テニス上達メモ105.自ら「縛り」を課すからテニスが「台無し」になる
▶打ち方が「先」、打つのは「あと」?
テニススクールに入ると、最初にグリップの握り方、スイングの仕方などを教わります。
ひととおり説明を聞いたあとに、ボールを打ち始めます。
おおよそ、こういう流れが一般的なテニスレッスンではないでしょうか。
「そんなの当たり前」という声が聞こえてきそうです。
「常識」だから、疑う余地すらないでしょうか?
これでは、「テニスを始めた初日からつまずく」のです。
▶打ち方は、あとから「現れた」
「逆」なのではないでしょうか?
テニスの起源を遡ると、先にフォームや打ち方があったわけではなかったはずです。
テニスや卓球の原型とされる「ジュ・ド・ポーム」時代は手で、その後ラケットで、ボールを打ち合ってるうちに、こういうグリップで握る、こういう振り方でスイングするという傾向性が、「あとから現れた」のではないでしょうか。
まさか先にこういうグリップがあって、こういう打ち方があるから、「それに基づいてボールを打ってみましょう」という順序ではなかったはずです。
「先にグリップの握り方やスイングの仕方を覚えたほうが、上達するうえで効率的?」
そう考えるかもしれません。
しかしこの効率というのが、「落とし穴」だったりします。
▶「順序が大事」
たとえば相手と至近距離で対峙するボレーは、時間的な余裕がないから、テイクバックをコンパクトにするように教わります。
とはいえボレーを打つにしても、相手からどんなボールが飛んでくるかは分かりません。
そのボールに応じて打ち方は、あとから現れるのが「本来の順序」ではないでしょうか。
後述しますが、「順序が大事」です。
▶手段が目的化する
手段と目的とを取り違えがちです。
試合に勝つためにボールを上手く打つことが目的なのに、フォームを意識すると、テイクバックをコンパクトにすることが目的化してしまいます。
レッスンでもよく聞かれます。
「ミスしてもいいから、まずはフォームを整えて」
「フォームが整えば、ちゃんと狙ったところにボールが行くようになる」
コーチはそう言うかもしれないけれど、生徒さんにしてみれば、どこか煮え切らない気持ちにならないでしょうか?
▶フォームは「縛り」になる
改めてテニスの起源に立ち返ります。
先にボールを打ち合っているうちに、やがて一定傾向のフォームが現れました。
まさか先に定められたフォームがあって、そのとおりにボールを打ち合い出したという成り立ちではありません。
仮に「フォアハンドストロークはイースタングリップで打ちなさい」と定められているとすれば、それは「サッカーは手を使わず足でボールを蹴りなさい」というルールと同じで「縛り」ではないでしょうか?
グリップに限った話ではありません。
「体を横向きにしましょう」
「肩を入れてください」
「ワキは開きすぎないように」
「ヘッドアップしないでください」
これらを守らなければならないとしたら、それは「縛り」ではないでしょうか。
▶「ルールブック」に書いてあるなら話は分かるけど……
改めて、手段と目的について。
目的はボールを上手く打つこと。
ところがフォームの教え・決まりは、ボールを上手く打つ目的に対して、「そうしなさい」「そうしてはダメ」とばかりに、ルールで縛るのです。
「フォアハンドストロークはイースタングリップで打つのがテニスのルール」というなら、話はまだ分かります。
「サッカーは足でボールを蹴る」というのと同じ俎上です。
▶錦織圭「エアK」の起源はルール違反?
ジュニア時代の錦織圭が、コーチの「跳びながら打つな」という指導をスルー(無視)してピョンピョン跳びはねながら打っていたのが、「エアK」の起源なのでした。
テニスのルールブックに、「跳びながら打ってはいけない」という項目はありません。
だったら「跳びながら打つな」は、「縛り」ではないでしょうか。
▶勝手にルールを作らなくていい
あらゆるフォーム矯正について言える話です。
「体を横向きにする」
「肩を入れる」
「ワキは開きすぎない」
「ヘッドアップしない」
自らルールを課すならば、それらは、「サッカーは手でボールを扱ってはいけません」というのと同じ俎上です。
自分で勝手にルールをあとから追加し、もともと自由に振って構わないはずのスイングを、縛っているのです。
▶だからテニスが「台無し」になる
改めて、テニスの起源に立ち返ります。
ボールを打ち合っているうちに、一定傾向のフォームが現れました。
効率的だからといって先にフォームを定めたら、それは「縛り」になる。
繰り返しますが、「順序が大事」です。
スパゲッティは茹でて、お湯を切って、器に盛ってから、パスタソースをかけます。
パスタソースをかけてから茹で始めてお湯を切り、器に盛ると、スパゲティは台無しです。
ボールを打ち合っていたら、あとから一定傾向のフォームが現れる「順序が大事」。
これを間違えるから、テニスが「台無し」になっています。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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