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【読書】若さと人口急増は争いの可能性を高める

中東アラブで起きている、あるいは起こってきた紛争や戦争を人口の観点で考えてみることが今回の記事の目的です。

若さは現状を変える力

若さはエネルギッシュでパワーがあり、その矛先は夢や不満に忠実だと思います。現状の制度を守ろうとするのはそれを築いてきた者あるいは、それで蜜を享受している者であることがほとんどで、またそうした人はその社会における高齢者であることがほとんどです。

高齢者は現状を守ろうとして、若者は現状を変えようとする構図は時代と国を越えて共通するものであると思います。

実際に第二次世界大戦以降、アメリカでの女性の権利向上などは当時のリベラルな層が中心となって行われたことですが、そのリベラルな層には戦後のベビーブーム世代が多く含まれており、若さと人口急増によって現状が変わった一例と言えると思います。

この現状を変える力は社会の在り方によっては上記のように国の生産性向上に貢献する結果となる一方で、独裁政治や弾圧的な政府への攻撃へと向かい紛争が起きやすくなる面もあります。

人口急増から生じる恐怖

かの有名な孫子の教えの中には、以下の要素によって戦争の勝敗が決定されるというものがあります。

一に国土の広さ・二に食糧生産の量・三に人口の多さ・四に敵との戦力バランス・五に勝敗がどうなるか

時代に関係なく、規模が大きい方が戦力があるため勝ちやすいことは変わらないと分かります。その上で隣国が急激に人口が増加しているとしたらどうでしょう。そのまま人口に開きがある状況で攻め込まれては物量で負けてしまうことは明確です。自国は危機にされされていると恐怖を感じると思います。

このように人口急増は恐怖の対象になりやすく、競争や戦争を生む可能性が高いです。実際に第一次世界大戦の原因の一つはブリテンが成長著しい人口増加中のドイツを恐れ、ドイツは同じ理由でロシアを恐れたことと言えます。ちなみにこの時ヨーロッパの大国はまだ若く、特にドイツとロシアは若年層が多かったことも性急に戦争に突入した要因かもしれません。

人口ボーナスも土台が無ければ

中東アラブ世界では高い出生率(段々落ちてはいる)、乳児死亡率の低下、平均寿命の上昇によって若さと人口急増を経験しています。

日本も1940年代頃に同じ経験をして人口ボーナスと工業化は重なり高度経済成長へと突入していきました。ある程度の政治や教育などの土台があれば人口ボーナスは経済発展に大いに貢献すると思いますが、腐敗政治や低い雇用率や生産性の低い教育などの元ではあまり期待出来ないと思われます。

若さという現状を変える力と、数という力が生む影響や結果は基本的に地域や文化によって根本から変わるものでは無いため、中東アラブ世界での紛争は決してその文化や宗教に依存するものでは無いことが分かります。

以上、若さと人口急増は争いの可能性を高める、についてでした。
ありがとうございました!

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