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緊急事態宣言下の歌舞伎町で『AKIRA』を観る(エシカル100考、92/100)

世間様に申し訳ないとは、思っています。

緊急事態宣言が、まさに発令されている真っ最中に、歌舞伎町で映画『AKIRA』を観てきました。

『AKIRA』。

その作品性の高さはもちろんながら、東京オリンピックが2020年に予定されることや、その中止も示唆されること、さらに疫病の蔓延、そして非常事態宣言の発令などの物語背景があまりに予言的だと話題です。IMAXの大画面で4Kリマスター版が上映されています。

不要不急の外出としか言いようがない。しかし今、この世界情勢のなか、この時、この場所で、『AKIRA』を観るということ、現実と虚構の交点に身を置くということは、かけがえのないものではないかと思い、そこで自分が何を感じるのかを知りたいと思い、観てきました。

映画のシーンによく似た、そびえる高層ビルと猥雑なネオンの街、新宿・歌舞伎町は、人の気配が減っており、道行く人もマスクをして俯きがちで足早に歩いており、その漂う緊張感が映画とそのままつながります。

久々に観る『AKIRA』は、やっぱりよくわからなかった。

浮かんだ言葉としては、「凡庸が膨れ上がっていく」ということと、「社会の繁栄が極点になり退廃へと転化していき、その先」ということと、「人の能力の拡張が極点になり退嬰へと転化していき、その先」といったことでした。

言語化ができていないので、寝かせておくことにします。

ただやはり、今この時代に『AKIRA』を観るのだとしたら、大量消費社会が行きすぎて、大量廃棄社会に生きている私たちのことや、人新世(アントロポセン)などと言いながら、ウィルスに生死を脅かされている私たちのことを考えてしまうのだ、ということかと思います。(ちなみに『AKIRA』は消費文化の最盛ともいえるバブル絶頂期の映画です)

映画は、結末も先行きもまったくよくわからないのですが、それは現実世界も同じだな、というのも、稚拙な感想の一つです。

映画館を出たら、歌舞伎町からも綺麗な月が見えました。

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