代のフィルム写真一枚にはそれを有に超える情報量が詰まっています。

しかもその情報量はインターネットには簡単にシェアできません。

なぜなら自分にしかわからないから。他人が見れば、「お、フィルムで撮ったんだ」くらいの写真ですが、当事者には様々な写真データ以外の情報がてんこ盛りなのです。

デジタルカメラでの撮影は、その場で確認でき、失敗しても何十枚も撮っておけばあとでどうにでもなる・・・そんな感覚があります。

これは悪いわけではなく、技術進歩のおかげな産物であり、昭和のカメラマンの夢であったでしょう。

要するにフィルムカメラとは、その便利さ故に失ったモノへの回帰という天の邪鬼的反逆であり、要するに消費社会への反抗的消費なのです。


それでLeicaM3を購入したわけです。

まず言えるのは圧倒的な所有感、手に取るだけでニンマリ、価値もなかなか下がりませんし、もし中国なんかでフィルムカメラブームが来れば・・・ふふふ。

ですが実際の撮影となると、慣れないレンジファインダーカメラの操作、露出計なし、フィルムの使い方などなど、困難な道が待ち受けています。

でもこういう悪路をわざわざ歩むのが趣味なんですよね。ドラクエ初期のレベル上げな感じで楽しい限り。そういえばドラクエ後半のレベル上げは作業ゲーになりますが、これはデジタルカメラで味わった感覚そのものです。

こう考えると、フィルムカメラは自分にとってフロンティアであり、伸びしろなわけです。デジタルカメラは作品結果至上主義であり、そこに行き着くまでの道が整備された状態、要するに便利。


画像1

ですがレンジファインダーカメラは、一眼レフカメラに慣れた者にとってかなり使いにくい代物です。

写真の白枠が構図=写真になります。真ん中の白い四角の部分でピント合わせ。ボケ感は見えません。

難しい原因として、一番は構図がドンピシャではないこと。呼吸を止めて、エイヤッと撮っても結果はズレまくり。

これは修行による鍛錬で克服するしかありませんが、構図自体で撮影する一眼レフカメラと違い、実際に見ているファインダーとわずかなズレが有る構造が原因です。

そのかわりレンジファインダーは、撮影構図以外も見えます。

しかもM3に限っては、倍率0.9倍にして史上最高のファインダーと呼ばれています

白枠の外は写真に写らない=構図外を見たまま撮影ができます。ファインダーを除くと、構図しかわからないのが一眼レフ。

この利点はけっこうありまして、動き回る子供を撮る時は動きを予想しやすいですし、構図決定の単純な情報量が多くなります。

あとピント合わせがシビアにできるので、F値が低くても狙った位置にピントをもってこれます・・・が、これはまだ修行中。


しかし何が一番かといえば、コンパクトなところです。

そのくせずっしり来るので高級感半端ないギャップ萌えですが、この小ささ故のフットワークの軽快さを生み、撮影への意欲を沸き立たせ、そしてLeicaなのです。

これはけっこう麻薬的な危険さがあります。

一度、スマホを捨てMシリーズを持って町に出てみましょう。

もう何でも撮れる気がしてきます、実際にはランニングコストのことしか考えていませんが、とにかく写欲で吐きそうになるほど撮影が楽しいのです。

これがLeicaMの魔力か!


LeicaR8

そんな物欲を満たしてくれたLeicaM3ですが、物欲の新たな扉を開くという鬼畜の所業をすることでも有名。

物欲には階層があり、映画CUBEのようになっているらしいんです。

要するにLeicaにやられました。

Leica、これ手に取るとわかるんですが、質が段違いです。

ここで国産機を侮辱するのはナンセンス、そもそも価格もさることながら思想が違うんです。

なんせ日本のカメラメーカーはグローバル大企業で多角経営していますが、Leicaはドイツの中小企業です。すでにスイス時計メーカーのような立ち位置。

Leicaは良い写真を撮るためのものでもありますが、Leicaでなければならないんです。

CANONやNIKONのカメラは良い写真を撮るためのカメラであり、Leicaは良い写真が撮れるLeicaなのです。

わけがわからないかと思いますが、これがLeica沼住人の共通認識です。


そこですでにデジタル一眼レフも持っており、優秀なNIKONのFレンズもゴロゴロあるにも関わらず、Leicaの一眼レフ、しかもフィルムカメラを買いました。

もうこれは完全に物欲鎮魂祭であり、コレクター化しつつある危険な状態ですが、もう形振りかまってられません。

このLeicaR8は曰く付きのLeicaであり、その由来は上記リンクに書きなぐっています。

簡単に言えば、一眼レフカメラによって業界を駆逐されたLeicaが満を持して作り上げた完全自社設計一眼レフカメラなのに、Leicaファンを怒らせたクソデザインだったのです。

だがしかし、そういう曰く付きストーリーは時代を経て、汚名返上名誉挽回の時が訪れます。

まず不人気故に出玉が少ない、希少性が出ると「いやいや、あれはあれで名機」だとか「通はこれを選ぶ」的なアレで急に歴史の檜舞台の隅っこにひょっこりはんです。

LeicaM5を今になって褒めているアレです。

要するに、ホモサピエンスは判官贔屓なところがあるんですよね。


結局の所、LeicaM3のせいでフィルムカメラの楽しさを知り、そしてフィルムの一眼レフカメラが欲しくなり、それがLeicaになったわけです。

そしてLeicaRは安い。否、Mに比べれば格安です。でもLeicaレンズが格安で買えるとなれば、食指が動くのが貧乏サラリーマン。

ここに来てコスパです。Leica買う奴がコスパとか舐めてますが、LeicaMレンズは上級国民か人生カメラに投げ売った沼賢者にしか到達できない価格になっています。

それにLeicaRはMに比べられているからこそ、銃後の存在に感じますが、実際のところなかなか出来たやつです。

それに一眼レフカメラは、ほぼメイド・イン・ジャパンなのでどれも似通った思想により作られています。


これがどうでしょうか?

LeicaR8を選んだのはまさにここで、国産機とは全く違うイデオロギーの一眼レフカメラなんです。

この高級バクダンおにぎりは、人間工学デザインであり、そして国産機とは一線を画す思想によって統一された物体です。

日本のカメラは、ユーザーへ寄り添う撮影手段として最適化されたカメラ、要するに「お母さん」だと思います。

しかしLeicaR8は「親戚のかっこいい兄ちゃん」です。親戚には評判が悪い遊び人、ですが子供心にかっこいい兄ちゃん。部屋にギターとか無造作に置いてあって、洋楽しか聞かなくて、サルトルの実存主義について熱く語るような痛い兄ちゃんです。

そして今のデジタルカメラは「初孫を溺愛するばあちゃん」なのです。

未成熟で未だに反抗期の僕のような人間が欲するもの、それがLeicaR8なのです。


LeicaM3とR8の作例比較

フィルムカメラはフィルムがセンサーなので、同じフィルムで比較してみましょう。

LeicaM3はSummicron 50mm 初期型

LeicaR8はVario-Elmar-R 35-70mm/f3.5

単焦点とズームレンズ、そしてVarioちゃんに至っては日本のミノルタが作ったようなものですので、比較すること自体が間違っていますが、ここはnoteです。

noteでは許されるのです。noteでフィルムカメラ記事を読んでいるようなお方は、おそらくこの罪深き所業をお許しになるような寛大なお方に間違いありません。


まずは『Fujicolor C200』

LeicaM3


LeicaR8


続いて『Kodak Ultramax400

LeicaM3


LeicaR8


どうでしょうか?

「LeicaMとRの違いじゃなくて、レンズの比較ではないか?」

そう思ったあなた、正解です。

ですがここはnoteのフィルムカメラ記事なのです。

マハトマ・ガンジーのような寛大な精神をお持ちのフィルムカメラ愛好者、もしくは沼賢者の優しい皆様がご覧になっているはずですので、お気になさらずに。


レンズの話をしますと、

Summicron=空気感・立体化

Vario-Elmar=高コントラスト

ですので、前者はフジ、後者はKodakが合っているように感じます。

ですがどうでしょうか?

写真にレンジファインダーと一眼レフの違い、そしてLeicaMとRの違いを感じますでしょうか?

それを感じたあなたは・・・だいぶ重症のLeica中毒者です。


それでは皆様、良き沼ライフを!ズブズブ・・・

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