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【目的は?】"ビジネス新分野"宇宙への関心が高まっている日米



今日は、近年発展が著しい「宇宙産業」について資料を参考にしながら現状〜今後の予想をまとめてみます。

まずは以下の記事をご覧ください↓


22年時点で約3800億ドル(59兆円)の規模があるとされる世界の宇宙産業。
今では毎日のように宇宙やロケットに関するニュースを聞きますが、象徴的なのがイーロン・マスクの米スペースX。


日経新聞によると、スペースXは世界のロケット打ち上げの約半分のシェアを握っていると言います。


圧倒的存在感を前に出遅れた感がある日本企業ですが、日本の宇宙スタートアップ企業は100社を数え東証(東京証券取引所)も宇宙市場開拓を目指す企業の支援に乗り出しています。


今後、世界の主流市場となり得る「宇宙市場」はAIと並ぶ産業発展の1つです。
色々なニュースを見聞きする機会も増えていくでしょうから、乗り遅れないために基本的な知識をまとめてみました。

この記事が役に立てば幸いです。
まずは、宇宙産業の構造について簡単に説明したいと思います。



宇宙産業構造

  1. 人工衛星

  2. デブリ(宇宙ゴミ)除去

  3. 月面開発


大きく分けると以上の3つに分けられます。
まずは、人工衛星について。


「人工衛星」とは、軍事や放送、気象、放送などに使うデータを取得するために打ち上げられる(目的を持った)人工天体のこと。


Wikipediaによれば24年時点で約9000基の人工衛星が、地球の周りをぐるぐると周回していると言います。


人口衛星は大きく分けて2つに分けられます。
1つは「静止衛星」


地球の軌道上を地球の自転と同じスピードで周っているため、地上からは静止しているように見えることから静止衛星と呼ばれています。


家に設置されているパラボナ・アンテナの向きを動かす必要がないのは、静止衛星により同じ向きを向いていても受信が可能だからです。


もう1つが「周回衛星」
こちらは赤道上以外の地球の周りをぐるぐるとまわっています。


他には人工衛星が周回する軌道の高度の違いによっても種類は細かく分類され、地球を漏れなく観測・偵察できるように静止衛星と周回衛星を駆使しているそうです。


軍事目的なのか観測目的なのか、用途によって
人工衛星の種類は変わります。


ロケット打ち上げでトップクラスのシェアを誇るスペースXは、"人工衛星を輸送するため"のロケットの製造・打ち上げで躍進しています。
人工衛星の運用をしているわけではないです。


日本の企業では三菱重工業が人工衛星を運用したい顧客から「打ち上げてくれない?」と頼まれて(受注して)、ロケットの製造・打ち上げまでを担う"サービス"を展開しています。



続いてはデブリ除去について。



打ち上げられた人工衛星などは役目を終えると、軌道上から弾き出されます。
軌道上から上手く弾き出せても、デブリが溜まれば人工衛星にぶつかり損傷するリスクが高まるので除去しなければなりません。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、宇宙空間に存在するデブリは1ミリメートル以上のもので1億個を超えるそうです。

デブリ除去のコストは高く、高速に動くデブリの観測や計算、除去するシステムや技術などを開発する必要がありますが、
嬉しいことに、日本のアストロスケールホールディングスがこの分野の最先端を走ってると言います。


こういうコツコツと地道な研究・開発はやはり日本人は得意なのかもしれませんね。


デブリ産業は日本の企業も戦えるますが、月面開発や人工衛星(スペースXやブルーオリジン)の打ち上げなどは米中がトップを競い合う構図となっています。




3つ目が、月面開発。


「アルテミス計画」をご存知でしょうか。
NASAが計画している有人月計画のことで、2024年までに月面にアメリカの宇宙飛行士を着陸させる計画です。


大きく3段階があり、宇宙飛行士を着陸させる計画は「アルテミスIII」という最後の段階となります。(「アルテミス」はギリシャ神話に登場する、狩猟、貞潔、月の女神)。


この月面開発分野に関しては、ispaceという会社が先行していて、「ランダー」という月面に荷物を届ける月面陸船の開発に強いです。



日本の企業では、トヨタ自動車がJAXAと三菱重工業と提携して月面探査車「ルナクルーザー」を開発しています。
これもアルテミス計画の一環で、日本企業もこの壮大な計画に参画しているのです。


成功の可否はさておき、将来的には月や火星に人間が住めるように本気で計画している人たちがいるということです。



データの使い道は?


さて、ここまで宇宙産業の構造と各分野で最先端を走る企業を紹介しました。


ここからは少し向きを変えて、
現代は何故これほど宇宙産業を発展させようと躍起になっているのかについて考えたいと思います。



宇宙に何千と人工衛星が打ち上げられていますが、その目的は"データ収集"です。
私は大きく分けて、「軍事」と人々の「監視」(管理)のために使われるのだろうなと考えています。


人類が「何かと戦う」という意味では、戦争がこの先も無くなることはないでしょう。
槍から火薬(爆弾)へ、火薬から戦車へ、戦車から飛行艇へというように使用される武器も変わり、戦闘する場も陸から海・空、サイバー空間に広がったように人間はいずれ宇宙でも戦うようになるのだと思います。


我々が使う便利なツールや技術の多くは、軍事技術から派生したものです。
代表例はインターネット。人工衛星が発展したのもインターネットがこの世に存在するからです。


昔から人間の人生には「戦い」が付き物だったと思います。
権力や富、食糧や住まいを巡って外国との戦争や隣の村同士でも争ったりするのは日常茶飯事でした。


そういった敵から自分や家族の身を守るという本能によって、攻撃力や防御力を高めるわけです。


つまり、この世から完全に「敵」がいなくなるまでは(敵が居なくなっても無理矢理"つくって"いますが…)戦争がいつどこで起きるかどうかは別として、戦いの種は根本的に無くならないのです。


宇宙という新たな空間が生まれ、新兵器が続々と開発されると思います。
その数年〜数十年後に一般の我々にも普及され、その技術が生活を豊かにするのでしょう。

人類が新たな分野に進む時は必ず起きる流れです。AIもしかりです。

国防総省は、国家安全保障衛星を宇宙に打ち上げる重要なパートナーのひとつであるユナイテッド・ローンチ・アライアンス(以下ULA)が、長年開発を進めてきた新型ロケットでは、中国に対抗し軌道上に兵器を構築するニーズに応えられないのではないかと懸念を強めている。

ボーイングとロッキード・マーチンの合弁会社であるULAは、国防省に宇宙への「確実なアクセス」を提供するために20年近く前に設立された。

ULAはもともと、フェーズ2と呼ばれる現行契約で、国防総省の国家安全保障ペイロードの60%を獲得していた。 スペースXは残りの40%を獲得したが、再使用可能なファルコン9ロケットをはるかに高い割合で打ち上げている。 ULAは昨年、バルカンへの移行に伴い、わずか3基のロケットしか打ち上げていない。スペースXは100基近く打ち上げているが、そのほとんどはスターリンク・インターネット衛星コンステレーションを立ち上げるためだ。 両社は現在、国防総省の次期契約(数年間で数十億ドルの価値がある非常に競争の激しい調達)をめぐって競争している。 ULAは売りに出されていると報じられており、ブルー・オリジンが売却先のひとつと言われている。 国防総省との契約に加え、ULAはアマゾンのインターネット衛星「カイパー」の打ち上げを今後数年間で38回行うことを約束している。

2014年、同社はジェフ・ベゾスのブルー・オリジンとパートナーシップを結び、バルカンに使用するBE-4エンジンを提供した。 しかし、これらのエンジンの納入は何年も遅れ、ヴァルカンの初飛行が今年初めまで行われなかった理由のひとつとなった。

何年もの間、ULAは国防総省の唯一の打ち上げプロバイダーだった。 そして2014年、イーロン・マスクが設立した宇宙ベンチャーであるスペースX社は、打ち上げ契約をめぐって競争する権利を持つべきだと主張し、空軍を訴えた。 当事者は2015年に和解した。 スペースXはその後、国防総省のために複数のミッションを飛行させ、ULAは、月に数回の打ち上げによって業界を根底から覆した、活発で機敏な競合他社との競争を余儀なくされている。

ストライプス・星条旗新聞より



新体制への移行


次の支配体制の基本は宇宙、"星単位"で管理していくのでしょう。

収集したデータを何に使いたいのかと言えば"ビジネス"(金儲け)or"新しい社会システムを実行するためのツール"としてのどちらか。
ここで言う「ビジネス」とは、広い意味での軍事技術の発展のことを指しています。


2000年代後半にGAFAMが台頭し、我々の生活を根本から変えました。
彼らが台頭出来たのは、世界中の人々から「データ」を収集するための"手先"として都合が良かったからです。

市場価値TOP10


何故、データ収集が必要だったのかと言えば簡単に言うと「管理・監視」のためです。
私たちが普段使っている電子機器に、あらゆる個人情報を蓄えさせて、その情報を基に新しい社会システムを構築する…。
イスラエルの歴史学者であるユヴァル・ノア・ハラリの著書『ホモ・デウス』に書かれている「人間は神になる」という説と付随する話です。


その"データ収集"もこの14〜15年でほぼ完了しました。
私たちは個人情報から趣味嗜好まで、自分のことを何でも6〜7インチ程の金属の塊に提供しています。


軍事転用されたインターネットが普及してIT革命を起こし、その土台で大暴れしたビックテック企業がデータを収集し、収集した膨大なデータを使ってAI(人工知能)を勉強させて、新たな企業が台頭する…
あらゆる分野で活躍するであろうAIが、次の私たちの生活の切っても切れない関係になるはずです。


宇宙産業は規制が厳しい段階から徐々に規制を緩めて、現在は宇宙開発に関する業務の大半を民間企業に請け負っています。


このようにまず国が動いて、その後に民間に競争させる分野ってのは「絶対」に"ビジネス"か新しい社会システムへの移行かのどちらかです。

国が最初にお金をかけてわざわざ新分野を開発して、
いま民間たちにこぞって競争させているということはある程度の下準備は終わったということでしょう。
規制も緩め、資金を起業家に渡して、技術を開発させるという流れが出来上がりました。


そして、数十年〜数百年後?には規制を強め、企業が一生懸命開発した技術や資産を奪い、国がそれを使って管理することが予想されます。
これは近年の中国がやっていることです。


だけど、ぶっちゃけ米国やEUも現在はGAFAMに対しては中国と同じようことをやっていて、
税制やビジネス環境でかなり優遇されていたビックテックですが、
国家レベルの力を付けてしまったため訴訟を起こされたりして"縮小"に向かわせています。


宇宙産業発展の裏には必ずこのような動きがあることを忘れてはいけません。
商人よりも法律を扱う国家の方が力はあるため、彼らの意図を踏まえて考えていかないと世の中がどういう方向に進んでいくのかは見えてこないでしょう。


おわりに


後半は話の方向性を変えましたが、宇宙産業は確かに魅力があります。
派手だし、月や火星の移住という壮大な夢も我々の心を惹きつけます。


今後、AIやデジタル通貨に加えてこの宇宙業界の話も見聞きする機会が増えるはずです。


動向をチェックしておいた方が良い分野だと思いますので、今回共有をしました。


少しでも皆さんの理解に役立てると嬉しいです。


ありがとうございました。

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