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小説

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ほそぼそと書き溜めていた小説を、ほそぼそとお目見えしていこうと思います。どうぞ、お暇な折、お茶のお供になりますように。
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記事一覧

白雪のゲルダよ、どうか忘れないでくれ。

 なんの主張もせず、ただひっそりと。静かにたたずむ君のことを、僕はじっと見つめていました…

キャプテン・キングの英雄譚

キャプテン・キングの英雄譚     俺という眠れる魂を呼び起こしたのはお嬢ちゃんかい? な…

若葉治療院へようこそ!

   朝起きたらまず初めにカーテンを開ける。この習慣ができたのは、薄暗い森の中にある田舎…

時 論

ナァ、時と云ふものは、と、彼は言った。 「ハァ、時と云ふものは」 と、私は言う。此の後に何…

ああ、いとしのパリジェンヌ!  

 一目見た瞬間に、キミとわかる。それは僕がキミに恋をしているからに他ならない。否、僕はキ…

真夜中における罪

     罪の味は甘美だ。  彼女を表現するには、いかなる言語も役に立ちはしない。  蠱惑的…

若宮のお社で

   柔らかな日差しがぽかぽかと、小さな庭に降り注ぐ。  小春日和のその庭に、次々集まる仲間たち。  足音ひとつ立てないで、やあやあみなさんこんにちは。  本日誠にお日柄もよく、いいお日和でございますねとピンピン尖ったひげの先、お澄まししながらやってきて、あったかお日さま見えている、若宮さんのお社の、お庭でのんびりお昼寝を。      むかぁしむかし、その昔。今を生きてる人たちも、かの大宮にそびえたつ、梢も高きあの木々も、だあれも知らないころからの、ふるういふるいまほろばの都

巡り、往く、ものたち

巡(めぐ)り、往(ゆ)く、ものたち                   そこは何もない真っ白な…