「手から手へ」文庫

三鷹台のシェア型本屋「イノイチブックス」で棚主をなったことをきっかけにnote始めまし…

「手から手へ」文庫

三鷹台のシェア型本屋「イノイチブックス」で棚主をなったことをきっかけにnote始めました! 読んだ本だけでなく見たテレビや映画などの感想を書き綴っていきたいと思います。

最近の記事

久しぶりの本屋

最近Kindleばかり使っていたので、今日の帰り道にひさしぶりに本屋に寄ったら、 やっぱりというか、予定通りというか、本をいっぱい買えた。 きょう買った本。

    • 久しぶりに棚を入れ替えました

      これまで仕事にかまけて全く棚の整理ができなかったので、久しぶりに棚を更新してきました。 またnoteも少しずつ更新します〜 よろしくお願いします!

      • 「子育て罰」の社会にいきる

        「自分は幸せになるべき存在である。 それはこの時代を生きるどの大人も子どもも同じである。」 末冨先生の「子育て罰」読みました。 誰でも子どもを大切に育てていた「子ども天国」の日本は、地域さえも学校化されたことにより子育てを自己責任とみなし「子ども嫌い」「子育て罰」の社会へと変わってしまった。 では何をすべきなのか。いくつも具体な政策提言がなされていますが、それを可能にするためにも大切なのは「自分は幸せになるべき大切な存在である。それはこの時代に生きる全ての大人も子どもも同じ

        • 臆病な都市

          30歳、元自衛隊隊員の砂川文次による「臆病な都市」。 コロナ禍以前に書かれたものだけど組織不全を起こしているいまと統治機構のあり方をここまで緻密に書いている点でとても舌を巻く。コロナだけでなく原発や口蹄疫など平成以後の災厄も全てそうなのかもしれない。砂川文次の筆の射程にはフェイクニュースも含まれている。 これは猪股剛さんが編纂された「ホロコーストからの声」とも重なる。 すべての災厄は人災によっておきている。そのことを引き起こす組織というものへの考察、組織で働く人への想像が鋭

          ホロコーストから届く声

          ホロコーストから届く声。 猪俣剛さんの巻頭の言葉を読めただけでも、買ってよかったと思える一冊。 … いま心は世界中で「引きこもりたい」と訴えているのではないだろうか。 (中略) 愛しいものとは合一したい、危険なものは排除したい。こうしたあり方は、あまりにも当然の愛着といった感情に回収されていく。ひきこもった愛着の心性ぎ動いているのが、現代という時代であり、この感覚は現代の誰もが多かれ少なかれ自分のうちに抱えている。 (中略) 未曾有の体験を私たちにもたらしているのは、ウイ

          ホロコーストから届く声

          岡本太郎「神秘日本」

          今年は岡本太郎生誕110年。 … 手ぶり、足ぶみ。婆さん同士で何か卑わいな冗談を言いあって、笑いはやし、ざれあいながら、ぐるぐる廻る。やがて踊りの輪は、渦がふくらみ息づくように、ゆるやかに大きくなって行く。それにつれて歌声も、リズムも調子づき──もう、立派な盆踊りだ。   この夜をながめわたして、私はこれだと思った。 … 子どもの頃の記憶からオシラ様について書きはじめ、東北の言葉、そして東北の女性について書く岡本太郎の文章がすごい。 … いわゆる標準語の、おていさいばかり

          岡本太郎「神秘日本」

          待つということ

          鷲田清一の文章に折々救われてきた。 『ひとが待つことをはじめるのは、じぶん独りでは事態をどうにも打開することができないと悟ったゆえに、最後はもうひたすら相手の変化をねがうしかなくなるからだ。』 みんなこのやり場のない思いをどのように処しているのだろう。 家庭も仕事もほとほと嫌になってしまって、 きょうは家族が出かけた後ひたすら寝た。 こんなときにサウナに行ければいいのだけど。 雨のせいかもしれないけどいろいろなことを一旦止めて、電波も止めて、ひきこもるー。 ボルサ。ポ

          ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

          「ぬいぐるみとしゃべるひとはやさしい。話を聞いてくれる相手がいるだけでいいこともある。それだけで少し人生が楽になる。」 92年生まれ・大前粟生はとても切実な言葉を書いてくれる。これもジェンダー小説に分類されてしまうのかもしれないけれど、全く違う。 松岡正剛の『フラジャイル』を思わずにいられのいのですが、今の時代においてマジョリティや強さに回収されず、弱さを軟弱、脆さ、危うさを抱えている人こそ自分に嘘をつかない誠実さを持ちうる人と思わずにはいられません。 組織や強さや確かさば

          ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

          苦界浄土

          「おとなのいのち10万円 こどものいのち3万円 死者のいのちは30万 と、わたしはそれから念仏にかえてとなえつづける。」 『苦界浄土』の第二部「昭和三十四年十一月二日」から「空へ泥を投げるとき」の2節を読んで、若松英輔が苦海浄土は一生読みきれないと言っていた意味がじわじわと沁みてくる。 苦海浄土は人力ではどうすることもできない困難に直面した人のために書かれた本なのだ。 コロナ感染爆発は止められず、妊婦は切迫早産になっても治療は受けられず、アフガニスタンは混迷し、フェイク

          #soul of Japan

          消費者優位のスピリチュアルマーケットのなかで、寺も神社も主題となるのは死生を巡る魂の救済ではなく心身の癒しや気分転換となっている。 問題のある世界を作り替えるのではなく、現世を少しでも快適に生きる道具としての清涼剤として宗教が利用されているとまとめる著者。 その一方で、以前見た「東大寺お水取り」で2週間籠って祈り続けたお坊さんが「満行したらコロナが収束しているかと思ったら…満行おめでとうでよかったという話ではない。24時間1秒たりともふさわしくないことがなかったのか(省みる

          Merry Xmas Mr.Lawrence

          雪がふる。 雪がふる。 雪が降り続ける。 中学生の頃から毎晩寝る時に音楽をかけながら寝ている。 そのプレイリストは20年近く経ってもほぼ変わらなくて、毎晩流す最初の音楽は坂本龍一のMerry XmasMr.Lawrenceだ。 高校生の頃、ケータイ電話のアドレスも Merry xmas Mr.Lawrenceにしていた。 あのアドレスを大切にしていればよかった。 雪にはどこか清めのイメージがある。 雪がしんしん降る東北の冬の夜に、 道端で佇んでいると、いろんなものを静か

          Merry Xmas Mr.Lawrence

          サラリーマンの愉悦

          神戸に行けば瓢箪に必ずいく。 6人ぐらいしか座れない狭い店内だけど、 お客さんはひっきりなしにやってくる。 終業時にはサラリーマンが2人組でやってくる。 コロナの影響で生ビールは飲めないけれど ノンアルコールビールを注ぎあって 「お疲れ様でしたー♪」 とコップを交わす姿は幸せそのもの。 その姿を側から見て、 サラリーマンであることの愉悦を思わずにはいられない。

          サラリーマンの愉悦

          伝統か流行か。

          面白かった。情熱大陸。 民放ドキュメンタリーは、映像が安定していなくてみていられない、という時が多いのだけど、今回の情熱大陸にはそんなストレスが全くなかった。 終盤に いまの養殖鰻は脂が乗りすぎている、「昔の鰻はもっとうまかった」という緒方に対して、養殖業者が「いまの人は小さい頃から脂の乗った魚しかたべていないので、脂がのっているものをうまいという。それでも貴方は昔の味に固執し、伝統と共に死にますか?」という問いかけがあった。 それに対して緒方は、そんなことは乱暴な議論だと

          恋人に愛しているといっても、たいてい人は自分しか愛していない。

          人は誰でも自分が一番愛おしく、 自分の幸せを求めている。 ゆえにわが身を推し量って 誰もが自らを愛するゆえに、 誰をも傷つけるべきではない。 風呂に入って読んでいるので、だいぶシワシワになってきてしまいましたが、仏教は宗教ではなく哲学だとわかる本。 寝ぼけ眼でj-waveのtokyo morning radioを聞いていたら脳天刺された一昨日の瀬戸内寂聴の言葉「愛していると言っても、人はたいてい自分自身しか愛していません」と言っていたことと重なります。 https://tw

          恋人に愛しているといっても、たいてい人は自分しか愛していない。

          結局は「地域」にしか拠り所はない、のか。

          難しい本です。 ベーシックアセットとは所得保障だけでなく、帰属するコミュニティを提供することが大事ということは伝わってきました。そのコミュニティベースのサービスのあり方を考える、ために協同組合やワーカーズコーポによる育児や介護サービスを。という提案だと思いました。一方で、著者は幼保無償化は保育の質低下や富裕層にとってより優遇された政策=マタイ効果と指摘しています。 ワーカーズコーポやコミュニティオーガナイジングは介護や若者の就労支援には効果的でしょう。しかし育児の面で果た

          結局は「地域」にしか拠り所はない、のか。

          絶望の国で絶望する若者たち。

          もはや日本は「格差社会」ではなく階級社会として移行している。アンダークラスと呼ばれる平均年収186万の人人が930万人で就業者の15%に達する。しかしこの中には、無業者は失業者は含まれていない。 2018年暮れに本書は刊行されたが、大変衝撃的なレポートだ。 そして今日に至るまで、この状況はより深刻化する中で、何ら解決策も提示されないまま、3年が経過している。 アンダークラスと呼ばれる人たちの多くは、暗い子ども時代を送った人が多い。いじめ経験3割、不登校経験1割、中退経験者

          絶望の国で絶望する若者たち。