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雪と桜と世迷いごと。

珍しく大雪が降った。

東京で雪が降ることは、ここ数年なかったことなので、
尻尾をふりふりよころび勇んで飛び出した。

と、書きたいところだけど、午前中は家の仕事と買い出しに行き、
実際にカメラを持って家を出たのは12時を回ってからだった。
足元も悪いし、外出自粛制限もかかっていたので、ほんとに近所。
よく前を通る公園の桜を見に行った。

ちょっぴり「花に積もる雪の重みでしなだれる桜」なんて構図を期待して。
でも出かける頃には雪は雨に変わり、桜に積もる雪は期待できなかった。

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あれほど激しかった雪も、わた雪だったこともあって
地面に水たまりを増やしているだけ。
公園はドロドロで、長靴で来て正解だったと思いながら、
いつもとは違う道行きで桜に近づく。

普段はおっちゃん達が将棋を指しさし占領しているベンチだが、
さすがに今日は誰もいない。
そのベンチに、花首から落ちた桜が一輪。

ヒヨドリのせいだろうか。
蜜を舐める鳥と聞いたけど、花をむしっても甘いのだろうか?
それとも、むしるのが面白いのかな?
などと考えていると、またぽたぽたと落ちてくる。

ヒヨの声は聞こえないけど、ヒヨのせいってことにしておこう。
花の形のまま落ちている桜に、ピントを合わせる。
地面に、ベンチに、水たまりに。
こういう時、私はほとんど演出をしない。
今そこにある状態のものを、どう撮ったらgoodか、そんなことを考える。

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ベンチの桜、水たまりの桜、遊具と桜、しずくと桜。
そんな桜を撮り進んでいるうちに、ふと思う。
私の好きなフォトグラファーだったら、この風景をどう切り取るだろうか?

その人の作品を思い出してみる。
でも、光も被写体も違う。
構図や被写体は真似ができても、その人が写そうとイメージする情景は
彼女の心の中にしかないわけで。。
真似できないなぁ。

あっさりあきらめて、目の前に集中する。
とりあえず、今はしずくを垂らす桜だ。
桜のシャーベットみたいだ。
周りには何がある?
良い枝ぶりはどこ?
光はどこから?

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ファインダーがかすむ。
オートフォーカスはジーコジーコというばかり。
面倒だからマニュアルにする。
風が吹く。
桜が揺れる。
傘が飛ぶ。
面倒だからとカサをたたむと、雨でぬれる。
…まだかなり降ってた。。。しょうがない、傘をさすか。

心の中で世迷い事を呟きながら、それでもシャッターを押す。
なるべく上手に撮れてますように、と祈りながら。
(祈っているようじゃ、ダメダメだけどね。)

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