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テニス上達メモ468.「イージーモード」の人生を「一切皆苦」でついに実現!?


▶「一切皆苦」の裏側にある「幸せ」

 
『イップス友の会』で取り上げた「ロジャー・フェデラーに学ぶ『しない』選択」では、セルフトークによるストレスがなくなるから、瞑想は「気持ちいい」とお応えしました。
 
これがいわゆる、「一切皆苦」です。
 
「世の中は苦しみに満ちている」
 
「いや満ちているどころか、苦しみしかない」
という、トンデモ法則(!?)です。
 
そして「その裏側に幸せがある」と解く。
 
その心は?
 
先の瞑想の話で説明します。
 
まず不安、怒り、怖れなどに関する「セリフトークの苦しみ」が、呼吸に集中する瞑想によりなくなったことで、「気持ちいい」と感じる「快」が生じたのです。
 
だからといって「快、あるじゃん!」というのは、些か早合点です。
 
その気持ちよさは、セルフトークによる不安、怒り、怖れなどストレスの「苦しみ」があるのが前提。
 
これが消えて「気持ちいい」と錯覚するのが「快」の本質というわけです。
 
なので「苦しみという前提」を抜きにして、この世の中に「純粋な快楽などない!」というのが、「一切皆苦」というトンデモ法則です。
 
この「絶望的」とすら思える法則の裏側に、なぜ「幸せがある」というのでしょうか?
 

▶「快」は錯覚


「そりゃ、瞑想はそうかもしれないけれど、快なんて、昇給でもグルメでも余暇でも、ほかにはいくらでもあるよ!」というツッコミに関して、話を続けます。
 
たとえば月給が15万円の人が、20万円になったら「快」を感じます。
 
それは15万円では生活が「苦しい」前提があるからです。
 
ところがリストラで月給が10万円になった。
 
これは「苦しみ」です。
 
でも業績が回復してやっぱり15万円に戻ったら、やはり「快」を感じます。
 
15万円では生活が「苦しかった」はずなのに、なぜ?
 
これは10万円に落とされたリストラの「苦しみ」を前提として、元に戻っただけの水準を「快」と錯覚したからです。
 
あるいは皮膚の痒いところをガリッと掻くと、気持ちいい「快」が生じます。
 
もちろんそれは、痒みという「苦」が前提。
 
それが証拠に、痒くもなんともないところをガリッと掻くと、「気持ちいい」どころかヒリヒリして「痛い」のです。
 
つまり「苦の前提」がないところに刺激が加わっても、「苦しみばかり」。
 
仕事が忙しい「苦」があるから、何もやることのない余暇を「快」と錯覚します。
 
ところがその何もやることのない余暇が、ずっと続いたらどうでしょうか?
 
今度は暇を持て余す「苦」が前提となり、何かする刺激が「快」になるのです。
 
空腹の「苦」があるから、食べる「快」があります。
 
ところが食べるのが「快」だからといって、食べ続けてごらんなさい。
 
今度は満腹という、気持ち悪くなって、動けなくなって、もどしそうになって、おなかがはち切れそうになる「非常な苦しみ」に苛まれます。
 
そして時間が経って体調が回復したコンディションを「快」と感じるのですけれども、それはもともと「快」などとは感じていなかった「元に戻っただけ」の錯覚なのです。
 
このように、「苦しみ」は至るところにあるのだけれど、それが消えたギャップを「快」と錯覚するのであり、世の中に「純粋な快」は存在しないという法則が「一切皆苦」ですね。
  

▶これで十分「幸せ」になれる

 
不謹慎のそしりを恐れずに言うと、被災した「苦」に苛まれると、日常生活に「快」を感じます。
 
だから今日、日常生活が普通に営めているならば、不平不満はひとまず置いておいて、その普通の営みにこそ「幸せ」を見出せるというのが、「一切皆苦」に託された裏テーマ。
 
これで私たちは、十分「幸せ」になれるのです。
  

▶「こっちが欲しい」のに「あっちでいい」の?

 ところが「幸せになれない人」がこんなにも多いのは、なぜでしょうか?

「苦しみ」を前提とする「快楽」には、危険がはらんでいるから要注意なのです。
 
「快」にとらわれると、それに味をしめて「苦しみたがる」行動様式をあえて取るように、私たちの心は仕組まれているのです。
 
「ラクしていいよ」と言われても、あえて「シンドイ方」を選ぶ。
 
条件の悪い方を選ぶ。
 
本当なら「こっちが欲しい」のに、「あっちでいい」と遠慮する。
 
もちろんこれには、「良い条件は自分にふさわしくない」と感じる「自己肯定感」の欠如も関与しているのですけれども、それと同時に苦しんで「快」を得ようとする心の働きに私たちが操られている「支配」があるのです。
  

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