夢の夢なら覚めないで🙏三つ巴ラプソディin新宿紀伊國屋❤️

「ちゃんとベッドで寝れば」

気づいたら眠っていた。

革張りのソファで顔を継ぎ目に突っ伏していた。

顔がメスでバッサリ切られたみたい。

誰の声だろう? 

カーテンの隙間から白い光が漏れる。

その日、仕事が手につかなかった。

本屋にでも行こうかと思う。

早く夢から覚めるために。

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天豆エッセイ詩小説14
夢の夢なら覚めないで🙏三つ巴ラプソディin新宿紀伊國屋❤️

相変わらず帰りの丸の内線は混んでいた。

勢いよく人が出て、勢いよく人が入り込む。

今はたしかに2020年。間違いない。

もう、いつも通りの、密。

新宿3丁目の駅で降りた。

ビックロが見えた。

紀伊国屋書店に行くにはこの駅が便利だ。

地上に出ると眼鏡市場カラオケパーティー館🎤が見えた。

新宿TSUTAYA無くなった? 
何でも揃っていたのに。

紀伊国屋書店の店頭で女性がNHKにインタビューされてる。

「恒例の風物詩と言いますか毎年、村上春樹さんが取るんじゃないかっていう話題が出ると思うんですが、どう思いますか?」

今日はノーベル文学賞の発表か。
でも今、夏だよな。

1か月前と1週間前に深い眠りに落ちた。

一度は赤ん坊に。一度は青年に。

最後は巨漢の男にビルの屋上から吊るされた。

記憶が混濁してる。

確か 天豆 てんまめ という名前。

彼の意識に入り込んだのか。

そもそも実在の人物なのか。

夢現で想像した架空の人物なのか。

小豆 あずき という女の子がいた。

スッと細長く伸びたキレイな足。

一度その世界を離れると記憶は曖昧になる。

大好きなママが亡くなった。

ママの顔はどんなだっけ、、👩

「あの、少しお時間いいですか?」

気づくとディレクターが私に話しかけている。

「今日、ノーベル文学賞なんですが、誰が取ると思いますか?」

「えっと、、バカリズム

「は?」

その場から逃げた。

平積みには半沢直樹の新刊が並んでる。芥川賞に平成生まれの慶應ボーイが取ったとか「破局」か、、縁起の悪いタイトルだ。

ぽたん、と手の甲に何か落ちた。

雨?

振り向くと汗だくになって恐ろしい形相でゼーハー肩でしている女性がいる。

彼女から滴り落ちた汗だった💦

しかも気づいてないし。

店内の誰かを凝視してるのか。

あ、目が合った。睨まれた。怖っ!

殺気が凄い。

怨念女子の視線を避けて、手の甲についた汗を消毒スプレーで拭き、店内に入った。

相変わらず人が多い。雑誌コーナーを見渡す。

女性誌やライフスタイル誌が中央を陣取っている。

目的の映画雑誌があるのは壁際だ。

あったあった。映画秘宝。復刊してよかった。

その刹那、斜め前に佇む、スラリとした女性に目が留まった。

綺麗な人。姿勢良過ぎ。

ん?

彼女は、、

あのメガネのツンデレ美女だった。

ライフスタイル関連の雑誌の前に佇んでる。

あ、笑った。

猫の雑誌を読んでいる。

映画雑誌を物色するフリをして

幸せそうに猫雑誌🐈を読み耽る彼女を見つめた。

やっぱり楊 端和(よう たんわ)に似てる!
※注 マンガ「キングダム」の女将軍。

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でも「猫日和」だって。

GAP萌え😍

何気なーく覗きこむ。

どこのページも、猫、猫、猫。

猫だけには誰も勝てない。

鉄仮面の彼女の貴重なデレを見れた。

か、かわいい💕

って、何やってんだ俺。

そもそも彼女と出会った晩から

もう一つの世界を体験するようになった。

因果はあるのか? 

あるわけないか。


もう一度見ると

女は振り向いていた。

男は凍りついた。

突き刺すような鋭い眼差し。

今日はメガネをしていない。

あれ?

私は他でも彼女を見た気がする。

もっと前から、、

まさか

小豆 あずき?

女は無表情のまま、男を見ている。

2人は見つめあったまま、時間が止まった。


そしてもうひとり。

その2人を今にも襲い掛からんばかりに

見ているひとりの女子がいた。

あたしはたまみ。

橘さん、あたしはここにいるよ。

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覚えているだろうか。

あの真っ直ぐな、ひたすら一筋な

ゾンビーガール🧟‍♀️たまみを。
※人間です

時を戻そう。

※今日のお話のリアルタイムで地続きなので

こちら↓のお話を是非先にお読みください✨🙇‍♂️✨

(時間がない方はこちらから↓)

もうあたしは汗だくだった。

西新宿からここまで橘さんを追いかけてきた。

1週間休んでいた橘さんに「大丈夫ですか?」って声をかけたかっただけなのに。

はぁ気持ち悪い。。吐きそう。

思わず店前に本が山積みになって並んだワゴンに手をついて

ぜーはーぜーはーぜーはーぜーはー

息が全然おさまらない。

汗が💦額からぽつりと落ちた。

隣にいた女性が嫌な顔で見た。

ごめんなさい。いつもはこんなことない。

こんな汗だくは高校のバレーボール部の合宿以来だと思う。


また汗が💦ぽつりと落ちた。

男の人にかかった。

なんか思わず睨んじゃった。

あ、逃げた。


店内の雑誌コーナーに橘さんがいるのが見えた。

5メートル先に橘さんはいる。

でも今のあたしには地球の裏側にいるように遠い。

あたしはゾンビのようにこの蒸し暑い夏の日に

大好きな人を追いかけている。

絶対追いつかないあなたを。

あたしはまるで汗だくゾンビ🧟‍♀️

あ、でもゾンビは汗をかかないか。

だって死んでるから。

だからあたしは生きている。

生きて生きて生きている。

だから大好きな人を追いかける。

絶対追いつかないあなたを。

あなたの名前は橘小豆。

たちばなあずき。

クールな橘さんのキュートな名前。

あたしのたったひとりの大好きな人。

でもきっとあたしの想いは届かない。


「橘さん、、あたしはここにいるよ」


お腹の中のモッツァレラが

キュウって哀しく返事した。

(前話まで)


あれ?

なんかあの男、さっきから橘さんをいやらしい目でじろじろ見てる。

絶対ストーカーだよ。見るからに! 

あ、橘さん、気づいた。

やっぱり知り合い?

いや、睨みつけてる。

だいたいあんな冴えない男が

橘さんの半径1m以内にいるなんてありえない。

なんか男の顔が近づいてる!

橘さん、危ない❗️


たまみはラガーマンのように

いや、ゾンビ🧟‍♀️のように

何人かの客を薙ぎ倒しながら突進した。

ガツン‼️


見事なタックルで男は宙に浮いた。

本屋って、猪🐗飼ってるっけ?

空中イナバウアー

ふわりと浮かび上がりながら

男は思い出していた。


真っ青な青い空を。ビルの屋上から吊らされて見えた反転した青い世界を。

でも眼前にあるのは、クリーム色の天井にポツンと黒いシミ。掃除しろよ🧽いや無理か。

手が届きそうだ。母さん、僕やったよ。

夢なら覚めて。

そこも夢なら覚めないで。

夢の夢の夢ならインセプション

誰か私にインセプション

クリストファーノーランって天才だよな。

あ、TENET 見にいきたかっ、、、

男は気を失った。

もはや永遠に眠りたかった。


天豆エッセイ詩小説14

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