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結局、リーダーに向いている素質とは

 これまで、「あなたがリーダーになるために」ということで、連載的な形で記事をいくつか挙げてきた。
ここで一覧にしてまとめてみると、
1.都合の悪い意見を隣に置くということ
2.今、リーダーが最も重視すべきは「合意形成能力」
3.組織を構成する3つの要素
4.組織の中でのリーダーとは
5.リーダーが持つべき能力は何か
6.役割を振るメリットとは
7.役割を振る際に気を付けるべき3つのワード
8.モチベーションを操作せよ
9.内に秘めるモチベーションにトライ!
10.問題は取り組むと決めた瞬間に勝負が決まっている
11.合意形成のカギはメタ的視点に在り
ということで、ちょうど一ヵ月ぐらいの時間をかけて、一通り書ききることができた。
応援や、スキを頂いた方々に、厚く御礼申し上げたい。

<なぜリーダーとメンバーですれ違うのか>

 これだけのことを書いておきながら、すごく当たり前なことをいうようで恐縮だが、リーダーって誰でもできるものではないと思う。
 そもそも、他者について考えなければいけないことは多いし、チームを円滑にするために時間を使うことが増えるので、本来自身でしたいことがあるのなら面倒事でしかない。
しかもこれまで挙げたように、様々な能力や知識を必要とする、ある種専門職だ。
何も努力することなく、自然とリーダーとしてチームをまとめることができる、先天的な才能なんてものは存在しない。
活躍されているリーダーは、相応の対価を払い、そうなるべく行動した者だと断言できる。
(後に述べるが、向いている資質というのはある)
 そして、現実の世界では、さらにおかしな決め方で、不幸にもチームのリーダーとして働かなければならない人が生まれてしまう
そのおかしな決め方の典型例が、終身雇用でよくみられる「その会社に長くいたからリーダー(管理職)になる」といったものだ。
確かに、その会社のことや業務の内容を熟知しているというのは、チームのメンバーの働きを管理する上で、大きくプラスに働く。
しかし、リーダーに必要な能力は、例えばこれまでにあげた「合意形成の能力」であったり、「役割分担の能力」であったりと、普段メンバーとして働いている限りは強く意識する必要のない能力だ。
それなのに、研修などを特にするわけでもなく、「君はこの業務を熟知しているからリーダーできるだろ」みたいな、本来なら理由に全くなっていない理屈で、管理職を命じられる。
 命じられた側が、そのギャップを自覚しているのならまだ良い。
そうでないなら本人にとっても、一緒に働くメンバーにとっても、待っているのは地獄だ。
「自分の方が経験者で、立場も偉いのに、全然いうこと聞かない。最近の若い者はこれだから駄目だ」
とリーダーは卑屈になり、メンバーは
「リーダー全然話聞かんし、そろそろ転職の時期かな~」
とか言い出して、就業中に転職サイトの閲覧時間が増えることになる。

<こんな人がリーダーになると良いよね>

 では、どんな人がリーダーに向いているのかということで、最後に私が思うリーダーが持っていると有利な素質について挙げる。
 まずは目的や、事業の柱などを大事にするタイプであることだ。
リーダーは立場上、様々な選択を迫られることが多い。
そんな時の羅針盤(らしんばん)となるものが組織の目的であったりするはずだ。
それを常に意識している人はブレにくく、周りが安心して協力することができるようになる。
 次に、ストレス耐性に強いこと。
ポジティブな人がリーダーとして活躍している印象を持つ方は多いだろう。
それは、ポジティブな考え方が管理職に向いているという話ではなく、ストレスに強いからという副次的な理由だと思っている。
ネガティブな思考も、暴走しないという意味で重要なのだが、その前に精神的に潰れてしまうから、続かないということなのではないだろうか。
 最後に、チームで何かを成すことに対し強いモチベーションを持っていることだ。
リーダーとして円滑にチームをまとめるためには、どう転んでも人一倍努力する必要がある。
なので、「チームとして何かを成す」という部分でモチベーションが沸かなければ、続かないか、メンバーといがみ合って膠着(こうちゃく)状態が続くような結果にしかならないと感じる。

 リーダーは、やりたい人がまっとうな努力をしてなるべきもの。
そうでない環境ができてしまっているのなら、そのチームはほぼ間違いなく空中分解してなくなるだろう。
それぐらいの危機感を持っても、考えすぎとは言えないと思う。

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