雨の日にカフェラテを飲みながら夜明けを待つ話
雨の日は好きです。
雨音も、人のいない静かな感じも好きなのですが、特に雨の日特有の水の匂いが好きです。
しかし残念ながら世の中には偏頭痛というものがありまして。
私の場合、雨の前々日くらいから痛み始めます。鈍痛が後頭部辺りに来ると最初は肩こりによる頭痛か、と思いながら過ごします。
肩こり解消とばかりに肩をぐるぐる回したり首を揉んだりしてみます。
何度経験しても学習しません。
しばらく続くと気づきます。
これは肩こりじゃない。雨の予報だ。
天気予報を確認すると案の定。明後日雨じゃないですか。
もうこうなると改善法は何もないので、コーヒーや紅茶を飲んでふて寝します。
カフェインの頭痛和らげ効果を狙っているわけですが、効いているのかは分かりません。
胃も弱かったりするので、客観的に見ると胃が荒れる、目が冴える、頭痛が和らぐの3つの効果が出るわけで、実はいい事の方が少なかったり。
頭痛薬は医者に止められたので我慢ならない時となにか大事な用事がある時以外は飲みません。
これが雨の当日まで続くわけです。
雨当日。
予定がなければ夕方まで起きません。
起きてもいいことがないというのもありますが、どちらかというと目が覚めない、起きられないという方がしっくりきます。
まさに溶けたスライムの如く。
夕方になるとさすがに寝ているのも辛いので起きますが、完全に昼夜は逆転。
寝ようとすればするほど目が覚めるのであえてもう寝ようとはしません。
夕ご飯を食べたら雨音を聞きながら宵待ちです。
本を読んだり絵を描いたり、することはまちまちですがだいたいお茶を飲みながら。
春の雨はだいたい夜更けを過ぎても降り続きます。
その頃には眠くなり始めていることも多いのですが、眠かろうと眠くなかろうとだいたい寝られません。
頭痛も佳境ですから。
そんな時はインスタントのコーヒーに粉末のミルクを入れたり牛乳を入れてカフェラテを作ります。
ただでさえ万全でない時にコーヒーのまま飲むと、雨が去った後今度は腹痛との格闘になるのでミルクで中和します。
そうやってカフェラテを飲みながら体調を騙し騙し雨音を聞くのです。
調子が良ければベランダにも出ていってみます。水の匂いを堪能しながら本でも読みます。
やがて空も白み始める、その時間が一番好きです。
明け方の音のない時間。
さらに、雨が全て吸い込んでしまったように他には何もありません。
周りにあるのは、しとしとと地面を濡らす雨の匂いと音とカフェラテの香りだけ。
今日も静かに雨に包まれて夜明けを待つのです。
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