スクリーンショット__34_

合意形成のカギはメタ的視点に在り

 先の記事で挙げたリーダーが持つべき4つの能力。
1.役割分担能力
2.モチベーション操作能力
3.問題発見能力
4.合意形成能力
このうち、最後の合意形成能力に関する話をしていこうと思う。

<なぜ合意形成能力が必要なのか>

 過去に書いた『今、リーダーが最も重視すべきは「合意形成能力」』にも、その理由を紹介している。
要点をまとめると、
・正解が見つけにくい社会になり、先導型ではチームを引っ張るのが難しい時代になった
・故に、合意を形成し、全員で決めた「正解」へ向けて動くということを扇動する方が活躍しやすい
というところだ。
 この正解を全員で決めるという時に役立つのが合意形成能力
さらに、チーム内のモチベーションを高めるのにも使える。
個人が影響力を増していく時代のリスクヘッジにもなる。
っと、何かと意識して損のない能力だと感じている。
 しかも、現状この能力を意識してチームを運営しているリーダーは少ない。
そのために、合意形成を円滑に行える力があるだけで、案外周りから注目を集められること請け合いだ。

<とはいえ簡単ではない>

 合意形成というと、なんだそんなことかと思う人もいるかもしれない。
しかし、そう思う人は真剣に取り組んだことのない人ではないだろうか。
一言でいうと、超面倒
 私が研修会を開く際には、ピペットディスカッションというゲームを通して、合意形成の実践をする。
たまたまネットで見つけたグループワークなのだが、これが良くできているので、紹介兼ねて説明をしていきたい。
「今後生きていくう上で最も大切にしていきたいもの」
というテーマで、愛とかお金とかの10個の項目にグループで順番を付けていくというワークだ。
その際に多数決禁止などのルールもいくつか設けている。
 資料には基準として、5~8人のグループで、60分かけて項目を埋めるとあるが、とんでもない。
5人の大学生をグループにして3時間かけても終わった試しがないほど難問だ。
嘘だと思うのなら、ぜひやってみてほしい。
真剣に取り組もうとすればするほど、知らないうちに時間が過ぎていくことに驚くことだろう。

<進行のカギはメタ的視点>

 合意形成が難しいのは、人によって背景であったり、解釈であったりが違うから。
ある人の当たり前が、片方ではそうでなかったり。
ある人の優先順位が、他の人では真逆に働いたりと、ともかく合意を形成する際には個々の違いがこれでもかというほど出てくる。
まぁ、それだけ個性がバラバラというのは、実のところ良い話でもあるのだが、こういう時には面倒だと思ってしまうのも仕方がないだろう。
 そんな時に、取りまとめる側が一緒になって紛糾して議論をしてしまえば、一向に収集はつかなくなってしまう。
そして、「なかなか決まらないから、後から代表者の中で決めるわ」
とか、「次の会議に持ち込みましょう」のような、歯切りの悪い終わり方になる。
 そうならないためのアドバイスというか、考え方がメタ的視点だ。
このメタ的というのは、ゲームとかが好きな人は理解している人も多いかもしれないが、より高次元のって感じの意味になる。
例えるなら、自分たちが会議をしている・・・という本を読んでいる状態というか。
その様子を第三者として俯瞰(ふかん)してみている状態だ。
そんな視点で会議を見ましょうということで、メタ的視点。
 このメタ的視点を持つと、実は現在進行している話し合いがテーマとは全く違う部分でかみ合っていないと気付くかもしれない。
ピペットディスカッションの「今後生きていく上で・・・」の「今後」の部分が、ある人は翌日のことを前提にしていて、一方は死ぬ間際のことを念頭に入れてたりすると、もうかみ合わない。
前者はお金が優先度高くなるだろうし、後者は愛などに偏ってくるだろう。
 そんな感じで、メタ的な立場になって初めてわかることが出てくる。
合意形成を受け持つ機会があれば、ぜひ参考にしてもらいたい。

頂いたサポートは、取材の費用やnote用の機材の購入費に充てていきます。