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映画「ゴジラ−1.0」ゴジラが銀座を破壊し尽す8分間を心待ちに待ち続ける映画。

ゴジラ 暴れまくる in 銀座。

その瞬間を全身で体感した。

【解説】

日本が生んだ特撮怪獣映画の金字塔「ゴジラ」の生誕70周年記念作品で、日本で製作された実写のゴジラ映画としては通算30作目。

「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズをはじめ「永遠の0」「寄生獣」など数々の話題作を生み出してきたヒットメーカーの山崎貴が監督・脚本・VFXを手がけた。

タイトルの「−1.0」の読みは「マイナスワン」。舞台は戦後の日本。戦争によって焦土と化し、なにもかもを失い文字通り「無(ゼロ)」になったこの国に、追い打ちをかけるように突如ゴジラが出現する。

ゴジラはその圧倒的な力で日本を「負(マイナス)」へと叩き落とす。戦争を生き延びた名もなき人々は、ゴジラに対して生きて抗う術を探っていく。

主演を神木隆之介、ヒロイン役を浜辺美波が務め、戦争から生還するも両親を失った主人公の敷島浩一を神木、焼け野原の戦後日本をひとり強く生きるなかで敷島と出会う大石典子を浜辺が演じる。

そのほか山田裕貴、青木崇高、吉岡秀隆、安藤サクラ、 佐々木蔵之介と実力派豪華キャストが共演。

【感想】

ゴジラ×「永遠の0」のコンセプトが良かったのかどうか。

「永遠の0」が真に迫った大好きな映画だけに、元零戦乗りの葛藤を主軸にした人間ドラマ部分の二番煎じ感と作り事めいた感じに、妙に乗り切れなかった。

映画は作り物だ。

その作り物の中に垣間見える真実に人は涙する。

この映画では、実際にあった戦時の未曽有の人災と、架空のゴジラの未曽有の災害を掛け合わせて「-1.0」というコンセプトにしたのだろうが、それが余計に作り物感を増し、そのマイナスの掛け算の逆境から再生しようとする人間たちの想いや、叫び泣く役者陣の熱演が胸に迫ってこない。

特に神木君演じる主人公の、戦時零戦の特攻で出動しながら故障を偽り生き残った男の再生のドラマが描かれるのだが、彼があまりにうじうじキナキナし続けていてこれまた感情移入できず、最後の最後で逃げないと覚悟するまでが冗長で見ていて辛い。

他の役者陣も熱演が過ぎて空回りする。でも、この大袈裟な芝居合戦の中でピタリとハマっていた佐々木蔵之介は、昔の黒澤映画を観ているようで良かった。

だから、私にとってこの映画は、少々厳しい意見にはなるが、人間ドラマには感情移入できず、ただひたすらに「ゴジラが銀座で暴れ倒す約8分間」を心待ちに待ち続け、残りの117分を耐え忍ぶ映画とも言えた。

そんな、なかなか感情移入し辛い人間ドラマを見ながら、待ち続けるはゴジラの登場シーンに尽きる。

①冒頭、島で暴れるゴジラ ※ゴジラの恐ろしさが迫る。

②日本に初上陸して暴れるゴジラ ※ワクワクする。

③銀座を破壊し尽すゴジラ。 ※おーーーー凄い!!!!

④海で水圧変化作戦にやられるゴジラ。※シン・ゴジラ的既視感な展開

この①~④でやはり圧巻なのは③のシーン。

地上から、ビルの屋上から、空撮から、視点の切り替わりや画角も見事で、戦後の銀座の街並みがゴジラに見事に破壊され尽くしていく。

まさに圧巻の迫力。

この場面を最大限堪能するためにIMAX2600円を賭けた価値がある。

ゴジラの咆哮が身体に響き渡るこの感覚。最高だ。

それ以外の作り事感が強い空回り人間ドラマを我慢して乗り切れば

その瞬間はやってくる。

ぜひ、劇場で、できればIMAXで、銀座破壊ゴジラの迫力を体感して欲しい。

その価値がある映画だ。

日本代表VFXクリエイターの山崎貴監督の真骨頂はそこにある。

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