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いけばな歳時記

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いけばなに使われる花材は、四季の移ろいを映す「季語」のような、連綿とつながる文化の結び目であり、いけばな作例を使った「歳時記」としてまとめることができます。
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#広瀬典丈

いけばな歳時記 紅葉ニシキギ

いけばな歳時記 紅葉ニシキギ

 ニシキギは東アジアの山野に自生する紅葉の美しい樹木。日当たり具合で紅・オレンジなど錦に染まる紅葉があり、この名がついています。枝には、翼(よく)と呼ばれる板状の装飾があり、タメが良く利く枝もいけばなではよく使われます。別項→黄葉・→紅葉も参照のこと。水揚げは→黄葉参照
 上作例 →第2回いけばなスペース花展(琴曲演奏会装花)

 上左 シュウメイギクの花葉・ニシキギの上下対比。→広瀬テキスト52

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いけばな歳時記 秋黄葉

いけばな歳時記 秋黄葉

 黄葉・紅葉は、最低気温が8℃以下で始まり、5~6℃で日当たり良く昼夜の気温差が大きいほど鮮やかといいます。黄葉・紅葉の発色は微妙で、ニシキギなどは山野では錦に染まりますが、街中では紅葉一色がふつうです。
 黄葉・紅葉は一般に水揚げが悪く、すぐに枯れたり葉が落ちるものが多いですが、葉裏への霧吹きは湿気を保つだけですから、葉を傷めないように直接吹きかけないことが要。今私が知る薬剤としては、オアシスプ

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いけばな歳時記 紅葉

いけばな歳時記 紅葉

 紅葉については、→秋黄葉も参照ください。カエデ・ニシキギ・ツツジ科・ナナカマド・ウルシ科・ナンキンハゼ・マンサク・モミジバフウなど、紅葉が美しい樹木は豊富にあり、中でも秋一日の温度差が大きい東アジアの景観は抜群です。秋紅葉カエデ→・紅葉ニシキギ→は別項
 黄葉・紅葉の水揚げについても、→秋黄葉参照のこと。
 上作例は、アカメガシワ秋紅葉にフウセントウワタ・アイリス・水引を合わせて色彩構成的にいけ

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いけばな歳時記 セイタカアワダチソウ

いけばな歳時記 セイタカアワダチソウ

 セイタカアワダチソウは北アメリカ原産のキク科の多年草。20世紀初頭~日本列島全域に広がり、花粉症の原因とされましたが無関係。秋に濃黄の小花をたくさんつけます。きれいな花の終わりは汚く管理に注意が必要です。
 上作は中にアサガオを合わせた色彩対比→広瀬テキスト67p

 上左 名古屋市名東区秋の華道展玄関花→広瀬テキスト99p。
 上右 左右の対比・横長の構成→広瀬テキスト52・53p

 上左 

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いけばな歳時記 フォックスフェイス

いけばな歳時記 フォックスフェイス

 フォックスフェイス(果実の形からの命名)は、熱帯アメリカ原産のナス科の植物。晩秋にかけて緑→黄に色づき、水無しでいけることが普通です。
 上作例は、ヤツデ・里芋・オニユズを縦方向に置き、フォックスフェイスを横斜めに交差させています。交差対比→広瀬テキスト52p

 上左 名古屋高針西友いけばな展広瀨典丈デモンストレーションの一作
 上右 キウイツルとフォックスフェイスの交差対比→広瀬テキスト52

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いけばな歳時記 ノバラ

いけばな歳時記 ノバラ

 ノバラは日本各地・朝鮮半島の山里に自生する半ツル性低木。鋭い棘を持ち、初夏には房状に白い花を咲かせます。秋につく赤く丸い実は冬場まで残り、水から離してもすぐには萎まず、水無しでいけることも普通です。
 上作は上にノバラ、下にカンキツを合わせた色彩対比→広瀬テキスト59p

 上左 第34回 日本いけばな芸術展合作(広瀬典丈・加藤都志江・吉村渓水)→広瀬テキスト99p。
 上右 →第6回いけばなス

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いけばな歳時記 ツルウメモドキ

いけばな歳時記 ツルウメモドキ

 ツルウメモドキは東アジアの山里に自生するツル性落葉樹。初夏に咲く花は目立たず、秋に淡黄の実をつけ熟すと弾けて朱赤の種子が顔を見せます。
 上作はツルウメモドキ・モンステラを合わせた上下対比・透明ガラス花器にいける→広瀬テキスト52・81p

 上左 投入省略垂真型→広瀬テキスト32p
 上右 ツルウメモドキ一種いけ。教室見本花→広瀬テキスト75p

 上左 紅葉・ツルウメモドキによる、協奏的構成

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いけばな歳時記 ノブドウ

いけばな歳時記 ノブドウ

 ノブドウは東アジア原産のブドウ科ノブドウ属のつる性木。夏に咲く花は目立たず、秋に緑→白→桃→赤紫→青→黒と変化する丸い実をつけます。
 上作はノブドウにグロリオを配した自然調作→広瀬テキスト45p

 上左 葉の緑と白・青・黒の実を散らせた一種いけ→広瀬テキスト75p
 上右 色形の違う三つの実ツルを散らした色彩構成→広瀬テキスト67p

 上左 ボクを絡ませ、その上にノブドウツルを絡ませたリズ

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いけばな歳時記 カキ

いけばな歳時記 カキ

 カキは東アジアに自生する落葉樹。初夏に咲く花は目立たず、いけばなでは、緑→柿色に熟す秋の実を使います。
 上作はツルウメモドキ・キクと合わせた秋を彩る演出→広瀬テキスト67p

 上左 中日友好交流展パフォーマンスの一作。→広瀬テキスト97・98p
 上右 実もの三つ(カキ・柑橘・フウセンカズラ)のマッス→広瀬テキスト57p

 上左 中日友好交流展パフォーマンスの一作。→広瀬テキスト97・98

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いけばな歳時記 ハナナス

いけばな歳時記 ハナナス

 ハナナスは熱帯アフリカ原産のナス属植物。秋に黄~赤の実をつけます。ミニトマトに似ていても毒性があり食べられません。水揚げは良く、茎が傷みやすいので、水換え・切り戻しは必要です。水から離しても使えます。
 上作はタケ・ヒバ・クリを含むリズム的構成。→広瀬テキスト65・66p。

 上左 ハナナス・クルクマにボク、協奏的構成。→広瀬テキスト50p。
 上右 クラフトテープの異質素材を混ぜた構成。→広

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いけばな歳時記 フウセントウワタ

いけばな歳時記 フウセントウワタ

 南アフリカ原産。初夏白い小花が咲いた後、秋には淡緑色の風船状の果実をつけます。茎を切ると乳液が出て導管をふさぐので、葉・花も使うときは水洗いしていけます。葉・花を取れば水から出して使え、長持ちしますが、実が弾けると中の綿毛の種が飛びますので要注意。
 上作は花器に鉄オブジェ・コルクを渡してタニワタリで押さえ、そこにフウセントウワタを差し込んでいった協奏的構成。→広瀬テキスト50p。

 上左 花

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いけばな歳時記 フジバカマ

いけばな歳時記 フジバカマ

 東アジアに分布し秋の七草に数えられるキク科の草花。源氏物語にも登場します。茎先に藤色~白の小花が群れ咲き甘い香りがあります。花持ち良くいけ映えしますが、水から離すとすぐ下がるので、手早くいけて水換え・切り戻しで持たせます。手入れが良ければ水揚げは水切りだけで十分です。
 上作はフジバカマ・白ヒガンバナ マスの色彩対比→広瀬テキスト59p。

 上左 花材は4種ですが秋草を使った混ぜさし。→広瀬テ

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いけばな歳時記 コスモス

いけばな歳時記 コスモス

 コスモスは熱帯アメリカ原産で日本には明治期渡来したたキク科コスモス属の花。花色はピンク・白・赤が主流。別名秋桜、日が短くなると咲く短日植物ですが、今は早生品種が出回り夏から早咲きの花を見かけます。
 コスモスの水揚げは水切りで良く、花びらを濡らさないよう注意します。水から離すとすぐ下がるので、手早くいけ、水換え・切り戻しも大切です。
 上作は植物以外の素材を混ぜた構成→広瀬テキスト79p

 上

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いけばな歳時記 クリ

いけばな歳時記 クリ

 上左 自然調交差の教室見本花→広瀬テキスト47・48p
 上右 透明ガラス花器を使った色彩的構成→広瀬テキスト81・67p

 上左 同系色を基調にした色彩的構成→広瀬テキスト67p
 上右 タケのバネ(反発)を利用したリズム的構成→広瀬テキスト66p