仮想通貨参入はFacebookにどんな影響を与えるか

仮想通貨(暗号資産)について、あれだけ盛況だったCMも最近見なくなった。
といっても、私の家にはテレビ(正確に言うと受信するための装置)がないので、公共放送の世界はよく知らないのだが・・・
少なくともネット広告内ではとんと見かけない。

#COMEMO #NIKKEI

そんな中、Facebookがデジタル通貨(仮想通貨)を使った金融サービスを始めるということで、ニュースになっていた。

仮想通貨を支えるブロックチェーンという技術は、それこそ世界を変えるようなインパクトを持つものだ。
しかし、その技術により管理されている仮想通貨は、残念なことに投機の対象として多くの人が関与することで、価値が乱高下し通貨として利用しずらい代物になってしまった。

そんな中でのFacebookの参入。
どのよう狙いがあるのか、少し考えてみよう。

まず、Facebookの現状だが決して安泰といえる状況ではないと考えている。
理由は2つ。

1つ目はSNSの流行り廃りの速さ
例えば日本でも、Facebook⇒Twitter⇒LINE⇒Instagram⇒TikTokとコロコロ変わってきている。
2013年あたりは、誰もが使っているサービスだったが、アカウントはあるがログインしていない人はかなりいるのではないだろうか。
We Love Socialによると、国内のアクティブユーザー数はLINE、Twitter、Instagramの次に位置している。
もともと、Facebookは個人のライフログ(アルバム)的な立ち位置につくことで、誰にとっても必需品といえるサービスとなることを狙っていた。
しかし、想像以上に人々の興味関心は流れやすく、たけのこのように新たなSNSサービスが誕生しシェアを奪っていってしまう。

2つ目が個人情報に対する風当たりの強さだ。
そもそも、Facebookはサービス利用者の個人情報を集めることによって、広告などのビジネスを打つというのが収益の柱であった。
しかし、ここに来てプライバシー問題に対する風当たりは世界的に強くなっている。

ただでさえ、シェアが下がっている中、収益の柱となっている部分も雲行きが怪しいということで、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)の中でもまず先に落ちるんではないかという噂が立つのも、仕方がない状況だろう。

そんな中でのFacebookの仮想通貨参入に、どのような意味があるのだろうか

私は、発展途上国の小口送金ニーズを捕えたいのではと考えている。
実はFacebookはアフリカなどの発展途上の地域では人気の高いサービスだ。
ネット環境の悪い地域用にアプリを微調整するなどの、丁寧な対応が功を奏しているのだろう。

そして、そのような地域は通貨に対して大きく2つの悩みを持つ。
1つは、自国の通貨が信用できないということ。
そして2つ目が現在の送金手段(国際送金含む)はどの手段を取ろうと高い手数料がかかることだ。

送金の手数料などは、別に発展途上国に限った話ではないが、例えば日本のように通貨や経済が安定している国では、個人で国際送金を考える機会はそう多くないだろう。
加えて、出稼ぎによる収入を実家に送ったりも多く、実は日本よりもずっと先進的な送金サービスが、既にアフリカで動いていたりする。
しかも、数千円~数万円単位という小口の話だ。

まぁ、この辺のことを挙げるといろいろ面白く、話が長くなるのでここまでにするが。
ともかく発展途上国の国際送金も含めた送金サービスへのニーズは強い

もともと、仮想通貨は国際送金の手段として非常に期待されていた
管理に人の手がかからないため、手数料がこれまでの比ではないほど安くなるからだ。
しかし、前述したように価値が乱高下するため、そもそも通貨としての信用ができない代物になっている。

仮に、その価値の乱高下をFacebookが解消できれば、既にそのサービスを欲している人たちはSNSサービスで囲い込めている。
それこそ、アフリカの莫大な数の小口送金・国際送金を仲介することになるだろう。
そうなると、Facebookにとっても主要な収入源といえる規模にまで達する。

もしかしたら、十数年後。
私たちはFacebookをSNS会社ではなく、国際銀行的な金融会社(フィンテック企業)として、認識するようになっているかもしれない
タイムリミットは他のSNSサービスが本格的にアフリカ地域へ参入するまで。
さてどうなるか。

場合によっては、先のGAFAに関する予想を大きく狂わす動きとなるかもしれない。

頂いたサポートは、取材の費用やnote用の機材の購入費に充てていきます。