TERU
短編や中編の小説を無料で公開しています。
自腹で購入したガジェットやパソコンの評価記事です
北欧神話をおもしろおかしくご紹介します。
ギリシア神話をコミカルなタッチでご紹介します
新刊から既刊本までまとめました。
東京。かつて江戸と呼ばれたこの都には、いまも魑魅魍魎が巣くう。 若き女刑事と陰陽師の末裔が、奇怪な事件に挑む! Kindleで好評発売中! またKindle Unlimited会員の方は0円でお読みいただけます。
1 「遅くなって申し訳ない」 鳴沢はオレが指定したバーにやってきた。九時二分。たしかに約束の時間より遅かった。だが、たった二分だ。 「いいえ。こっちこそ突然で申し訳ないです」 きのうの昼、オレは鳴沢に電話を入れて飲みに誘った。こんなこといままでに一度もなかったから鳴沢は驚いていたが、相談したいことがあるというと快く承知してくれた。 「いいんですよ。気にしないでください」 鳴沢は笑った。 オレたちはバーに入って席に着いた。 「なにを飲みますか?」 オレが聞くのと同時
1 ぼくの両親は事故で死んだ。ぼくは中学生になったばかりだった。そのとき祖父も祖母も亡くなっていたから、ぼくは東京の親戚に引き取られた。 幸いその親戚は割と裕福な家だったので、ぼくはそれほど肩身の狭い思いをしないですんだ。でもそれは表面的なことで、ぼくは精神的に孤立していた。 たぶん、おじさんとおばさんにとってぼくはいい子だったと思う。ワガママを言ったことはないし、与えられた部屋だっていつもきれいに使っていた。家の手伝いもよくやった。 ぼくがいい子だったのは、ぼくが
1 いつからか結婚なんてまったく人事だと思うようになっていた。女優という仕事がそう思わせたのかもしれない。 私が芸能界に入ったのはもう十六年も前の話。当時、二十歳だった私は、モデルとして男性雑誌のグラビアを飾っていた。そんなモデル生活を送りながら、テレビのバラエティー番組にも何度か出たりしていた。 二十三のときドラマ出演の話が来た。本格的なドラマ出演はそれが初めて。もちろん脇役だけど。 そのドラマは好評だった。その後、私にもドラマ出演の仕事がよく入り、お茶の間に顔が
1 「おはよう、奈緒子」 「おはよう、パパ。やだ、また朝まで起きてたの?」 奈緒子はぼくの顔を見ると呆れたように言った。 「目の下にクマができてるわよ」 「原稿の締め切りが近いんだよ」 「あたし思うんだけどね。夜中に原稿を書いて昼間寝るなら、昼間原稿を書いて夜寝た方が健康にいいと思うんですけど」 「うっ、するどいご指摘ですね、奈緒子さん……」 「奈緒子さんじゃないわよ。パパもいい年なんだから少しは体のこと考えてよね」 「まだ、四十一だぞ」 「もう、四十一よ。りっぱなオジサ
メモアプリってあるじゃないですか。黎明期(?)のころ有名だったのはEvernoteですかね。 そういうぼくは、Macの「メモ」アプリと、Googleの「keep」を備忘録的に使っていて、さらに情報の整理にMicrosoftの「OneNote」を使っていました。でも「OneNote」には小さな不満があるんです。 というのは―― ご覧のとおり「OneNote」の見た目はよくあるメモアプリ。左側のサイドバーに分類する項目があって、右側が編集画面。構造自体はわかりやすくていいん
北欧神話 第二話 さあ、北欧神話の第二話いってみましょうか。 前回はアース神族とヴァン神族の戦争が終わって、フレイたちがアース神族に加わったところで終わりました。流れがよかったんで、あそこまで書いちゃったんですが、少しばかり時間を巻き戻してオーディンの奥さんのことを書きます。 戻るところは、オーディンが知識を求めてヨーツンヘイムのミーミルに会いに旅に出るところまで。 このときすでにオーディンは、独身ではなく結婚してました。奥さまの名はフリッグ。オーディンが神々
北欧神話 第一話 神話についてのエッセイもいろいろ書いてまいりましたが、今度は北欧神話でございます。ゲルマン民族に伝わる伝説ですな。 まず、一番最初にお断り。 これからいろんな固有名詞が出てきますが、例によって文献によって同じものでも表記の仕方が微妙に異なります。たとえば、「オーディン→オージン」「ユミル→イミル」「ミーミル→ミミル」「ヨーツンヘイム→ヨトゥンヘイム」なんて具合。これはもう、どう統一していいものやらサッパリわかりませんので、できるだけ多くの人が使っ
ギリシア神話 第八話 今回はご紹介するのは、ギリシア神話最大の「美女」という設定をされているヘレネさんです。トロイア戦争を引き起こした傾国の美女ですよ。 2004年に公開された映画『トロイ』をご存じでしょうか。ブラッド・ピット主演でトロイア戦争を描いた物語。古い映画だけど、いまもどこかの配信サービスで観れるかも。 そもそもトロイア戦争とはギリシア神話(ホメロスの『イーリアス』)に書かれていたトロイアに、ミュケーナイを中心とするアカイア人の遠征軍が行った戦争のことで
ギリシア神話 第七話 今回ご紹介する女神さまはアテネさまでございます。 最初にお断り。アテネはアテナとも呼ばれます。むしろ「アテナ」と書く方が一般的なんだけど、このエッセイでは「アテネ」にします。だってこっちの方が好きなんだもん。なんといいかげんなエッセイですこと。ほかの神さまも同じです。べつの呼び方がいろいろありますが、ぼくが一番好きな呼び名(発音?)で、このエッセイは進めます。ちなみに、アテネのローマ神話での名前はミネルバですよ。 さて。いきなりですが、アテネ
ギリシア神話 第六話 みなさんエロスって知ってる? ローマ神話では、クピドと呼ばれてる神様だよ。よけいわかんないか。クピドを英語読みするとキューピッド。もうわかったよね。そう、よく公園で立ちションベンしてるアレだよ。 うそうそ。あれは違うよね。しかし小便小僧なんてだれが考えたのかね。 なんだか、いきなりイメージぶち壊しだけど、どうしたわけか、エロスは中世ヨーロッパの画家たちに、幼い子供の姿で描かれることになって、ションベン小僧に成り下がってしまった。違うな。マヨネ
日本神話 第五話 前回の四話で、日本神話の登場人物が移り変わって行くと書きました。それは日本の「歴史」とも密接にかかわっていると推察されるので、今回の五話目は「物語」というより歴史の教科書っぽくなりそうです。 いいのかこれで? 大丈夫か? と自問してても仕方ないので、がんばって書いてみます。 前回、オオクニヌシくんが浮気者だとバラしました。彼ってギリシャ神話のゼウスにとてもよく似ている。そして奥さんのスセリが、これまたゼウスの奥さんのヘラにソックリ。不思議ですよね
日本神話 第四話 第三話に続いてスセリとオオクニヌシのお話を……と、その前に。ちょいと神話についてウンチクを。 ええと、神話、神話と言ってますが、じつは神話というのは、それが書かれた当時の「歴史」を反映している場合が多いのです。とくに日本神話の場合は、神=天皇という図式があるから興味深い。ちなみに、現存している日本最古の書物は「日本書紀」です。ついで古いのが「古事記」。日本の神話は、ほぼ、このふたつの書物からきています。 さて。二つの書物があるといっても、ぼくのエ
日本神話 第三話 今回の主役はスセリさん。 前回、衝撃的な出会いを果たしたスセリとオオクニヌシ。って、ただ門の前で会っただけなんですが、二人にとっては衝撃的だったんですな。ビビビーッと電気が走ったわけですよ、お二人の背中に。 「スセリさん」 「いや。スセリとお呼びになって」 「ああ、スセリ」 「ああ、オオクニヌシ」 二人は、ひしと抱き合います。 「スセリ。ぼくと結婚してくれ」 「はい。喜んで」 二人は、熱いキスを交わします。お子様は目をつぶるように。 なにー
Lenovo「IdeaPad Pro 5i Gen9」(14インチ)を購入いたしました。 中身は本体とACアダプターだけ。あとは保証書と注意書きの紙が何枚か。 スペックとお値段CPU:Core Ultra 7 155H メモリー:32GB ストレージ:1TB SSD ディスプレイ:14インチOLED(有機EL) (2880 x 1800) 重量:約 1.46kg この基本スペックに、3年の延長保証と、3年のバッテリー交換無償(バッテリーが不調になったときのみ)を
ギリシア神話 第五話 さて、お立ち会い。今回はゼウスとヘラの娘さんのお話ですよ。 彼女の名前は「ヘベ」。いささか響きが悪いですが、この名前には「青春」という意味もあるらしいです。青春ですよ、青春。と、ここまで書けばお察しいただける通り、ヘベは明るく快活なお嬢さんです。しかも、超のつく美人のヘラ姉さん(いや、本当ですってば)の娘さんですからね。お母さんに似て、輝くばかりの美しさ。と、オリュンポスの神様たちの間で有名です。(だから、本当ですってば) まったく、アレスや