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難病と恋愛:病気もってても付き合える?いろんなタイプの人がいるよねという話

難病をもっていると恋愛にハードルを感じる方は多いと思います。そんな中で障害当事者向けの調査を見つけたので、自分なりの体験も踏まえて難病と恋愛について考えてみます。


病気をオープンにして付き合う:勝手なタイプ別分類

私の経験や、周囲のエピソードから、付き合う前/付き合ってから病気をお話したときのタイプを分類してそれぞれ考えてみたいと思います。

ただし、ひとりの人でも、いろんな段階を通ることがありますので、一人一パターンというわけではないと考えます。
※それぞれ名称は仮につけた適当なものです。


①回避タイプ
病気のことを伝えても、「気にしないよ!」というタイプ。

メリット:気にしないのはいいこと。偏見なくフラットに付き合ってくれると考えられる。特別扱いされないので、病気であることを負い目に感じなくていい。

デメリット:病気で起こる様々な問題や精神的な課題を、一緒に考える、ということが難しい。ある意味病気という課題を相手に押し付けて、自分の課題ではないと定義している。

付き合い方:短期的な付き合いなら問題なく、楽しく過ごせると思う。ただ長期的な付き合いを考えると、「気にしない」理由を解体していくことも必要かもしれない。


②病気に依存タイプ
病気がある〇〇ちゃんを守らなくちゃ!というタイプ

メリット:病気への関心度が高い。通院や薬のこと、将来の病状など一緒に調べてくれたり、困難なことをわかろうとしてくれる。体調のことを気にかけてくれたりして、病気のことを話しやすい。

デメリット:病気がある〇〇さんを好き、であることの比重が高い。どちらかというと庇護下に置きたい、守ってあげたいという上下関係が発生しやすい。

付き合い方:うまく付き合えば病気のことをよく理解してくれるいいパートナーになりそう。ただ、相手が色々やってくれることに対し、引け目を感じたりすると不健全な関係に一気に移行しやすいタイプ。


③前向きタイプ

一緒にがんばろう、乗り越えようと前向きに取り組むタイプ

メリット:とにかく前向き、病気に負けてはいけないというパワー系。
ポジティブ変換してくれるので病気を前向きに考えられる可能性がある。

デメリット:自助努力を求められやすい。病気がよくならないのを本人のせいにされるかもしれない。闘ってばかりいられないことが理解されにくい。

付き合い方:前向きにとらえてくれることは感謝しつつ、感情の浮き沈みや、どうしようもない病状の変化があることを少しずつ理解してもらえればいいパートナーになりそう。ただ、前向きも行き過ぎると、〇〇すべきと相手をコントロールしようとしたり、努力が足りないという風に言われたりするので注意。


④拒否タイプ

偏見や無知、または個人的な理由から病気のある人はちょっと…というタイプ。

メリット:明確に病気があると難しいと最初から拒否してもらえることで、その後無駄な付き合いをせずに済む。

デメリット:付き合っている途中で病気を開示したり、友人であって開示してこの反応の場合、その後の人間関係が難しくなる。

付き合い方:一番付き合うのが難しいタイプだと思われる。話し合いができるなら話し合って、どうして難しいと思うのかを考えてみてもいいかもしれない。一様に、知らないから、わからないからのパターンだけでなく、例えば身内に同じ病気の人がいて、大変さがよくわかるからとか、経済的な理由など、色々ある。


以下に紹介する、調査の自由記述でメンションされていた、恐怖や面倒といったことは、このタイプ④に由来するところも大きいでしょう。

恋愛に関するいろいろな調査:交際相手がいるのは2~3割

障害者の多くは恋愛に意欲的、一方で交際相手がいる人は 2 割 ~約 500 人の障害当事者に聞いた恋愛意識調査~
2018 年 2 月 13 日 株式会社ゼネラルパートナーズ
https://www.gp-sri.jp/downloads/report/pdf/report_030.pdf

https://www.gp-sri.jp/downloads/report/pdf/report_030.pdf

2022年に公開された、出生動向基本調査(障害の有無を問わない調査)では、下記のようになっています(何で交際が異性に限定なのか…出生に関わる調査だから?)。

  • 恋人(異性)または婚約者がいる未婚男性は 2 割(21.1%)、

  • 恋人(異性)または婚約者がいる未婚女性は 3 割弱(27.8%)

  • 未婚男女の約 6 割が異性との交際経験がある

  • 交際相手がいない人のうち、 3割強(男33.5%、女34.1%)は異性との交際を望んでいない

となっていますが、ゼネラルパートナーズさんの障害当事者を対象にした調査では、下記のような結果です。

  • 交際相手がいる割合(男女ともに) 2割(20%)

  • 交際相手がないい人のうち、3割弱(27%)が交際を望んでいない

詳細が記載されていないのでわかりませんが、たぶん交際相手は異性に限らず回答、あと結婚している人は調査の対象外な感じです。

ちなみに、障害・難病に特化した情報を発信している別の媒体、Co-Co Lifeさんでも恋愛アンケートが行われており、そちらでも似たような結果でした。

  • 交際相手がいる割合 2割(20.7%)

  • 交際相手がいない人のうち、28.1%が交際を望んでいない

※交際相手がいる割合は、既婚者含めてアンケートをしているので数値の解釈が若干異なると思います。

ゼネラルパートナーズさんの方の障害当事者の調査が出た時点では、最新の出生動向基本調査は2015年だったようで、その時点の比較では障害者の方が交際相手がいない割合が高いとプレスリリースでは紹介されていました。
最新2022年の出生動向基本調査と比較すると、交際相手がいる割合はそこまで大きく乖離している印象ではないです。この調査自体も2018年のものですし、男女別になっていないので正確な比較はできないですが。

全国調査の方では、交際を望まない人が年々増えているようです。
障害・難病の方も経年で推移を見てみたいところです。

恋愛をしない理由

自由記述の方も見てみます。
ゼネラルパートナーズさんの調査では、交際相手を欲しいと思わない理由で、恋愛が面倒、恋愛が怖いというのが上位2つを占めています。障害を受け入れてもらえないだろうといった意見や、自分のことで精いっぱいなどといった意見が多いようです。

Co-Co Lifeさんの方の自由記述でも、障害を隠すのが大変だったという声や、知ったら逃げられそう(だからオープンにしない)という意見があります。

話し合ってくれる人が理想なのでは

タイプ別分類や調査などを踏まえ、理想としては、病気のこともフラットに受け止め、一緒に病気から発生する日常生活のあんなことやこんなことを悩み、考え、行動してくれる存在がいいんじゃないかなと思います。

ただ付き合い方の理想形は人それぞれで、引っ張ってもらいたい人もいるし、病気のことはあまり介入しないでほしい方もいるし、本当に人それぞれです。ただ共通して言えるのは、そうしたかかわり方について、私はこうしたい、こうしてほしい、あなたはどう?と話し合いができるパートナーがいいのではということです。

一方的に自分のかかわり方を押し付けるようなのは健全ではないですし、かかわり方は病気や年齢、ライフステージやその時々の気持ちにより、変わってきます。そうした変化も柔軟に受け止め、一緒に考え、話し合ってくれる人がいい気がします。

”I”メッセージで気持ちを伝える

病気があると、いつ相手に病気のことを言おうとか、どういう反応されるかとか、色々と気になることが多いのは事実です。私自身、今振り返っても、もっとこうすればよかったなと思うことしかありません(笑)

ただ、病気をもっている仲間は恋愛を楽しんでいる人が多いことも調査からわかりますし、この人にならと思う相手だったら、話してみるのもいいんじゃないかと思います。

その時に、私が個人的に気を付けているのが、I(アイ)メッセージ、私メッセージとも言います。主語を「私」にして気持ちを伝えること。

〇〇するべきだとか、なんで~~なの?といった相手を主語にしたコミュニケーションではなく、私はこうしてほしいと思っている、私はこんな気持ちだと伝えることで、意思疎通がしやすくなります。

人と付き合っていると、病気以外にも様々な困難やトラブルが起こります。その前哨戦として、ある種相手との絆が試される時なのかもしれません。

ここまで個人レベルの話でしたが、病気や難病、慢性疾患への社会的な理解が広がっていないことも、恋愛を難しくする一因なのは間違いありません。そうした解決も一緒に考えていきたいですね。




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