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Love letter 中山美穂さんの訃報に寄せて

いつ観ても良い映画ってのがあって、自分の中でこの作品は邦画では間違いなく3指に入る。

中学時代、思春期のどこか頭がモヤッとして
夢うつつで過ごしていたかのような空気感。
そういえば、自分もその頃は好きな子がいても
告白なんて、できる雰囲気でもなかったし
勇気もなくて、せいぜい密かに好意を寄せる
程度だったなぁ….とか。

過去の思い出のシーンに出てくる、まだ若かりし頃の酒井美紀さんや柏原崇さんの演技も
素晴らしいけど、アイドルからの脱皮を本人もおそらく強く意識していたのだろう、この映画における中山美穂さんの演技はとても印象的で
名女優として歩む第一歩になった気がする。
一人二役のキャラクターの使い分けが見事なのは無論のこと、彼女自身から発せられる透明な光のようなオーラが観ている人を惹きつける。

個人的には小樽に住むショートヘアーの方の
彼女のキャラクターがとても可愛らしい。
そういえばその彼女の母親役の范文雀さんも
もうこの世にいないのだな….
また、それを引き出した岩井俊二監督のセンスと力量は言わずもがな。

音楽も好きすぎて中古で探し回ったサントラCD

自分が思うこの作品のテーマは

一緒にいる時にはわからなかったけど、随分あとになってから、凄く大事な人であったことに気づくこと。

もう会うことができない人への渇望とやるせない気持ち。
それを乗り越えて人は新たな出会いや自己の成長を糧にして生きていかなければならないということ。

そして、その人がこの世にいなくなっても
思い出は心のどこかにずっと残り続けるということ。

クライマックスで、亡くなった彼が眠る山に
向かって
“お元気ですか?お元気ですか?”
を絶叫する場面。
いつもこのシーンで私は嗚咽を漏らし、図らずも泣いてしまう。
そこでのカメラワーク、それに重なる音楽も
素晴らしいけど役が乗り移ったかのような
中山美穂さんの演技が無ければ多分泣くまでには至らない。

そして、最後に訪れる現在と過去を結ぶ
ほっこりとしつつもジーンとくるラストシーン。
彼女の微笑み顔と泣き顔を同時に浮かべたような、なんとも言えないような表情。
パーフェクトです。

正直、ストーリー的にはやや“こんなことある訳ないやん”的な突っ込み処もあるけど、そんなことはどうでもよくなるような名作だけに
存在する澄んだ薫りのようなものが存在する。

元々、夏の北海道は好きなだったけど、おかげで冬の北海道も好きになったな。
とても良い映画と演技をありがとうございました。

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