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『推し、燃ゆ』(宇佐美りん著)

【内容】
女子高生あかりの『推す』の男性アイドル真幸はファンを殴ったことで、真幸たげではなく、あかりにまでその影響が及んでくる。

※ネタバレします。

【感想】
気になっていた作品なので、今更ながら読んでみました。
(最近の作品だと思っていたのですが、もう3年も前の作品なんですね…)

主人公は、男性アイドルグループの『推し』が引退まで追い込まれ、それとともに主人公のあかりが精神を病み、高校を中退…
生活が乱れて顔がニキビだらけになって、引きこもりになってしまう。

生々し描写に本を読み終わった後、もしかして、この作者の実際の経験談なのではないかと思い、ネット検索してしまったりしました。
(Wikipediaには学歴など載っていなかったのですが、高校中退などしておらず、慶応大学入学(卒業?)していました。)
『推し』というファンの在り方がいまいちピンと来ていなかったのですが、筆者の巧みな描写力と想像力に、もしや時世を反映した一人称小説なのではないかと誤解させる巧みさに、感服しました。

『推し』と『燃える』という現在性のあるキーワードを、『推し、燃ゆ』という一見古風な字面のタイトルに落とし込むセンスも上手いなあと感じました。

ラスト近くの『推しは人になった』というフレーズも良かったです。

なぜ『推し』がファンを殴ったのかは最後まで明かされなかったのも、この小説を安っぽくさせなかった要因になっていると感じました。

文章の魅力と、『推し』という興味深い事情に関しての興味で、一気に読めた作品でした。
ここのところあまり小説を読んでいなかったので、表現の巧みさや視点の新しさとか、小説って楽しいものだなあとなんてことを感じた作品でした。

※画像は生成AIで作成しました。

https://www.kawade.co.jp/sp/isbn/9784309029160/

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