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都合の悪い意見を隣に置くということ

 4月12日に行われた東京大学の入学式にて、上野千鶴子さんという同大学名誉教授の方が述べていた祝辞が非常に興味深かった。伊吹早織さんという方が記事を書かれていたので、まずシェアしたい。

「がんばっても報われない社会が待っている」東大の入学式で語られたこと【全文】

 祝辞の内容自体も示唆(しさ)に富むといったところではあるが、スピーチの内容を読んでいて、真っ先に思い出したのが、漫画「HUNTER×HUNTER」にでてくるネテロという人物の言葉だった。
「ワシが最も苦手なタイプ
 ワシが側に置いときたいのはそんな奴じゃよ」
初めて読んだ当初は、どんなメッセージを込めたM発言なのか、正直理解に苦しんだ(笑)
しかし、社会人になり人の前に立つ人を見てきて、そして自分が管理職といわれる立場についてみて、さらにはリーダーの研修会などを主催してきた経験を通してみて。
この言葉がその人物の器の広さを物語る秀逸な台詞だということが分かる。
今回紹介した祝辞でも、本人が東京大学に感じる問題点を指摘する部分があった。
東大の教授陣が並び、新入生が話を聞く目の前で、さらっと大学の悪口を言う上野氏の度胸にも称賛を覚えるが、何よりそれを言える東京大学の雰囲気に非常に好感を持てた。
もちろん、実際は100%自由に何でもできるというわけではないだろうが、少なくとも公開の場で、国内の首位大学がそのような姿勢を見せたことは、一定の価値があると思っている。

 もそもなぜ反対意見を側に置くようなことが必要なのだろうか。それは、逆のパターンを考えると分かりやすい。
例えば、会社のトップが自らの側近、副社長だとか理事だとか、そのあたりをイエスマンで固めたとする。
すると何が起こるかというと、働く人たちの正解が顧客等の利用者のためでなく、働く人のためでもなく、さらに言うと会社のためでもなくなる。
トップの方針にYESということ。それが何よりも重要だという認識が社内に広がることになるわけだ。
そりゃぁ、昇給に関わるわけだし。
極論を言うと経営者を挙げて「君たちは会社のことなんて考えなくていいよ」っていうメッセージを暗に送っている状態になるから、働いている人は自分のことを考えて選択をするしかない。
己の実を守るためにYES!と言うか、
己の実を守るためにNOと言って出ていく or NOと言いながら隠れるか。
そんな企業や団体は、果たして5年後、10年後、そして20年後とかにどうなっていることでしょう。。。

 ップやリーダーの姿勢は、それだけで組織に多大な影響を及ぼす。イエスマンでトップが周囲を固めるということは、動かしやすいというメリットもある反面、組織として致命的なデメリットもあることをよく理解する必要があるだろう。
結局は、組織の目的であったり、方針であったりでどちらが良いかは変わるのだが、
イエスマンで経営陣を固める

活気のある大きな組織を作る
というのは、矛盾していることを知るべきだと思う。

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