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薬は傷より武器に塗れ!?~へんな学説 Vol.2 摩訶不思議な武器軟膏〜

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えっ、そっち!!??

...と、誰もが思わずツッコミ入れたくなるこの理論。しかし、意外にも有効な治療方法として、16-17世紀のヨーロッパで流行っていました。

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...怪しい。なのに流行っていたのは、本当に効果があったからのようです。
と言うのも、どうやら当時の薬が不衛生だったため、傷に塗らない方が逆に治ったとか(人はそれを自然治癒と言うw)。

しかし、細菌も知られていない時代のこと。血液に含まれている精気(生命の素みたいなもの)が空気中を伝わり、共感作用で治ると信じられていました。

そしてついには、武器軟膏を応用した経度測定方法までもが、提唱されたりしました。

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犬さん可愛そう...。

ちょっと話が逸れますが、まだ正確な時計がなかった時代、海上で船の経度を正確に知ることは難しく、船が難破して多くの命が失われたそうです。この提案、理論さえ正しければ、割と理にかなっていたとか。

当然、当時から批判もありました。

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同時代の人から見ても、やっぱり怪しい武器軟膏。Vol.1に登場したヘルモント氏は、ネズミの作り方は信じていても、武器軟膏の遠隔作用はダメだったようです(笑)
Vol.1 ネズミの作り方!?~へんな学説 Vol.1 生物自然発生説〜

そしてとうとう論争に。

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余談ですがヘルモント氏は、批判の仕方がまずかったようで、異端審問にかけられ、一生自宅に幽閉されてしまいました…。武器軟膏恐るべし。

やがて、世界は物事には必ず原因と結果がある、という機械論が主流に。時計の歯車のように、何かが作用するには必ず物理的に接触している必要があると考えられたため、遠隔作用は下火になりました。

そして17世紀末。

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まさかの遠隔作用復活 & 現代科学のベースに!!!

万有引力の法則は、一度廃れた遠隔作用の復活だった...。

私は仮説を作らない、はニュートンの有名な言葉で、原因が分からないものは無理に説明せず分からないままにしておく、という意味だそうです。

当時の普通の人にとっては、宇宙空間レベルで遠隔作用が働きます、しかも原因は知りません、ってなると、なかなか受け入れられない気がします。(そして今も原因は完全に解明されてはいない)

そんな万有引力の法則を疑いもせず信じていた自分は、武器軟膏を信じていた時代の人たちと、案外そんなに変わらないのかもしれません。

<参考文献>
経度への挑戦 (角川文庫)
Wikipedia 武器軟膏

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