花咲く道を生く

咲き誇れ

ただ、青い空に手を伸ばしたかっただけなんだ

欲しい、なんて言わない。
助けて、なんて絶対言わない。
好き、なんてもう封印した。

ぼくがどんなにどんなに手を伸ばしても、得られるはずだったものは
するり、と通り抜けていく。

余計な慰めは、惨めになるだけだから要らない。
たいせつ を持ってる人は、構わないでください。
しあわせ を知ってる人は、近付かないでください。

ぼくの知ってるしあわせは、ただ、あの手だけ。
ずっとずっと、あの手だけ。

ぼくが最期のとき

ぼくが最期のとき、
きみは呼んだら来てくれるのかな。
もう、関係ないと無視するのかな。

ぼくのちっぽけな人生で、最後の賭けは
「きみが来てくれるか」

くだらないだろう？

きみはきっと来てくれない。わかってて命のすべてを「来る」に賭けるんだ。

くだらない人生の終わりに、最高にドキドキする。

…………

葬儀は近親者のみで行いましたと、伝えて、とずっと仰ってたんですよ

ナースステーションで

雨と涙の違いは

おはよう
おやすみ
大事な言葉。

いってきます
いってらっしゃい
優しい言葉。

ありがとう
大好き
魔法の言葉。

痛くない？
もうすこし、ふかく
愛の言葉。

素直に好きだと言おうよ、いま言わないと居なくなってしまうよ？
居なくなってしまった世界に残された僕はただただ、君の面影を探して写真を撮るんだ。手の感触を、唇の感触を、匂いを、髪の触り心地を、すべてを思い出すんだ。
忘れてしまわないよう

賢いきみは

ぼくから離れて正解だったんだ。
賢明な判断だったね。

ぼくは、壊れているから、ガラクタに埋もれて生きてきたんだ。そのままガラクタに還ると思ってたのに。

きみは「アイ」をくれたんだ。
きみは「フツウ」をくれたんだ。

知らないまま消えたかったけれど、きみから教えてもらったそれらを求めて、僕はガラクタの中から出てきて探してみているよ。

けれど、さいきんちょっとつらいんだ。

ガラクタの山から出た

表と、裏

参道には表と裏がある。
かみさまの歩く道、にんげんの歩く道。

裏と表。
にこやかにしているぼくも、おこっているきみも、
実は本当の顔を隠しているかもしれない。

だがしかし、
にんげんは、そんなことを知ってはいけないし考えてもいけないんだ。
そんなことを考えていたら、誰とも関われなくなってしまうから。
「きみが好き」と言うぼくも、裏では別の子に「あの子は何考えてるかわからないよ」と嘲笑っているか