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繰り返される「時間」と弱っていく身体


不登校は、1日にして成らず

過去20数年間、フリースクール地球子屋でさまざまな子どもたちを見てきたため、例えば小学校(中学校)は初日から行ってないよ、という子も確かにいます。そういう子どもは、保育園、子ども園時代に行き渋りがあることが多いみたいです。(私の姪っ子さんもそんな感じ。学校は「地獄だ」と小1にして言い切るところがスゴイ)
ただ一般的には、最初は学校に行きます。朝起きてから慌ただしく洗面、トイレ、着替え、朝食、歯磨き、登校準備など息つく暇もないほど次から次へとこなしていき、交通に気をつけながら、地域の人の目を気にしながら、挨拶は高齢の人にも聞こえるようにハッキリと!言いながら、学期始めは集団登校で上級生の子どもの歩調にも小走りで合わせていきながら、重いランドセルを背負って、歩いて登校です。朝の6時だか7時だか無理やり起こされての登校までの行動ですから、中にはまだ眠い目をこすりこすりしながら、ということになります。
8時半すぎに先生が朝の会から始まって、慌ただしく45分の授業をお昼までこなしていきます。図工や体育がある日は子どもたちは休憩もままならず急いで準備に追われることもしばしば。授業も先生の言う内容が次から次へと移り変わり、集中しようにもワイワイ、ガヤガヤ、先生の怒鳴り声も重なって頭がクラクラしてくることもあるでしょう。アレして、コレをせよと指示が息つく暇もなく言われ続けて、ちゃんとやろう、しっかりしようと思っている子どもほど満足にできない現状にフラストレーションも溜まります。もっと頭に思い描いたようにやりたいのに、できないことが腹立たしいのです。
やっとお昼になったと思ったら、机を並べ替えて給食の準備です。エプロンしておかずなどを持ち運び、1つ1つのさらに盛り付けていきます。ああ、ちょっと多かった、少なかったと思うこともありますが流れ作業でどんどんしないといけません。本当は、そんなにお腹がすいてなくても、あるいはもっと食べたいと思ったとしてもとにかく「1人分」を用意して、いただくことになります。と思ったら食べるための時間は20分程度です。あれよあれよという間に周りのみんなは食べ終わった皿を片付けに席を立ちます。ゆっくりと噛むことしかできない、飲み込むことが少しずつしかできない子どもにとって給食は本当に嫌な時間になっていきます。昼休み、掃除、午後の授業と進んでいきますが今日という日がどんな1日であったか、考える暇を学校は与えてはくれません。とにかく先生が思い描いたスケジュールをこなしていくこと、それが学校の生活だったということに気づくのにそれほど時間はかからないのです。

毎日の学校生活の繰り返すことで無理をしていく

集団での生活というだけでなく、先生の思い描く1日のスケージュールについていくこと、集団の中で自分の意見を言えば、時間は遅れるし、どうしてみんなと一緒のことができないのかと責められるわけですから自分の考えや自分がしたい行動をとにかく我慢、ガマン、がまんです。
そして集団ですから、当然、よくクラスのことについて気がつく子、先生と上手くコミュニケーションがとれる子、オモシロいことがいえる子など目立つ子どもが出てくるのは当然です。そんな子どもはまだ教室が居心地がいいのですが、引っ込み思案で、大きな声を出そうものなら緊張して喉がカラカラになるようなシャイな子は黙っているしかありません。大人しくしていることしかできないのです。あー、そんな学校つまんないなーという顔をしようものならからかわれたり、いじられたりなど思わぬ絡まれ方をしないとも限りません。心の中ではウザいと思っても、それを顔や口に出せば、ケンカになってしまうかも、本格的にイジメになってしまうかも、などと頭によぎるので心とは裏腹に愛想笑いでごまかすのです。
ガマンして、愛想笑いして、自分を偽っていく中で、どうしてこんなところに自分はいなければならないのだろうという考えが頭に浮かんでは消えて、消えてはまた浮かんできます。毎日が、本当に学校の毎日の生活が自分にとってツマラナイ、価値のない、ストレスが多くて、なんのためにもならない、ただただ時間が早く過ぎていってほしい、ただ早く学校が終わってほしいというだけの気持ちになっていきます。1日でそうなるわけではありません。毎日のちょっとしたことの積み重ね、ほんの些細な嫌な事が気持ちを萎えさせていきます。居心地の悪い環境に身をおくということは、緊張状態を知らず知らずのうちにとってしまいます。リラックスはできませんから。そういう緊張状態を続けていれば、学校が終わるころにはドッと疲れが出てきます。そういう疲れ方をしていると寝ても疲れがとりきれないのです。それでも学校に行かなければならないわけですから、頑張ろうと無理をします。そんな毎日の繰り返しがあって、少しずつ健康をすり減らしてしまっているのです。

学校に行っていれば、問題なし?!

多くのご家族が、後から振り返って考えてみると、子どもの様子が何かおかしかったかもしれないと気がつくことが多いです。ただ、子どもは毎日をただただ頑張って行っているだけなので、心や身体に変調が出てきていることにもなかなか気づかないかもしれません。ましてや頑張っていることを周りもほめたたえる傾向があります。ああ、私は頑張っていいんだ、これでいいんだと子ども自身も思ってしまいますよね。
しかしサインは、出ているはずです。学校に行くことが大切ですか?本当は違いますよね。子どもが元気に笑顔で幸せそうに日々を過ごすことが一番大切なことではないでしょうか?もちろん、親御さんは子どもだけを見ているわけにはいきません。仕事やご家族や家事や他の子の子育てや親の介護や地域や学校行事やなんやかやと忙しいから、しっかりと子どもを見ようにも見ている余裕がないのかもしれません。とりあえず学校にいって、頑張っているようだからと安心しきっていると気づくことができないのかもしれません。
決してそれを責めているわけではないのです。ただ子どもが日々生活している学校という場所は、大人が思っている以上にストレスが多い環境になってしまいました。(大人は知らないという話も以前書きました)
何か元気がなさそう、笑顔を見てないなと最も早く気づくことができるのもご家族です。
ベッドから動けなくなるほど、元気を失くしてしまう前に、そう少しでも元気が残っているうちに気づいてあげることができれば、回復もずいぶん早いものです。
こんなことを言っては、ご批判もあるでしょうが、子どもさんのサインに気づいたら、積極的に「不登校」にしてあげてストレスを軽くしてあげることが、不登校にならない方法であると言えます。なんと逆説的な!
嫌な事、辛いこと、イライラすることが学校にあるのなら、そのストレスから離してあげることが一番なのです。
そんなことして休み癖がついたらどうするんだ!と声が聞こえてきそうですが、もしそうならちゃんと子どもさんの目を見て、言ってあげてください。「学校に行きたい気持ちはありますか?」と。多くの子どもは、学校に行きたいと思っているのです、行けるのなら、という条件付きですけど。