カンボジアのお母さんと共に暮らしを学ぶ料理教室
シェムリアップのどこにでもある住宅街。半屋外にしつらえられた台所から賑やかな声が聞こえてくる。
一緒に料理するのは、カンボジアに初めて来た日本人観光客とカンボジアのお母さん。50代のお母さんは、自分でも手を動かしつつ参加者たちにテキパキと指示を出して料理を進めていく。
「ほらっ、そんなに厚く切っちゃダメ!これはうすーく切らないと」
「こっちの鍋をかき混ぜて!焦げちゃうわよ」
「ほら、この葉っぱはね、お料理だけじゃなくてお腹の調子が悪い時にお茶にして飲んだりするのよ」
お母さんのおしゃべりは途切れることなく続き、どんどんお料理は進んでいく。
お料理教室というよりは、カンボジアのどこにでもある家庭の夕食作りに紛れてしまったような、そんな雰囲気だ。
料理ができた後は、台所の横のテーブルでみんなで一緒に試食会。その時もお母さんの賑やかなお喋りは続き、みんなでリラックスしたひと時を楽しんで教室は終了した。
このお料理教室を主催するのは、カンボジアで長く看護支援を続ける傍ら、どこにでもある日常のカンボジア料理を研究し続けてきた前原とよみさん。
前原さんは、トンレサップ湖の水上村の医療支援の現場に長く関わってきた中で痛感したのは、食の大切さだと言う。
近年カンボジアには、多くの輸入食品やスナック菓子、欧米スタイルの食事がどんどん流れ込んできている。
貧しい家庭では朝は忙しく、子どもたちの朝食はきちんとした食事の代わりに安いインスタントラーメンで済ますことも多々ある。
暮らしを支えるのは、先端医療だけではなく、日々の食事だ。
昔ながらのカンボジア料理には、そうした日常を支えるお母さんの知恵がたくさん詰まっている。カンボジアの環境に適した素材と気候にあったハーブの数々をふんだんに使ったカンボジアのごはんは、美味しくて理にかなった健康食だ。
前原さんはこうしたカンボジア料理の知恵と美味しさ、作る楽しさを、出会ったたくさんのお母さんから学んできた。
自分が体験してきたこの楽しさと美味しさを伝えたい!
そんな気持ちで始まったのが、”カンボジアの日常のごはん”をつくる料理教室だ。
コロナの状況を経た今は、カンボジアのお母さんのお家での開催は難しい状況となってしまったが、前原さんと作るカンボジア料理は、カンボジアのお母さんと作る料理そのものだ。
今でも、前原さんと一緒に市場に買い物に行くと、馴染みのお店のお母さんから次々と声をかけられる。
「これ新鮮よ、〇〇産なんだから」
「それは今、旬じゃないからこっちの〇〇の方が美味しいわよ」
「品切れだけど、すぐそこの知り合いの店から持ってくるから、ちょっと待っててよ」
料理教室のお母さんとのやり取りそのままのお買い物風景は、前原さんが伝えたい楽しさそのものだ。
あなたもカンボジアを訪れた際には、日常に溶け込んだ、”カンボジアのごはん”を体験してみてはいかがでしょうか?
前原さんが主催する料理教室『カンボジア料理教室』では、グループ、プライベートのカンボジア料理を楽しむ教室だけではなく、市場ツアーや朝ごはんツアーなど、カンボジアの文化を感じるツアーも主催しています。
facebook、インスタグラムでお申し込みできます。