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「WHY JAPANESE PEOPLE!?(Volleyball)」

筆者は、あまり海外に出てバレーボールを実践した経験は少ないものの、それでも数少ない渡航の際に見聞きしたことや、日本国内で出会った海外からやってきた外国人コーチや選手とのインタビューなどを通して、彼らが日本のバレーボールの練習やトレーニング(練習)現場に対して見ていることに、たくさんの共通点があることを知りました。

WHY JAPANESE PEOPLE!? ~コーチング&練習編

 今回は、日本のバレーボールにおける練習や指導(コーチング)についてです。

まず最初に、日本のバレーボールを見た中での「良さ」でいうと、
  勤勉さ、
  忍耐強さ、
  真面目な態度、
  協調性、
  チームワーク、 
 など
 こういった点は、世界の中でも日本は大変優れていると見られているようです。
 こういった良さを認めつつ、彼らは口をそろえて日本のバレーに違和感や疑問を感じている点があるようです。

(1)なぜそんなに不機嫌なんだ?
 とにかくよく怒る。怖い顔して大きな声で怒鳴っている。特に子供たちには、「楽しむこと」が至上命題であるのに、楽しむどころか、恐怖や不安をあおっている。子供にはバレーボールを好きになってもらうこと、スポーツを楽しむことを徹底しなくてはいけないのに。

(2)なぜミスや失敗を許さないんだ?
 練習でも試合でも、エラーやミスにはとにかく怒って許さない。コーチたちはいつも完璧を求め、失敗を選手のにかくよく怒る。怖い顔して大きな声で怒鳴っている。特に子供たちには、「楽しむこと」が至上命題であるはずなのに、その真逆をいって果たしてバレーボールを長く愛せるのだろうか?

(3)なぜそんなにハードワークなんだ?
 とにかくハードワーク。練習時間がとにかく長い。人間の集中力やモチベーションはそんなに長く持続するのだろうか?そんなに長時間のハードワークをやっていると、疲労の蓄積でかえって練習効果が落ちるのではないか。子供たちの発育にも悪影響。

(4)なぜそこまで単調なリピテーション(反復)ばかりなのか?
 同じ動作、限定的な動き、クローズドなスキルを淡々と繰り返す練習に膨大な時間を費やす。また長い列をつくって順番を待つような練習や、ボールを触る人間が限られていて周りで見ている時間の方が長いなど、反復練習の効率が大変悪く、選手は飽きてしまっている。

(5)なぜネットの上からボールが来ないんだ?
 練習では、とにかくネットの上からボールが来ることが少ない。ゲーム(試合)の成功のために練習するのに、日本のバレーボールはネットを張らずに試合をするのか?ネットをボールが越えない練習はバレーボールの練習ではないというのも言い過ぎではない。

(6)なぜどの年代も同じなんだ?
 トレーニング(練習)の構成が、だいたいどのカテゴリでも同じで、発展性が感じられない。指導内容や指示、評価やフィードバック、ミーティングの内容も、さほど発展性や系統性があるわけでもなく、だいたいメンタル的なことを言うことが多い。

(7)なぜ時間で切るのか?達成感がない
 練習時間は長いと同時に、練習の構成が時間で区切られることが多い。バレーボールの試合は時間設定で進むのか?選手は無意識に時間を気にするようになる。ドリル(練習)に明確な達成目標がなく、目標があっても時間で区切られてしまうため、達成感が薄い。本来、達成目標が設定されたら、それを達成するまでは練習は終わらない。その方がずっと厳しさがある。

(8)なぜバレーボールばっかりなんだ?
 子供たちにバレーボールだけをやらせていいのか?子供のうちはまずは、運動の基本を学び、それから幾つかのスポーツを複数経験させる。さまざまな経験多角的な経験は、人を大きく成長させるし、より自分に合った道を選択できる。余暇や休息も重要であり、競技から離れる時間を大事にし、そこからの学びや成長を大事にすべきだ。バレーボールだけで子供たちを管理してはならない。

 「ここは日本だから」、「郷に入らば郷に従え」と言ってしまえばそれまでなんだろうが、現代の日本のバレーボールの立ち位置からすれば、海外から学ばなければいけないことの方が多いように思っています。「彼ら」の言葉にもっと謙虚に耳を傾けるべきではないかと個人的には思っています。

WHY JAPANESE PEOPLE!? ~コーチング&練習編

 日本の外からの眼、外国人コーチたちが日本のバレーボールを見て抱く違和感の声には一定の共通したものがあるようです。今回は、バレーボールを頑張っている、日本の若者(子ども)たちの様子について。

まず再掲になります、日本のバレーボールを見た中での「良さ」でいうと、

  勤勉さ、
  忍耐強さ、
  真面目な態度、
  協調性、
  チームワーク、
  など

 こういった点は、世界の中でも日本は大変素晴らしいと見られているようです。

 その一方で、日本のバレーボールの子供たちへの指導現場にはWHY?がたくさんあるようです。でも、その疑問や違和感は、選手や子どもたちへというよりも、そうさせてしまっている環境や大人たちに向けられているものです。

(1)飽きないのか
 いつも毎回、同じ練習をやっている。しかもその一つ一つがの練習時間も長い。練習効率も悪く、ボールを触る回数も時間も短い。順番を待ってみている時間が長い。指導者の話も長い。日本じゃなかったら、いくら子供でも帰り出すこともあるかも。

(2)楽しそうではない
 常に怒られていたり、コントロールされてやらされている感が強い。表情が暗く、楽しそうではない。常に指示に従う必要があり、統制が求められているため、自由にプレーをしたり遊ぶことが許されない。楽しそうではない。バレーボールを楽しんでいない。

(3)不安と恐れに支配されている
 失敗を良しとされず、ミスやエラーは許されず間髪入れず叱責される。子供たちは、失敗しないようにプレーしようとするため積極性よりも、受け身的かつ消極的なプレーが目立つ。失敗からポジティブに学ぶ態度や、リスクを背負うことの大切さやチャレンジ精神を学んでいない。

(4)やたらとうるさい
 とにかくいつも大きな声を叫ぶのに必死である。指導者もそれを要求している。あれでは冷静な思考ができるのだろうか?消耗しないのだろうか?あれほど大きな声で、ゲームに必要な何を叫んでいるのか疑問だ。

(5)個性がない・みんな同じ
 チームの統制を重視するため、メンバー全員が同じ行動を求められる。プレースタイルも同じフォームを強制される。でもブルーノ、ジャネッリ、クリステンソン・・・みんな同じあげ方しているか?日本の子どもたちは何か自分を抑えているようだ。

(6)言われたことしかやっていない
 技術も戦術も指示されたことや教えられたことを忠実にやろうとする従順さが強い。しかしそれは一方で、クリエイティブさに欠ける。ヌガペトがみせるプレーなど、練習ドリルもなければ、誰から指示されたものでもない。日本の選手にはもっとクリエイティブさをだしてほしい。

(7)一つのことしかできない
 身体の前(正面)でのディグやレセプションは上手だが、それ以外になるとボールがあがらない・・・など、教わったことはできるが、それ以外になると混乱することが多い。技術だけでも戦術でも見受けられる。変化や変更に弱い。

(8)休めないのか
 とにかく子どものころから怪我や故障が多い。そもそも欧米を中心に、特に小学生年代ではチームもなければ大会すらないところが普通にある。子供たちの教育や成長を、あらゆる角度から考えている。それはバケーションからも成長できるし、スポーツ以外のアクティビティも大事だと考える。

(9)彼らは上手い強い・・・だが・・・
 日本の子どもたちのバレーボールスキルやチーム力は世界のトップクラスであることは間違いなく完成度が高い。しかし、年代が上がるにつ入れて世界では勝てなくなているのは明らか。日本以外の国多くが、developmentやnurtureを長期スパンで考えている。

 外国人コーチたちが日本のバレーボールに対してもつ考え全てが正しいと言いたいわけではありませんが、彼らは日本の良さをしっかり認識しつつ、あえて苦言を私たちに示しています。彼らも日本のバレーボールの発展を期待しています。それを踏まえた上での声だとすれば、私たちはもっと積極的に耳を傾け、改善をしていかねばならないのではないかと思います。

(2020年)