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質問084:距離感の合わせ方と、力加減の調整は?

 ソフトでも大丈夫ですか?
私はソフトテニス部に今年1年で入部したんですが新人戦も近づいてきたのに全然うまくなれないです。

前衛は注意されたことも少ないし自分でも打てる自信があります。
だけど後衛は球の距離感と力の加減が分からなくて全くインしません。

とにかく球と体が近いとよく言われます。
だけどそれに気をつけようとしたら逆に遠くなって届かなくなってしまいます。

試合には前衛で出ることになりましたが後衛練習の時に出来ないのはダメだと思います。
毎日おなじことで何度も注意されるのはつらいです。

アドバイス下さい!

回答


▶野球の外野手が「フライ」の距離感を図れるのはなぜ?


こんにちは。テニスゼロの吉田まさひろです。

ご質問をいただき、ありがとうございました。

もちろん、ソフトテニスも大丈夫です。

ご参考にしてみてください。

まず距離感ですが、距離感は、飛んで来るボールが近づいてきてから合わせようとしても、なかなか上手く合わせられません。

では、たとえば野球の外野手が、もっと放物線のサイズが大きな「フライ」に対して、上手く距離感を図って、しかもノーバウンドでキャッチできるのは、なぜでしょうか?

それは、バッターが打つ瞬間から、ずっと見ているからです。

飛んできてから瞬間的にパッと見るのではなく、飛んで来る前から継続的にずーっと見ています

放物線を部分的に見るのではななく、全体的に見ているのです。

だから、キャッチできる。

それが証拠にたとえば、後ろを向いておいて、カーンと鳴った打球音が聞こえてから振り返り、フライを取りにいこうとすると、難しくなるのは想像に難くないでしょう。

ご自身は今、そんな難しい「ハードモード」のやり方を、ソフトテニスでなさっています。

相手が打って、自分のほうに近づいてきてから、ボールの放物線を部分的に見ようとする。

見ようとするというよりも、全体が「見えない」のです。

なぜ、ボールが見えないのか?

その理由をご説明します。

▶飛んで来る前の、飛んで「行く」ボールから見る


距離感を上手く合わせるには、自分のほうに飛んで来るボールが近づいてきてからではなく、もっと手前の段階から合わせ始めるのがポイントとご説明しました。

野球の例になぞらえると、ボールと自分との距離が最長である、相手がインパクトした瞬間から合わせ始めます。

そのためにはどうすればいいかというと、「相手がインパクトする瞬間のボール」を、よく見るのです。

相手がインパクトする瞬間のボールをよく見るそのためには、もっと手前の、自分が打った「ボールが飛んで行くところ」から、よく見るようにします。

▶どうしてボールを「見ることができなくなる」のか?


ところが、それができないんですよね。

ボールを見ることができなくなるのです。

なぜか?

とにかく球と体が近い」(だから距離を取れ)などと、「意識する」指導を受けているからです。

きっとほかにもあるでしょう。

打つ前は、テイクバックをどうするか?

打つ瞬間は、打点をどうするか?

打った後は、フォロースルーをどうするか?

そのような指導が、一般的には行われます。

つまり、打つ前も、打つ瞬間も、打った後も、ずーっと考え続けています

またボールが見えなくなるのは、そういったフォームを意識する指導内容のせいばかりではありません。

テニスでは、自分が打った直後にもそのショットが「入るか? 入らないか?」の結果を気にする

それによって、「相手に攻め込まれるんじゃないか」と恐れる

そのためには、「すぐにポジションを回復しなければ」と焦る

そういった「自動思考の連鎖」が起こっている間、ボールがずーっと見えなくなるのです。

▶考えなければ、見えてくる


なぜなら、私たちは「一時にひとつ」の対象にしか、注意を向けられないからです。

それが証拠にこの文章を読んでいる今、たとえば「エアコン」か何かの音が鳴っていたかもしれないけれど、「聞こえなかった」でしょう?

そしてそう指摘されると、その音が「聞こえる」ようになるのだけれど、今度はその音をよく聞きながら、この文章を読み進めることはできにくくなるはずです。

考えたり意識したりをやめなければ、ボールはよく見えないというふうにできています。

ですから頭で距離感を合わせようと「考える」のも、上手く合わなくなる原因。

おっしゃるとおり、近づきすぎを意識したら、今度は遠くなりすぎるし、逆もまたしかりです。

ボールが見えていないのだから、当然そうなります。

では「前衛は注意されたことも少ないし自分でも打てる自信がある」というふうになるのは、なぜでしょうか?

前衛は相手との距離が近くて受けるボールのスピードも速いため、「考える時間がない」ため反射的に打てるから、上手くいくのです。

▶力加減と飛距離との相関


力加減も同じですね。

頭で考えて加減しようとすると、上手くいきません。
 
ご自身の打ったボールの行方を、よく見るようにしてください。

バックアウトしようとネットミスしようとインしようと、最初から最後まで見続け、見届けます。
 
そうしているうちに体は、力加減と飛距離のフィードバックから、どのくらいの力加減で打てば、どのくらい飛ぶのかを自修し、状況に応じて自動的に、力加減を調整してくれるようになります

ところが「これくらいの力加減かな?」などと、頭で考えては、先と同じ理由によりボールは見えなくなります。

これが、力加減がつかめない原因です。

どれくらいの力で打ったらどれくらい飛んでいるのかの相関について、ボールが見えていないのだから、確認のしようがありません。

▶ミスしても「何食わぬ顔」でいればいい!


とはいえ打った瞬間(ミスした瞬間)に「悔しがったり」「落ち込んだり」すると、見届けられません。

「クソー」とうなだれて下を向いたり、「あーあ」と天を仰いで上を向いたりしたら、ボールから目が逸れてしまいますからね。

ですから、ミスしても「何食わぬ顔」でいればいいのです。

それが、「客観視」ですね。

▶「無心」になる方法がある


とはいえ、湧き上がってくる思考を「止める」方法なんて、あるのでしょうか?

言い換えれば、何も考えない「無心」になる方法なんて、あるのでしょうか?

言い換えれば、今は「感じる」ことしかできず、「考える」のは0.1秒前でも0.1秒後でも、必ず過去か未来ですから、すなわち「今に集中する方法」なんて、あるのでしょうか?

「ない」といったら、本当に救いが「ない」。

実は、「ある」のです。

『究極のテニス上達法~無心で打てば、あなたはもっと上手くなる~』

でも、その上達法を実践するのが難しかったら、意味がない。

だれでも簡単にできるテニスが「イージーモード」になる方法です!

▶何度も注意されるから「テニス自己肯定感」を損なう


何度も注意されるのは、おつらいですよね。

そのような場合、「される側」ではなく、「する側」に問題があります。

「近すぎる!」「遠ざかれ!」

そんなだから、何度やっても上手くいきません。

一般的なテニススクールでも、「何度も同じことを言わせるな!」って注意しているテニスコーチがいます。

しかし同じ注意を何度も繰り返す指導者側に問題があるのであって、生徒側には問題なし。

「注意」という名の「否定」ですからね。

「後衛練習の時に出来ないのはダメだと思います」とおっしゃいます。

「ダメだ」
と思うなら、思ってもいいんですけれど、思わなくてもいいですよ。

ダメ出しばかりでは、「テニス自己肯定感」を損ねてしまいかねません。

即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO(テニスゼロ)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero