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The madman raugh【雲外鏡】

私は、道端で笑う大人を見た。
大人は一人で、下半身を勃起させながら誰もいない道端でタバコを吸いながら笑っていた。

私は、あの人は狂ってるから
あゝして笑うのだと思った。

母を殴り続けた父も、私を殴り続けた母も
あの人たちは狂ってるのだと思った。

学校や会社で弱い者いじめをする人も
きっとあれはキチガイなのだ。

キチガイだからそんな事が出来るんだ。

みんなが優しく手を取り合えば、いろんな事が上手く行く筈なのに。
どうしてそんな事も解れないんだ。

私はそんな狂人にはなりたくない。

「軽度発達遅滞、一般的にはそういう呼び方をされています。親からの虐待、学校でのいじめ、そういうトラウマみたいのを幼い頃に多く刻まれてしまうと、コレね?コレに、なっちゃうんですよ…。あなたが人より漢字が読めないのも、直ぐに自分を責めてしまうのも、それはあなたがとても純粋で優しいからですよ。知恵遅れとか、そういう事じゃない。純粋過ぎるんです。それはあなたの優れた個性だから。もし、あなたを悪く言う人が現れても笑ってて大丈夫」ーーーーー

ハゲ頭の主治医に一礼してから診察室を後にした。

私は、精神病棟のトイレに駆け込み鏡に映る自分を見た。

自分の正体が暴かれた今
狂人として、心から笑える気がした。

「狂ってたのは、私か」


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