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となりのツンデレ美女は夢をみる〜小説 Memories(メモリーズ)Vol.3

世にも哀しき電車男の物語。

昨夜22時30分ころの山手線で

後ろから押されるままに

べったり顔を扉の窓に押し付けられて

自身の顔型の曇りマークにゾッとした。

やっと逃げ出て、次の電車座るよー🧎‍♂️

と髪をなびかせダッシュ&ダッシュ。

空いてた席は横座りの右から2番目。

ホッとしたてで買ったばかりのSONYの

Bluetoothイヤフォン装着するや刹那。

ポロリと右耳からイヤフォンこぼれて

右隣の図書館司書ぽい雰囲気の

眼鏡女子の左腕にぽとりとかすりそうに

なって素早くイヤフォン手元に引き寄せる。

セーフ!

微かな会釈をしてチラッと目だけで表情みると

ツーーーーーーンンッ!

般若のような険しくも厳かな顔つきで

真正面を見つめていた。

私は縮み上がった。

孤高のプライド滲み出る切れ長の瞳が

眼鏡の奥で輝いていた。

文芸界に忽然と楊端和が現れた。

キングダムより

私は音楽世界に引き籠ることにした。

気づくと眠ってしまっていた。

何やら右クビが引き攣っている。

右肩に数々の戦士の怨念が宿ったかのような重み。

かの孤高の眼鏡女戦士は完全にべったり

私の右肩を枕に熟睡していた。

寝息が私の耳元で一定のリズムでこだまする。

戦士の休息。。

あのー、、ちょっとー、、すみませんが、、

何も言えなかった。。

3分ほど待ったが微動だにしない。

少し肩を揺らしたが気づかない。

今にも右クビがつりそうになったので

少し伸びをする気持ちで縦揺れを起こしてみると

彼女は身を持ち直して

私に申し訳なさそうに軽く会釈を、、

せずに

ツーーーーーーンンッ!

彼女は再び文芸界を震撼させる

孤高の女戦士に戻った。

遠慮も会釈も恥じらいも不要の潔さ!

ただ先程より目の焦点は揺らいでいる。

1分も経たず、彼女の枕は再び私の右肩に。

ツンデレ?

これを約10分の間、5.6回繰り返しつつ

彼女の心から恥じらいや

罪悪感は滲み出ることなく

私はもはやキンキンに凝り詰めた

哀しき右首肩を救うために

最寄駅の3つ前で

私はその席を離れた。。

サラバ眼鏡の楊端和。

彼女は戦場に訪れたしばしの

平穏を慈しむように眠っていた。

私が居なくなったので

彼女は傘の取っ手のような

ぐわんとした折り曲がり方で

気持ち良さげに熟睡していた。

今日もお務めお疲れ様でした。

安らかに眠ってください。


天豆エッセイ詩小説 エピソード⓪

となりのツンデレ美女は夢をみる


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