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ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞と新書による新たな挑戦の蹉跌「#徹壱塾」塾長ヒストリー<3/7>

 写真家・ノンフィクションライターの宇都宮徹壱です。これまで27年の活動の間に、ノンフィクションを中心に14冊の書籍を上梓してきました(参照)。そこで培ってきたノウハウとメソッドを体系化して、2024年7月11日より「宇都宮徹壱ブックライター塾(#徹壱塾)」を開講します。

 ただいま「#徹壱塾」では1期生を募集中6月30日締め切りまでの間、宇都宮徹壱の過去の作品を「塾長ヒストリー」として7回にわたってお届けしたいと思います。第1回は、デビュー作の『幻のサッカー王国』、そして今は市場でも滅多に見かけない『サポーター新世紀』です。

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2009年『フットボールの犬 欧羅巴1999‐2009』(東邦出版)

 欧州フットボールの辺境地を「犬のように地を這う視座」で取材を続ける、という姿勢がそのままタイトルになった本書。サブタイトルにあるよう、1999年から2009年までの取材を1冊の書籍にまとめたもので、前作につづいて東邦出版から上梓させていただきました。

 訪れた国は、イタリアやオランダといったメジャーな国もありますが、基本的には「なぜそこ?」という国ばかり。スコットランド、アイルランド、ポーランド、トルコ、ウクライナ、フェロー諸島、マルタなどなど。今から読み返してみると、よくぞこれだけの国々をほっつき歩いてきたものだと、われながら感心します。

 2000年代を振り返った時、スター選手や戦術だけでない「文化としてのフットボール」を扱うメディアが、まだまだ健在だったように思います。「今度、フェロー諸島に行くんだけど」「じゃあ、ウチで出しましょう!」といったやりとりができた、私のような書き手にとっては幸福な時代でした。

 この『フットボールの犬』は、2009年のミズノスポーツライター賞の最優秀賞を受賞(優秀賞は『1976年のアントニオ猪木』などの作品で知られる柳澤健さんでした)。2011年には幻冬舎で文庫化もされています。その意味で、書き手としての視界が一気に広がるのを実感できた作品でした。

2011年『日本代表の冒険 南アフリカからブラジルへ 』(光文社新書)

 初めての新書、初めての版元、そして初めての「日本代表」というテーマ。さまざまなチャレンジを試みることができた本書は、2010年のワールドカップ・南アフリカ大会での取材の日々を綴ったものでした。版元は光文社新書。先方からの提案で当企画はスタートしました。

 ベースになったのは、スポーツナビで連載されていた「日々是世界杯2010」。初めてアフリカ大陸で開催されたフットボールの祭典の裏側、そして岡田武史監督率いる日本代表の戦いぶりなどを毎日更新していました。

 ネットメディアが初出の書籍化というのも、この時が初めて。単にテキストを流し込めばいいという話ではなく、横書きを縦書きにすることの難しさと面白さを実感できたのは新鮮な経験でした。また、写真も意外と豊富。南アフリカのビビッドな色彩が、ある程度は再現できていたと思います。

 ただ、残念ながら本書は、増刷には至りませんでした。理由は大きく3つ。まず、ワールドカップネタは熱しやすく冷めやすい傾向があること。次に、ネットで無料で読めた内容を書籍で読みたがる人は多くなかったこと。これらに加えて、出版直後に起こった東日本大震災の影響も大きかったように思います。

 名のある賞を受賞したからといって、その後のライターのキャリアが順風満帆というわけではありません。私の場合、その後もたびたび失敗を経験しています。「#徹壱塾」では、ただ単にブックライターとなるためのノウハウだけでなく、こうした失敗の数々もお伝えしていきたいと思います。

JR西荻窪駅より徒歩1分、会場の「factoria」。塾長の普段の仕事場でもあります。

 当塾は「自ら取材して執筆する」ことで「書籍デビューを目指す」方に特化した講座となっております。また当塾は、オンラインではなく「対面での指導」にこだわります。

 ブックライターになるメリットとは何か? 私の経験に基づいて断言できるのは、以下の4点です。

1)ライターとしてのステイタスが上がる。
2)作品を通してファンを獲得できる。
3)自分の仕事が読者の記憶に残る。
4)ライターとして息の長い活動ができる。

 書籍を出せば、間違いなく書き手としてのステイタスは上がるし、ファンを獲得できるし、読者の記憶にも残るし、息の長い活動も可能になります。

 そこに価値を見出だせるのであれば、まずは「3年後の書籍デビュー」を目標に、当塾を受講してみてはいかがでしょうか? 当塾では、あなたの努力と才能と運を最大限に引き出すべく、これまで培ってきたノウハウをメソッドにしてお伝えしていきます。

 1期生を迎えての最初の講義は、7月11日(木)18時30分。これまで4冊の書籍を執筆してきた、東京・西荻窪のコワーキングスペース「factoria」でお待ちしています。

塾長:宇都宮徹壱(写真家・ノンフィクションライター)

プロフィール:
近著『異端のチェアマン 村井満、Jリーグ再建の真実』(集英社インターナショナル)。
1966年生まれ。東京出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て、1997年に「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」を追い続け、積極的な取材活動を展開中。
2016年より個人メディア「宇都宮徹壱ウェブマガジン」をスタート。
著書多数。2010年に『フットボールの犬 欧羅巴1999‐2009』(東邦出版)で第20回ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。2017年に『サッカーおくのほそ道Jリーグを目指すクラブ 目指さないクラブ』(カンゼン)でサッカー本大賞受賞。

「#徹壱塾」に興味を持たれた方、あるいは入塾をご検討されている方、下記の記事にアクセスしてみてください。

 主な内容は以下のとおりです。

■どんな方に向けた講座か?
■どんな学びが得られるか?
■どんな特徴があるのか?
■どんな効果が期待できるか?
■6カ月で学ぶ11のメソッド
■第1期「#徹壱塾」概要

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