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電界怪異図鑑:【お隠れ様】

【お隠れ様】

学名:Festum invisibilia
妖怪:ツチネズミ科
恐怖レベル:★

「お隠れ様」は日本のある地域の祭りの際に姿を現す神秘的な存在です。
その特徴として、大きな瞳と小さな体を持ち、臆病な性格の持ち主であるため、祭りの隅や物陰に隠れて覗いていることが多いです。しかし、その隠れる技術はとても下手で、簡単に姿を発見することができます。
正式な名前は「お隠れ様」ですが、地元の住民たちは「かくれん坊」という愛称で親しんでおり、祭りの成功と豊作の鍵を握る存在として、彼らの存在を大切にしています。

もしも、お祭りの最中にお隠れ様の姿を発見しても、絶対に気づいている様子を見せてはいけません。気づいている素振りを見せると、お隠れ様は怖がって逃げてしまうそうです。伝承によれば、この臆病な妖怪が祭りを最後まで見届けた時、その年の豊作が約束されると言われています。逆に、祭りの途中で驚かせてしまうと、収穫が少なくなってしまうとも。
そのため、祭りの間は参加者も観客も、一丸となって気づかないふりをし続けます。それこそが、このお祭りの最大の演目なんだとか。

ただ、今でこそ楽しい雰囲気のお祭ですが、昔はこれほど穏やかな行事ではありませんでした。
ある古い農家の邸宅で見せてもらった文献によれば、かつてお隠れ様はもっとたくさんの数がいて、なんと祭りの度に捕まえて焼き殺し、灰を畑に撒いていたそうです。恐ろしい儀式ですが、効果は絶大らしく、冬でさえ作物が実ったという記述もありました。

かつての祭りの様子
お隠れ様は積極的に捕らえられていた

しかし、続けていくうちにお隠れ様の数はどんどん減っていき、数匹を残すばかり。このままではまずいと、明治の終わり頃に儀式を改めることになりました。豊作効果は弱まるものの、お隠れ様に最後まで祭りを楽しんでもらうことにしたのです。
こうして、両者は本当の意味で共存の道を歩み始めました。

近年、祭りの規模が大きくなり、多くの観光客が訪れるようになったため、お隠れ様を守る地域の人々の努力がより一層求められるようになりました。彼らは祭りの成功と共に、この不思議な存在との関係を大切にしています。

祭りの時期になると外国人観光客に向けた手作り看板が立てられる

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