【短歌】悪魔だって反省している
ガソリンを捨つる人あり捨てられず堕ちゆく人もありと知るべし
よかれと思ってしたことが相手にとっては迷惑だった。なぜだろうと考えを巡らせていると、少しでもルーティンを乱されることに対処できないのだと思い至った。私のことが悪魔に見えたに違いない。
イタリアの映画監督ミケランジェロ・アントニオーニは、空撮中の小さな飛行機を不時着させなければならなくなったとき、「できるだけ(機体を)軽くするために、すべての持ち物を放り投げ、爆発を回避するためにガソリンを捨て」させ、なんとか事なきを得た(『映画作家が自身を語る アントニオーニ 存在の証明』フィルムアート社)。想定外の出来事に直面したとき、誰もが彼のように瞬時に的確な判断を下せる訳ではない。そして、想定の範囲は人により異なる。
その後のやり取りで誤解が解けたとはいえ、今後は慎んだ行動を心がけねばと反省する悪魔であった。