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短編小説

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田丸雅智さんの講座本を参考に、ショートショートに挑戦しています。できれば毎日、週に3回は更新したいです。 興味がある分野:アート、社会問題、経済、コミュニケーション
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#SF小説

短編小説「となりのパイロット(3)」

短編小説「となりのパイロット(3)」

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ロボさんは、他愛もない会話をしても「そうなんですね」としか言わない。アドバイスも無いし、感想も言わない。最初はつまんないな、と思ったけど、だんだん、そのジャッジされない聞き方が心地よくなってきた。

わたしはギターを弾くのが好きだけど、これまで人前で弾いたことがない。家族にだって聞かせていない。だけど、その日はなんだかできる気がした。

「ロボさん、ちょっといい?」

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短編小説「となりのパイロット(2)」

短編小説「となりのパイロット(2)」

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私が赤木さん家のロボットのパイロットになって早ひと月。

赤木さんは4人家族。ご両親は仕事で忙しく、高校生の息子さんは部活で毎日遅くまで頑張っています。中学生の娘さんは、昼間こっそり帰宅して、部屋から出てこない日もあります。

私はそんな家族に代わり、ロボットとして日夜、家事のアレコレをしています。このお宅では「ロボさん」と呼ばれて頼りにされているのです。

ロボット

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短編小説「となりのパイロット(1)」

短編小説「となりのパイロット(1)」

ここはロボット会社です。

家庭用ロボットを作っています。近年、各家庭に1台はロボットがいて、家事をしたり、子供や老人の見守り役として家にいます。

人型をしていて、重たい荷物を運ぶとか、おじいちゃんをお風呂に入れるとか、子供の宿題をみるとか、大方のことはできます。会話もできるので、家族に頼むように話しかければ動いてくれます。

弊社のロボットはリーズナブルな価格帯なので、一般家庭に人気です。難し

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