今日も今日とて36協定 ~ある人事担当の手記~ その①

ひとくちに人事担当と言っても、その中には様々な業種があることをどれだけの方がご存じだろうか。

まず採用系。

彼らは人事の花形である。一般的な企業では新卒担当と中途採用担当が分かれていることが多く、小さな企業では兼任のところもある。大企業ともなると専門職採用(エンジニアなど)を専任とする採用担当がいることもある。

彼らは会社の窓口として採用面接を行い、有力な求職者を入社させるのが主なミッションだ。面接やその合否通知だけでなく、内定後のフォローや、労働条件の通知なども行っている。

必然的に対人スキルの高いものが配属されることが多い。キラキラしている人事担当はだいたいこの部門の人だ。

キャリア開発系。

社内の教育、人員配置等に任を持つ彼ら。研修制度の構築やその運営、またはキャリア面談なども実施する。

必然的に社内だけでなく職種や、業界そのものに知見のある人間が登用される。内部からの人事異動により教育担当になる人も多い。ご意見番みたいな人が社内教育の長をやっているケースもある。

次に企画系。

人件費や要員計画、それから制度設計など。会社の内部に対しアクションを起こす部署だ。こちらは経営企画や営業系の統括部門とも距離が近く、社内の事をよく知っている人間か外部からの高度人材が登用されることが多い。

怖いと言われる人事職はだいたいこの部門にいる。だが彼らは決して怖い人間ではない、経営層からの猛烈なトップダウンにより社員に目を向ける余裕が微塵もなくなっているだけだ。それも一年中。

最後は給与・労務系。

給与計算や、社会保険手続き。それから労働時間管理など。一日の8割をExcel作業に費やす。残りの2割は使えない人事・給与計算システムだ。

AIやRPAなどが発展した令和の時代に、想像できないほどの非効率な作業を実施している。

ちなみに、この分野では社労士の資格を持っている人が神扱いされる。

それは知識に対する尊敬だけではない。殺人的な給与スケジュールの合間を縫ってあの法律群を暗記し、試験にパスした者に対する賞賛である。

以上が人事の主な大別である。このほかにも色々あるが、これは私の私的なカテゴライズにすぎないのでご了承いただきたい。