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社会の歯車としてお寺を活用する。最明寺・千田明寛さん #お寺のソーシャルデザイン vol.02

こんにちは、テラエナジーの霍野(つるの)です。以前開催した『お寺のソーシャルデザイン#2』の様子をレポートします。

『お寺のソーシャルデザイン』は、お寺がもつ社会的な資源を活用したソーシャルグッドなアクションについて考えるイベントです。

今回は、お寺で性的少数者(LGBT)カップルのための結婚式を催す最明寺の千田明寛さんをゲストにお迎えしました。

最近は、このLGBTウエディングがメディアなどでも大きく取り上げられますが、世界自閉症啓発デーや乳がん早期発見の啓発に連動した青やピンクのライトアップ、一人親家庭を支援するフードパントリーなどお寺での活動は多岐にわたっています。千田さんをお招きして、LGBTウエディングをはじめるまでの経緯や想いについてお話を伺いました。

お寺を照らすことからはじまった

千田さんは、26歳のときに比叡山延暦寺で加行を終えた後、インドに1年間留学されました。

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下宿先の隣にワイン畑があり、農家の方々が愛情を注ぎながら育てている姿に感銘を受け、帰国してからソムリエの資格を取得。

ハマってしまうと、他のことを忘れて、無我夢中になってしまう癖があります(笑)。

そんなソムリエ僧侶の千田さんのお寺が埼玉県川越市にある天台宗・最明寺です。LGBTウエディングを実施し、多くのメディアに取り上げられる注目のお寺。現在はLGBTの活動で注目を浴びていますが、以前から様々な活動をなされていました。

千田さんがインドから帰国して、最初に実施した取り組みが、お寺をライトアップすること。お寺をライトアップと聞くと、京都のお寺に代表されるように、秋の頃に紅葉を美しく照らしだす厳かな様子を想像されたかもしれませんが、最明寺は蛍光色が中心。

今日はピンクです。いかがわしい事やってんのかと思われるかもしんないですけど(笑)。これもきちんとした意味があります。毎年10月はピンクリボン月間です。ピンクリボンって何を意味するかご存知でしょうか?乳がんの正しい知識を広め、乳がん検診の早期受診を推進することを目的として行われる世界規模の啓発キャンペーンです。

キャンペーン期間中は、東京だと東京タワー都庁もピンクでライトアップされますし、大阪だと通天閣、京都だと京都タワーなどでも実施されています。そう言われてみると見たことある方もいるかもしれません。

最明寺は、日本でのピンクリボン運動の先駆けとなった認定NPO法人J. POSHのオフィシャルパートナーとして、2018年よりこの活動に参加しています。

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取り組みを始めたきっかけは、緩和ケア病棟で乳がん患者の方と接し、早期発見の重要性を学んだことが大きかったそうです。

乳がんは発見が早ければ、命を落とす確率は少ない病です。早期発見が大事。そういうことを教えてもらったときに、お寺で何か出来ることはないだろうかと考えました。悶々としていたときに、施設をライトアップする普及啓発の活動があることを知り「これだ!」と思い、すぐに認定NPO法人J. POSHに問いあわせました。

ライトアップがお寺の関心を示す手段となった

現在は、ライトアップにとどまらず、ピンクリボンにちなんだLINEスタンプや袈裟を販売し、収益を寄付するチャリティの取り組みも実践されています。取り組みに共感する各地のお寺も出てきて、仏教界でも徐々に活動の拡がりを見せているとのこと。

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施設をライトアップする事によって、まずは人に関心を持ってもらう。「なんでお寺がピンクになってんだ?!」って気になるじゃないですか。そうするとピンクリボンの趣旨が書かれたパンフレットも見てもらえる。些細な活動ではありますが、大きなお金をかけずに始められる、お寺の資源を活かした社会的な取り組みになっていると感じています。

最明寺はピンクだけでなくシーズン毎にライトアップのカラーが変化します。4月は自閉症や発達障害のテーマカラーであるブルーに、9月はピンクリボンの後は女性に対する暴力根絶運動のシンボルであるパープルに、11月は児童虐待防止のカラーであるオレンジ。

ライトアップは、 それぞれの活動の普及啓発への想いはもちろんなのですが、同時に、このお寺は社会的な取り組みに賛同するお寺なんだというメッセージを出すことができます。そうすると、地域のNPOや行政と連携する機会も増えました。

ライトアップの設営は、ネットで調べながら千田さん自身で行い、かかる費用は照明器具と電球ぐらいなもの。時間やお金の負担もなく気軽にはじめられるソーシャルグッドなアクションです。

お寺単独では行わない

千田さんは、他団体と連携することにより、お寺がもつ資源が最大限に発揮されると考えておられるとのこと。

私は、お寺単独としての活動は絶対に行わないようにしています。お寺業界の外に一歩出れば、様々な専門的な知識や技能をもって活動している方々がいます。そういった方と協力しながら取り組みを企画していく。自分だけで企画やプロモーションを全てやるのは大変じゃないですか。協力しあうことで、どんどん裾野が拡がっていっています。お寺を社会の歯車の一つとして活用することによって他団体との相乗効果が狙える。

「社会の歯車」というと「社会のために過剰に尽くす」みたいなネガティブなイメージがあるかもしれませんが、「隙間を埋め、大きな力を与える」ものだと思っています。お寺の社会的価値というのも考えてみたときに積極的に様々な団体と連携した方が、社会に大きな力を与えられると私は考えています。

最明寺の様々な活動のなかでも、他団体との連携によって、みるみる活動が拡がっていったのがフードパントリー。川越市がフードパントリーの事業を構想するなかで、広い会場が必要となりました。そんなときに、最明寺が「おてらおやつクラブ」の活動を実施していたことがきっかけとなり、連携協力が進みはじめたとのこと。

私は、場所を提供するだけではなく、スタッフの一人としても活動に参加しています。スタッフには行政の職員の方、地域のNPOの方もいます。お寺が中心になりながら、セクターを越えて活動できています。私が思い描く理想の形の一つです。

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いま注目される最明寺LGBTウエディングは、これまで培ってきた行政やNPOとの信頼関係から生まれた活動だそうです。そもそものきっかけは、川越市が2020年5月からパートナーシップ宣誓制度を出しました。日本の法律では婚姻は認められませんが、川越市は二人のパートナーシップが婚姻と同等であると承認し、自治体独自の証明書を発行することで、公営住宅への入居が認められたり、病院で家族として扱ってもらえたりという一定の効力を期待できるようになる制度のことです。この制度は、全国各地(2021年1月時点で74自治体)に拡がっています。

私は知り合いに誘われて、代々木公園で行われた東京のレインボーパレードに参加しました。法衣を着て参加したこともあり様々な方と仲良くなりました。そこで知り合った方から、後日ご連絡をいただき、お寺でLGBTウエディングをできないか、と相談を受けたのがきっかけです。

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お寺の資源を活かしつつ、様々なセクターの団体と協力しながら、社会的な問題に積極的に関わる千田さん。このようなスタンスは、インドに留学した経験が大きかったと言います。

インドは大半がヒンドゥー教徒なので、僧侶がお葬式に関わることはほとんどありません。じゃあ、日頃何してるのか。苦悩を抱える人のお悩みを聞いたり、孤児のためにお金を集めたり、社会的な活動に励むわけです。そうした姿を目の当たりにして、日本のお寺や僧侶の在り方に対して、とても違和感をもつようになりました。もちろん、葬送儀礼を勤めることは、悲嘆に暮れる方にとって必要なケアの方法だとも思います。だけど、それだけで良いのか。生きている人、苦悩を抱える方に積極的に関わるお寺になりたいなと思ったのが、こういった活動を始めた動機です。

現代は、社会問題も複雑化、多様化する時代です。社会的な問題に励むお寺がもっと増えれば、安心して生きていける地域、社会になると思っています。最明寺でのチャレンジが、各地のお寺の活動のヒントになればと願ってます。

千田 明寛(Senda Myokan)

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法政大学法学部国際政治学科卒業、専門は「イギリス政治」。在学中に、国会議員事務所でのインターンを経験、またイギリスの大学に短期留学し、国内外の政治を広く学ぶ。国連難民高等弁務官の緒方貞子氏が立ち上げた学生団体「模擬国連」で2009年度副会長を務める。大学卒業後、自坊を継ぐために仏門に入り2014年に比叡山延暦寺での加行を終え下山。現在、最明寺副住職。

最後に

『お寺のソーシャルデザイン』は不定期開催。イベントではご参加の皆さまからも随時質問を受付け、双方向性を大切にしながら実施しています。テラエナジーpeatixをフォローしていただくとイベントのご案内が届きますので是非ともフォローしてください。それでは、またのご縁でみなさまにお会いできること楽しみにしています!


『お寺のソーシャルデザイン』のレポートはこちら!


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