転校は、つらいよ。
小学校の6年間、僕は父親の仕事の都合で、全国を転々とした。
いわゆる転勤族だ。
今まで仲の良かった友達と別れ、新たな友達をつくるという工程は、
もの凄いしんどいし、ストレスがかかる。
そりゃそうだ、大人になった今でも、自分で決めたことはいえ、
転職というイベントはものすごくエネルギーを使う。
父親は普通のサラリーマンで、人事異動のある3月と10月は、
ドキドキしたものだった。ことしも転校しなければいけないのではないかと。
ただ、転校は悪いことばかりではない。
新しい土地で、新しい友達と出会い仲良くなることは、
大人になった今振り返ってみると、とても貴重な経験を
させてもらったと思っている。
なんせ、空気を読むことや、協調性を持つことが得意技になったのだから。
でも、ひとつだけ、転校にまつわる僕のエピソードのなかで、
ショックだった出来事がある。
それは、長野の松本から、父親の実家のある茨城に引っ越しをして、
初の登校日のこと。当時小学5年生。
母親とともに登校した僕は、校長室に連れていかれた。
校長は開口一番に
「今日は朝に体育館で全校集会があるから、
そこで挨拶をしようか」と言った。
「この親父は何を言っているんだ?」
目の前が真っ白になった。
数百人もの生徒がいる前で、一人ぽつねんと立たされ、
なにかを発言しなければいけない状況が、
10歳の子どもにとって荷が重すぎることとは、
考えられないのだろうか。
壇上で何を話したかは覚えていない。
でも、小さな田舎町の子どもたちにとって
他の場所からやってきた転校生という存在はとても珍しく、
奇異の視線が向けられ、
「なんだあいつは」という空気感をびしばし感じたのは
今でも心に残っている。
当時の僕は、その校長の発言が大きなショックだったし、
少なからず僕の心に傷を与えた。
そしてそれ以来、教育者という人間を信用しなくなったである。
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