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世界的名作映画「東京物語」は年を重ねて感じ方が変わる人生時計だ😌

「東京物語」を10代の頃に観た時、良さが全く分からなかった。

20代になって観直した時、両親への想いが少し心に滲んだ。

30代になって観直した時、身につまされ、落ち込んだ。

40代後半の今はこの映画と共に人生を生きている気がする。

【概要】

名匠・小津安二郎の代表作で、東京で暮らす子どもたちを訪ねた老夫婦の姿を通し、戦後日本における家族関係の変化を描いた不朽の名作だ。

ローポジションやカメラの固定といった“小津調”と形容される独自の技法で、親子の関係を丁寧に描き出す。

尾道で暮らす老夫婦・周吉ととみは、東京で暮らす子どもたちを訪ねるため久々に上京する。

しかし医者の長男・幸一も美容院を営む長女・志げもそれぞれの生活に忙しく、両親を構ってばかりいられない。

唯一、戦死した次男の妻・紀子だけが彼らに優しい心遣いを見せるのだった。

Directors’ 100 Greatest Films of All Time(世界の監督480人の投票によるランキング)

1位『2001年宇宙の旅』スタンリー・キューブリック
2位『市民ケーン』オーソン・ウェルズ
3位『ゴッドファーザー』フランシス・フォード・コッポラ

そして、、
4位『東京物語』小津安二郎

まさに日本の映画史を超え、世界の名作だ。

【シネマエッセイ】

生まれて、育って、自立して、家庭を持ち、親を見送り、老いて、死んでいく。

両親のことを蔑ろにしているつもりはなかったけど

気づけば家庭を持って、いつのまにか自分たちの生活に追われ

若い時には批判的に観ていたこの作品の兄夫婦(山村聰と杉村春子)のように自分がなっているのに気づいて愕然とした。

その後、両親を眺める目や心のあり方が少し変わった気がする。

今も数年に一度は観ているけど

年齢とともに感じ方が変わる不思議な映画だと思う。

お爺ちゃんの笠智衆はどう見ても70歳以上にしか見えないが、この時49歳で老けメイクをしていたというのが驚きだ。

熱海での老夫婦の寂しげな姿に心をきゅっと締め付けられる。

そして原節子の美しさと優しさは作品から溢れていて

そんな彼女の「私、ずるいんです」という言葉が心を突く。

この作品は海外でもオールタイムベスト映画の上位に度々選ばれるが

それだけ普遍的な「人生」「家族」「老い」を深く描いているのだと思う。

そして、どこか小津安二郎監督の映画は品を感じさせる。

その人間に漂う品のようなものを大切にしながら

孤独感や死生観というテーマが深くかつ自然に心に沁み入ってくる。

この作品はきっと一生、見続けていく作品になるのだろうと思う。

そして見るたびに広がりを感じて、余計に沁みてくるのだろう。

まるで人生時計のようなかけがえのない映画だ。


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