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『燕は戻ってこない』第1話観ましたー。


はじめに

 NHK総合で『燕は戻ってこない』第1話視聴完了しましたー。吉川英治文学賞・毎日芸術賞をW受賞した桐野夏生さんの小説を、NHK連続テレビ小説『らんまん』を手がけた長田育恵さんの脚本でドラマ化した本作。
 卵子提供代理出産を題材としつつ、女性の貧困問題、嫁姑問題なども取り入れた社会派作品となっています。ドラマでも、第1話から女性の生きにくさが描かれた重い内容になっていました。記録したいと思いました。


第1話前半の概要(ネタバレあり)

 内容的には、派遣社員のため薄給で、1日フルタイムで働いても月々手取り14万の29歳の女性・大石理紀(石橋静河さん)が、そろそろ契約期間満了で無職になるので困る、というところから始まります。
 電気代が高騰している今、家賃が高い都内で普通に暮らしていたら当然赤字になります。たまの贅沢はコンビニでの“外食”くらいで、それ以外は職場にお弁当を持参し、帰宅してからも最低限の灯で過ごす姿が印象的です。

 また、理紀は家賃6万円のアパートに住んでいますが、同じアパートの住民・平岡に迷惑行為を受けています。具体的には、理紀の自転車の上に平岡の自転車が重ねるように積まれていたため、地面にどけたところ、泥が付いたから拭けなどと喚き散らされます。
 朝の出勤時の忙しい時間なため断って逃げると、執拗に追い掛け回され、平岡から逃げる際に忘れたお弁当を勝手に食われて「今度はお前のたらこが食いたい」などと自室前で下ネタを言われます。
 
 過去に理紀は、同棲していた男性との間の子供を妊娠した経験がありました。
 しかし、理紀の妊娠を知ると、男性はさっさと理紀のアパートから去っていきました。

 このように理紀は、貧困だけでなく、『女ゆえにナメられる』『性的搾取』『裏切り』と、およそ男性から味わう不快と苦痛をすべて経験した女性でした。

 そんな中、職場の同僚・テル(伊藤万理華さん)は、大学時代の奨学金の借金500万円を卵子提供で返そうとしていました。彼女の抱えている借金は親の生活費も含めたもので、現在は風俗店で働かざるを得ない状況に追い込まれていました。

 一方、理紀とは対照的に、裕福で大きな窓から太陽の光が降り注ぐ明るい家に住んでいる草桶夫婦。基(稲垣吾郎さん)は不倫の末に再婚した悠子(内田有紀さん)のことを愛しており、お金と安心は満たされていますが、彼らにもまた別の苦しみがあります。悠子は不育症と卵子の老化により、妊娠は難しい状況にありました。  
 ところが、夫の母である千味子(黒木瞳さん)には子供を急かされ、事あるごとに皮肉や陰口に晒されています。

 悠子はこれまで3回も流産を経験し、跡取りを残すという妻としての責務を果たせない自分に傷つき、夫の基に対する申し訳なさで圧し潰されるような日々を過ごしていました。
 そんな悠子に基は、バレエダンサーの両親に生まれたことで、自分は最初からバレエダンサーの人生を歩むことが決まっていたこと、悠子との結婚だけが唯一自分の意思で選んだこと、悠子がいなければ自分はとうに死んでいたことを告白します。

 そして、「俺は悠子さえいればいいんだよ。母さんが何を言っても、絶対に別れない。それだけは決まってる」と、微笑むのでした。


感想

 『燕は戻ってこない』というタイトルから、てっきり卵子提供や代理出産を托卵に例えてるのかと思ったのですが、燕は托卵しないらしいので違うのですね。
 いずれにしても、絆が深い夫婦に限って子宝に恵まれない試練があるように思えます。高齢出産の問題だけでなく、少子化問題にもつながるテーマですが、科学の力で生殖の問題を克服しようとすると、経済的・法律的・倫理的な高い壁があります。

 行き過ぎてしまうと、人身売買、優性主義、いわゆるデザイナーズベイビーの問題が発生します。この作品には、親の都合ですべて決められた運命を受け入れるしかない子供、という伏線があるような気がしました。
 来週も楽しみです。ここまでお読みいただきありがとうございました。

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