『天気の子』(アニメ映画)
※ネタバレします。
【内容】
願うと晴れに出来る能力を身に付けた女の子陽菜と、その子と一緒に晴れにする商売を始める高校生男子帆高の物語。
新海誠監督作品。
【感想】
公式HP見たら、聖地巡礼に関する注意という特設ページが出来ていました。
なんか大ヒットしただけに、その影響力の大きさを感じますね。
地図や地名もバンバン出てくる映画ですし、聖地巡礼しやすい映画なのかもしれませんね。
個人的には、出てくる場所や都バスとか馴染みのあるものだったりして、改めて見直すと違った意味でも楽しめました。
散歩が趣味だったりするので、映画で出てきたシーンも、どっかで観たことある風景だったり…
陽奈が住んでいるアパートがある田端は、家族が住んでいたことがあったりして、そこら辺もなじみ合ったりして…
映画の後半で帆高が逃げ出す警察所が、わりとよく前を前を通る池袋警察署だったり…
そこから、逃げていく背景になっている風景が、池袋のどこかが結構わかったり…
映画の冒頭で、家出してきたばかりの帆高が腹を空かせた猫に餌をあげるという、文字通りの脚本の世界でいうところのセイブザキャットの法則に沿ったエピソードが挿入されていました。
この映画の気の利いたところは、その後、帆高が後に一緒に行動することになる女の子から、あくる朝に食べ物を貰うというダブルのセイブザキャットの法則になっているところでした。
劇場公開時に観たり、その後に配信などでも見直してたのですが、この映画見直す度に、色々と気付かされるところがありますね。
疑わしい占い師が、力を使いすぎると神隠しにあって消えてしますとか、後の展開のフリになっていたりして、ここら辺も脚本として巧みだなあと思ったりしました。
陽菜を水商売の店にリクルートしているリクルーターの男が、前段階で帆高にちゃんと嫌がらせしていたり…ちゃんと周到に脚本組み立てているなあと…
日本の貧困とか風俗産業とかのシビアな現実も描いているのに、ちゃんと笑えるギャグとかも入っていてエンタメとしてきっちりと作り込んでいるうと感じました。
ただ、やたらに帆高のモノローグが入っていたりして、脚本教室的にはあまり高級なつくりにはなっていないのでしょうが、ある種過剰なほどの解説で、取っつきやすい映画にもなっていて、それがこの映画のヒットにもつながっているんだろうなあと…
しかし、冒頭20分ないくらいで、一気に東京の事務所で働き始めるまでの展開なっていて、物語のテンポの早さを感じました。
冒頭30分くらいで、陽奈が祈って晴れにするのを、帆高が観て商売にしようって言い出すとか…
というか物語の構造としては、帆高の将来像が、須賀圭介だと気付いたりしました。
須賀は妻と死別して、子供とも別居している…この映画のラストの展開の後、帆高と陽奈とは結ばれるけれど…
本当良く考えられて構成された脚本だなあと…
とはいえ、そもそもなんで、最後シーンで、陽奈が霊力(?)を授かった鳥居にいると帆高はわかったのかとか、よく辻褄の合わないところなども散見されたりもしますが…
帆高の拳銃の発砲する冒頭とラストのシーンも、見直してみると、結構ご都合主義的な感じもしたりして…
音楽による演出で、ある種ムードやストーリーの補完を行っている作品なのだあとも思ったりしました。
センシティブで切実な楽曲による演出で、本当は繋がっていないようなシーンも繋がって見えるいるのだなあと…
圧倒的な映像の力とそれに組み合わさった楽曲の強さで、なんか説得されるというか…
少年誌よりのディフォルメされた幼めのキャラクター設定によって、リアリティーラインが微妙に調整されているように感じました。
とおいうか、作画レベルも相当高かったんだなあと感じました。
その他、人柱として巫女的な存在である陽奈は、現代の日本の若者の象徴なのかなあとか…
様々な当時の日本の風俗が描き込まれていて、それだけでも現代日本社会の批評的に描いているといった感じも受けたました。
逃げ込んだラブホテルで当時流行っていた流行歌を歌うとか、ビックマックとかレンチンの唐揚げが御馳走として食べていたりとか…なんか切なくなってきたりしました。
陽奈が祈って雷が落ちるとか、超能力ものぽいシーンもあったりとかしてたのも、忘れていました…
この夏の35度越えの凄い猛暑の夏に観ると、なんかこのアニメで描かれている異常気象もあり得るのではないかと思えてきたりして…
ラストの線路をダッシュする帆高の背後の東京は、今年の猛暑の東京を思わせたり…
普通この手のこの映画は、時間が経てば経つほど、なんとなく時代遅れになっていく感じがあるのに、この映画は上映当時より現代的な映画だと感じました。
ラノベぽい設定なのに、現代日本の表層も深い部分も盛り込んでいるなあと…まあ、自分は不勉強なので今時のラノベは、そこら辺のことも書いているのかもしれませんが…
空や背景を売りにしているクリエイターが、空や天候をテーマとした脚本を書いて、しっかりとしたテーマ性を持ってここまでの作品化したこと自体が、企画としても凄いことだったのかもと思ったりしました。
須賀の最後の方で帆高にいう「世界なんて、どうせ元々狂ってんだから」気にするななんて台詞は、なんかジーンとくるなあと…
なんか同調圧力の強かったり、今の若者にしわ寄せのいっている日本の若者に対するメッセージみたいなものにも感じられたりしました。
陽奈役の声優やっているのが、俳優の森七奈がやたらにリアリティーのある演技でだったり…
脇を固める声優の小栗旬と本田翼が、これまた生っぽい声の感じだったり…本田翼のちょっとしたものの言い方のニュアンスとか…
その他、ちょっとした役にも力のある役者(倍賞千恵子、平泉成とか)を起用していたりして、それがまあこの映画に良い効果を出させていたりすると感じました。
というか、『君の名は。』以降の新海誠作品は、みんな声優が上手いなあと…新海誠の演技指導とかが上手いんですかなねえ…
東京を描いたアニメ作品としては、最高峰だなあと…そんな分類の作品があればですが…
前作の『君の名は。』からパワーアップしているなあ、と…
異常気象で、夏に雪の降る池袋の北口周辺とか…
美術の設定がいいなあとも感じました。
陽奈の住むアパートの部屋のお金はかかっていないけれど、ティーンの女の子が精一杯可愛く住まいを飾っている感じとか…
半地下にあるライターの事務所のうらぶれた感じとか…その後、水浸しになる展開へと有効利用(?)したりとか…
この映画の音楽も、その後、CMとかでもバンバン使われていたりして、そういった意味でも色々と影響を残した映画だったんだなあと…
この映画も『君の名は。』でも言われた震災映画ではあるとは思うのですが、もうちょっと根源的な問題である環境問題やそれに付随した今の社会の在り方を取り扱っていたりもして…なんかやたらに長くなってしまったので、ここら辺でやめておきます。
※画像は生成AIで作成しました。
https://www.bing.com/search?pglt=41&q=天気の子&cvid=e6459d9d4b9a4879bd5cf7b2204e2d42&aqs=edge..69i57j0l8.379j0j1&FORM=ANAB01&PC=U531
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