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TETSU.co/VBコーチング・レポート

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バレーボールの練習やコーチング、育成についての考察や実践報告などをアウトプットしていきます。
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記事一覧

バレーボールコーチ(指導者)に読んでほしい一冊(2024)

どの分野でも、「理論と実践」と言われるわけですが、バレーボールの指導現場にいて長年感じてきたことは、何年たっても全国どこへ行っても、アップデートされていない同じような指導内容が聞かれる・見られるということです。 そして、スポーツ界でも問題となっている現象がバレーボールにも色濃く残っています。 バレーボール指導者としての「学び」「学ぶ方法」は多様です。今は、情報通信技術も発達していますから、映像資料や遠隔地とのオンライン交流なども容易で、情報があふれています。 しかし、そん

イン・システムがあるからアウト・オブ・システムがある(当たり前)

(写真FIVB) 情報の共有は重要であるバレーボールは、複数人で構成するチームで行うスポーツです。ですから、チーム内でのディシプリン(規律)やガイドライン(指針)といった、メンバーの共通理解や自己組織化を図られるような仕組みが必要になってきます。 自チームのプレー、そして対戦相手のプレー、それぞれ予測がしにくい不確実な(ある程度は限定できるが)状況が続き、試合展開や局面の推移も複雑多岐にわたります。プレーや場面、ゲームの展開は、事後の完全再現が困難なものが多いです。 そうい

バレーボールコーチの私が、野球選手をサポートしている話🏐⚾

関東の大学野球でピッチャーとして活躍している大学生選手のサポートをやっています。内容は、技術的なものからメンタルやモチベーションに関することまで幅広く対話しています。東京と札幌という地理要因から現地で会うことはなかなかできず、オンラインでのセッションを年間複数回やっています。スポーツメンタルコーチのメソッドを意識して関わっています。 バレーボールコーチをやっている自分にとっては、いろんな気付きや発見があり、レポートしてみます。 バレーボールコーチである私にできることとは私は

育成年代レポ~中学生バレーボール2022‐2023シーズン総括

(1)はじめに(導入)約3年あまりの間、私たちの活動にさまざまな制限をもたらしたコロナ禍の情勢下、大会をはじめ各種事業がそれまで通りに行うことが困難になりました。中学生バレーボールの活動(私の場合は部活動)においても、それまでのような年間指導計画を見通すことができませんでした。 しかし、2022年夏からのシーズン(1年間)は、活動制限が緩和され、練習時間や活動日数等の上限などの設定はあれでも、ようやく、1年を見通した選手やチームの指導と育成に取り組むことができました。 じっ

オンコートレクチャー2022 #1~#3 ガッカリしないコーチングメソッド(感想)

 オンコートレクチャーの実践報告です。3回のうち最初の1回をプレ的に行い、残りの2回はバレーボール女子日本代表ストレングスコーチの柴田さんをお招きして、TETSUと柴田さんとのコラボで練習会を構成しました。  3回とも対象は中学女子1~2年生。それぞれ4チームずつの参加とし、大人個人での参加も可能としました。  コンセプトは、「ガッカリしないコーチング」。選手も指導者も目の前で起こることにいちいち悲観的になったりガッカリするようなリアクションをもたず、それ以外で発揮できる思考

言葉(用語)で変わってくる、バレーボールの見える景色

Volleyball Nations League 2021  今年は特に、東京オリンピック直前の最終調整として各チームの戦略に見応えがあります。日本でも、日本代表戦はテレビ(BS)で全試合観ることができます。またWEBでは、VolleyballTVですべての試合をチェックでき、世界と日本のバレーボールの今を知ることができます。ほぼ毎日のようにバレーボールの試合が日本でも観ることができる、幸せな期間です。 多くの人にバレーを観てもらえるようになり再び焦点が当たる「用語」 

「主体性」と「教えない」「怒らない」を考える

 自己紹介にも書きましたが、私がバレーボールについて考察したり発信するのは、自分の人生の中で最も影響を与えた要素の一つであるバレーボールがさらに発展し、一人でも多くの人々が喜びをシェアできるようになってもらいたいという願いがあるからです。  今日に至るまで、コーチとしてのスキルアップや、チーム強化のスキル、現代バレーの見方や考え方の考察など、いろんなインプットやアウトプットをしてきたわけですが、近年の主張となるテーマは、 日本のバレーボールの向上と発展のカギは「アンダーカテ

シンガポールでバレーボール(2017)

2017年12月末。北海道ヤングクラブ連盟の国際交流事業として、北海道内のヤングクラブ選手の中学生たちとシンガポールに行く機会を得ました。シンガポールには長年バレーボールの国際交流に尽力されている、成田明彦先生がいらっしゃって、今回の国際交流が実現しました。成田先生はシンガポールでバレーボールの普及と指導にあたっておられました。  こうして、日本を出て、海外のバレーボールの風を直に感じる機会を得ました。ナショナルチームクラスの試合は、むしろ日本でも国際大会が開かれることもあ

セッターの育成って・・・

セッターって、大事ですよね? とても大事なんです。 そして、「心技体考」・・・どれも要求されます。 ディグやレセプションが多少乱れても、セッターが修正してくれれば攻撃は達成されます。 スパイカーが思い思いに助走をしても、セッターが合わせてくれることで、攻撃の持ち味が発揮されます。 セッターが相手ブロックとのかけひきで有利に立てば、スパイクは安心して打てます。 とても重要なポジションです。 今日ちょっと話題にしたいのは、セッターを育成するために、どの程度の時間や経験を要し、セ

「6人制」をやらねばらないという規則があるのか?

 バレーボールに子供たちをどう出会わせるか? ここ最近、いろんな競技種目の方や業種の違う方々と交流する機会が増え、その話題の中で何度も、スポーツと子供、スポーツと子供の成長、スポーツの発展とアンダーカテゴリの在り方について、活発な意見交換が行われていて、とても刺激をもらえます。  少なからずどの競技でも、早期年代からの勝利至上主義によって、いろんな問題が発生し、そこに問題意識や危機感があることがわかります。ですから、これからはますます競技の枠をこえて、スポーツと人間生活とのか

ポーランド・バレーボール滞在記2020

 2020年2月。とある友人との出会いから、勢いで、バレーボールを観るために数日間ポーランドに飛び込んでみました。 なぜ、ポーランドに行ってみようと思い立ったのか? 私の課題、テーマは、「育成」やその「システム」において、日本にはないものがポーランドにあるかもしれないということ。そしてもう一つは、ともすると、日本のバレーボールの低迷の中にあって、何でもかんでも日本はダメ、海外が素晴らしいという偏った見方ではない、日本のバレーボール界がもつ、潜在的な可能性や良さを見出せないか

「シンプルに守り、多彩に攻める中のハイパフォーマンス」

「個」から「組織」へ。 「プレー」という点から「展開」という線へ。 想定外の非対応なのか、想定内の対応なのか。 個人単独の割り切りか、チームでの割り切りか。 オーダーやシステムのバリエーションと変更。 アウト・オブ・システムか、イン・システムか。 バレーボールのゲームは、歴史をたどってみていっても、 オフェンスシステムとディフェンスシステム アタック戦術とブロック戦術そこに絡むサーブやフロアディフェンス との間で競うような 戦術の変遷によるいたちごっこで今日に至っています。

「WHY JAPANESE PEOPLE!?(Volleyball)」

筆者は、あまり海外に出てバレーボールを実践した経験は少ないものの、それでも数少ない渡航の際に見聞きしたことや、日本国内で出会った海外からやってきた外国人コーチや選手とのインタビューなどを通して、彼らが日本のバレーボールの練習やトレーニング(練習)現場に対して見ていることに、たくさんの共通点があることを知りました。 WHY JAPANESE PEOPLE!? ~コーチング&練習編  今回は、日本のバレーボールにおける練習や指導(コーチング)についてです。 まず最初に、日本の

「サーブ」の時代の幕開けをみた

 21世紀になってからの世界のバレーボールをみていて、レゼンデが指揮するブラジル代表男子チームが作り上げた、組織的かつ運動量豊富なバレーボールは、当初圧倒的な強さをみせていました。  そしてそんなバレーボールの戦い方が、他国、他チームにも取り入れられた結果、アメリカ代表男子やロシア代表男子、ポーランド代表男子が対抗馬となっています。今はリードブロックと配置を組み合わせフロアディフェンスとの組織性を高めたディフェンス、攻撃枚数4枚による対ブロック数的優位を確保するために必要なフ